海の欠片

わんころがCWのリプレイ置いたり設定置いたりするところです。

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わんころがCWと自創作関係、稀に二次創作についてあれこれ置いとく場所だぞ!

 

メインコンテンツ

■CWリプレイ カモメの翼

カードワースのリプレイ集。
「オリジナル要素とネタバレ満載」で、「全てを通して1本のストーリーになる」タイプのリプレイです。緊張感は飾り。

 

■CWリプレイ 運命の天啓亭

カードワースのリプレイ集。通称幸薄宿、オリジナル版。
カモメと違い、特殊な遊び方をしておりリプレイは後日談の日記形式。キャラロスがあります。

 

■自創作 運命の天啓アルカーナム

運命の天啓亭を自創作にコンバートしたもの。通称ライト版。
まだまだおまけ感が強い。

 

■自創作 獣化世界「天威無縫」

長編小説。飽きるまで不定期更新。別名「性癖の集大成」。読み方は「てんいむほう」。
野性が異常な進化を遂げてモンスターとなった世界で、野性を取り込みなんだかんだ上手く順応した人間たちのお話。

 

■二次創作

今のところロマサガ2(リベサガ)のみ。
狂ったようにハマったゲームが出てきたら増えるかも。

 

その他

■創作小話

・小話『死に損ないの感情論』
(ハロハナ4日目)

・小話『海鳴りが聞こえたら』
(ハロハナ後日談)

・小話『双島調査記録』
(くびよっつ後日談)

・小話『明日天気になあれ』
(ペットショップコンバート宿のアサッティとドドンパの邂逅話)

・回帰 ― 奇 円 ―
(暗夜後日談)


■CWシナリオ

・『うみ』

 

■その他

・ホワハナ感想まとめ・2・3

定期ゲ・鶏 Advent Calendar 2020 の記事
『ツッコミロール、それはロールに命を燃やす芸人の熱き魂』

アド"定期ゲ"ベントカレンダー2024 Advent Calendar 2024 の記事
『日記を書こうぜ!!!!』
夏"定期ゲ"イベントカレンダー2025 の記事
『声が出ないキャラをやろうぜ!!!!』

・定期ゲームっ子のCW連れ込みデータ(2021.7.8更新)

 

 

暫くの更新予定

リベサガがめちゃくちゃ楽しい!!!!

『未来に至る過去』

ロマサガ2(リベサガ)の二次創作です
※『再び、会瀬の時』を読んでいるとより分かりやすいけど読んでいなくても問題ないです が、できれば先に読むのを推奨します
※会瀬同様にテレーズには前世の記憶があります 最終皇帝には名前があります 最終皇帝×テレーズ、ジェラール×テレーズ要素あり

 

 

 

―― もし過去へ戻れたらどうする?

 

そんな問いかけを持ち込んだのはマリアだった。
夕食を編成メンバー全員で囲むことが多いせいか、夜に談笑してから解散することも珍しくない。思いつめやすい皇帝にとっては良い息抜きになるし、編成メンバーと親睦を深めるという意味でも大切な時間だ。全員緩いせいで、既に仲良し集団が結成されていると言われるとその通りではあるのだが。

 

「過去へ戻れたらって言うッスけど。戻れないから今を精一杯生きてるッスよ」
「だから戻れたら、ってイフの話を振ったんじゃない。フヨウはやり直したい過去とか後悔とかないの?」
「ないッス! 過去に戻れないから過去に戻れない前提で今を生きるッス。やり直しがないからこそ一生懸命に生きれるんスねぇ」

 

腕を組んでうんうんするのは、編成メンバーで最も現実主義者である忍者のフヨウだった。この中で一番幼いというのに最も現実を見ていて、辛辣で手厳しい意見も多い。ただし性格はこの通り明るく自由奔放だ。
相変わらずねえ、と頬杖をついてテレーズが呆れた声を零す。金色の長い髪が肩を竦めた動きを受けて、ゆらゆらと柔く揺らめいた。

 

「そう言うマリアは? あなたもあまり過去に戻ってやり直したい、っていう願望はなさそうだけど」
「やり直したい、って願望に限れば私もありません。ですが、戻りたい過去はありますよ」

 

皇帝には親しみを込めて、フヨウには雑な扱いをするマリアもテレーズには敬語を使う。普段は礼儀正しく振る舞うため、敬語を使わない相手の方が珍しい……のだが、ここではメンバーの半分がその例外に当たるため、別に珍しくも感じない。自分たちにも敬語を使わなくていいのにな、と思うが、彼女にとってはそういうわけにはいかないのだろう。

 

「その過去というのは?」
「人間だった頃のワグナス様に会いに行きます。彼らの過去は大学で確認しましたが、とても素晴らしい筋肉をお持ちではないですか。是非とも会ってサインをもらいたいです」
出た~筋肉フェチの頭ぶっ飛んだ願望~ 先代のホーリーオーダーがワグナスと邂逅したから因縁の確認に、とか、代わりに討伐しに行く、かと思ったら全然違ったわ」

 

暴君ガートルード帝という、ホーリーオーダーの皇帝が過去には居た。それがやんちゃしたせいでヤウダの人間は総じてホーリーオーダーが怖い、ヤウダはホーリーオーダーが植民地にした、ヤウダは悪人をカンバーランドに送り付ける通称カンバーランド流しが流行っている、等々あることないこと言われている。真実の証明としては、そこの忍者がヒィッといってビビッている。

 

「せめてガートルード帝の無念を晴らす! とかは言わないのか」
「やめてパヴォーネ。私は認めていないの、吸収の法で姿が変わってしまったワグナスのことを……」
「……そうだな。いくら英雄と言えども、人を助けるためだったと言えども。モンスターに身を堕としてしまうなど、人の道を踏み外した外道にすぎな
「どうしてっっっ!! 胸がっっっ!! あんなに麗しかった筋肉を捨ててっっっ!! 女性らしい膨らみを手に入れてしまったのっっっ!!」
「陛下、陛下、マリアの地雷はTSですわ」
「俗本のジャンルじゃないんだから」

 

思わずツッコミを入れた最終皇帝ことパヴォーネに、マリアのフォローを入れるサファイア。酷い会話だが、別に珍しい話ではない。筋肉フェチのホーリーオーダーが性癖の話をすれば、御覧の通りとち狂ったテンションがお出しされてしまう。
それで、と。まだ話していない3人に自然と話の矛先が向く。ちらり、とテレーズと皇帝がサファイアへと視線を移した。これは十中八九、ロクな話題にならないから今のうちにオチを殺しておこう、という魂胆だ。

 

「私は特に戻りたいって過去はありませんわねえ。色々あった身ではありますが、結局テレーズがいる今が一番愛おしいので」
「へえ、以外だな。お前のことだから、てっきりジェラール帝がいる頃のテレーズに会いたい、って言うかと思ったよ」
「残念ながら、そのテレーズは私のずっとずっと先代のエメラルド様とお会いになられるべきですから。私が大好きなのは、今を生きるテレーズですわ。私にとっては、そのテレーズは所謂別人、テレーズの代わりはテレーズには勤まりませんの」

 

そう言い切り、くすりと笑って見せる。皇帝もテレーズも、どちらも目を開いて、小さく口を開けていた。逆にその言葉の意味を掴み損ねたマリアとフヨウは、二人並んで首を傾げている。
この言葉の意味が真に理解できる者は、テレーズの記憶が地続きであることを知っている者だけだ。

 

「……私は」

 

ぽつり、テレーズが呟く。

 

「ジェラールが居た頃に。戻りたいって気持ちがないとは言い切れないわ」

 

隠している。当時の記憶があると知られたならば。伝承法なしに記憶が受け継がれたという事象が起きたとなれば、大きな騒ぎになりかねない。それを、テレーズは望んでいなかった。そっとしておいてほしかった。
それでも。もしも過去に戻れたら、なんて。夢物語を描いて良いと言われてしまえば。人が人魚姫を幻視したように、想像してしまう。

 

「ジェラールとパヴォーネの間違い探しの答え合わせができちゃうのだから。いや、この場合テレーズとテレーズの間違い探しをさせることになっちゃうかしら。
 だけどね、もしもはどうしても考えちゃうわ」

 

夜闇は、深海のように深くて。
マリンスノーのような星が、空で淡く瞬いている。

 

「もう一度、会えたなら。そのときは沢山未来の話をしたいわ」
「…………」

 

その言葉を聞いて。サファイアは、嬉しそうににこり、と笑った。

 

サファイアちゃんは嬉しいですよ、テレーズ。テレーズがテレーズのままそこに在ってくれて、とっても嬉しいですわ」
「やっ、ご、ごめんねサファイア! なんだかあなたを裏切っちゃうような答えを言っちゃって! あくまでも言い切れない、って話だから」
「何を謝るのですか? テレーズがテレーズたる所以ではありませんか。ねぇパヴォーネ様?」
「…………」
「……? パヴォーネ様?」

 

茶化すように皇帝へと話を振って。随分と考えこんでいるようで、思わず覗きこんでしまう。背の高い皇帝を見上げるように、背の低い宮廷魔術士はするりと下に滑り込んだ。
孔雀の翼のような瞳が、爛々と輝いている。その先にいる自分と目が合った、と思った頃にはすでに視線が逸れていた。

 

「私は、戻りたい過去はない」

 

そうしてはっきりと、言葉にする。

 

「確かにやり直したい過去も、辛かったことも、変えたい過去も山ほどある。あのときの皇帝に戻れたならば。こうして何人もの想いを受け継いだくせに、受け継いだ者の過去まで戻ることはできないんだって、理不尽だと喚き散らしたい。後悔など、いくつ述べたってキリがない。
 けれどどうしても、今ここで言うべきことがあるんだ」

 

数歩、前に出て。
緋色のマントを翻しながら。胸を張って、高らかに。

 

「―― 私は今、ここにいる」

 

これが、全てだ。
孔雀は、始まりより託された明けの明星を信じている。

 

「……そっ、か。そうね。
 間違い探しも答え合わせも、どっちも必要なかったわ」

 

日が昇ろうとしている。
今はまだ空は暗く、数多の淡い点々の数々が煌めいている。
その空に、もうすぐ夜明けを知らせる星が瞬くことを孔雀は知っているから。

 

「私も。皆が居るここがいいわ

 

今見ている星は、遥か昔に発せられた光なのだという。
それが今、こうして見えることは。

 

我々がこうして今を生きる奇跡の他にないのだろう。

『声が出ないキャラをやろうぜ!!!!』

 

 

少年失声症

わんころは!
喋れないロールが凄く好き!!
多分ただの性癖です本当にありがとうございました!!

 

 

はじめに

lipca.wpx.jp


これは樹野ディンゴ様(X:@DIGI_watersnow)主催の『夏”定期ゲ”ベントカレンダー2025』に寄稿した文章となります。
わんころは8/16の記事を本日は担当させていただくことになりました。アドカレ大好き人間です。

 

この記事では以下の略称を使わせていただきます。ご了承ください。

 

・ヒサギ様作成の定期ゲーム及びそれに準ずるもの → ヒサギゲー
・うでらび様作成の定期ゲーム及びそれに準ずるもの → うでらびゲー
・Clip Traveler → クリトラ
・BO5 → ぼご
・シマナガサレ → シマ
・ソレナリの冒険録 → ソレナリ

 

抜けがありましたら申し訳ございません。
表記ブレは気を付けましたが、全く気を付けられておりませんでしたのでスルーしていただけますと幸いです。

 

各種画像にはルルクス様(X:@I_am_rurux)のイラストが使われております。この記事を執筆する上で掲載許可は頂いております。
(マンション人狼のフローラに関しましては、 otokasa様のキャラチップ『曲芸会Hello!』のイラストとなります。こちらは掲載許可がございませんので、掲載に不都合や取り下げの依頼があった場合、該当箇所を削除させていただきます)

この記事の最初の画像&アイキャッチ画像のイラスト部分はうつぎ様(@utsugisora)にお金で無理を言わせて描いていただきました。本当にありがとうございました!!!!

 

 


自己紹介

どうも初めまして、あるいはいつもお世話になっております。
わんころという者でございます。
最近のキャラ傾向は「別に暗い過去を持っているわけじゃないし解決するべき問題があるわけじゃないけど、何となく生きづらさを覚える人」です。

虚無の人、顎芸の人、ぽれんで勇者を率いている人、いっつもTLで燃えている人、という認識の方。ありがとうございます!!

 

交友が広かったキャラを挙げて「あれを動かしてた人か~」すべきですが、せっかく内容が内容なので私の「声が出ない、あるいは一時的に声が出なくなったキャラ」の一覧でも見てください↓

・ガゥワィエ(コトシタ。何で黙ったのか覚えてないけど失声症っぽい)
・ツワォツ(イバラのサブPC。失声症
・アザミ(ソレナリ。声出ないキャラ)
・フローラ(マ人。声出ないキャラ)
・ウーシア(シマ。声出ないキャラ)
・月影誠(北アザ。失声症
・クロ(北アザサブ。人語が喋れない)

 

覚えている範疇でも多いな……
後は失声症とか声が出せないとかじゃないけど、「特定の状態で獣みたいな言葉になる」というのも「人語が話せない」カウントとして、フィリアちゃんも例として登場します。

にしても。
思ったよりいなかったな……もっといるかと思った……
え? 充分? そうかも。

 

ぶっちゃけさっきの子とこの子を取り上げれば8割解説できる

 

 


本題

さて、皆さんは喋れないキャラのロールって「楽しい」と思いますか? それとも「大変」だと思いますか? 今回の記事はやってみたいけど不安が多くてやったことない! という人も、好きだからもっと練度を上げる参考が欲しい! という人も満足いただけるような内容に仕上げたと思います。
前回のアドカレ記事は「日記を書こう」という小説や文章構成指南みたいな話も入り、かなり触れることも多くボリュームたっぷりな内容になっていたかと思います。しかし今回は「声が出せないキャラのロール」にフォーカスを当てた指南書です。
限定的すぎるんだよ。範囲が狭すぎるんだよ。滋賀県の琵琶湖じゃない部分の方がずっと広いよ。ニッチすぎるんだよ解説がよお!!

 

というわけで、今回こそ10,000文字に収めますのでよろしくお願いします。
そしてこれを読んで、言葉が喋れないキャラをやろう! だとか、失声症煩わせたろ! ってなったら嬉しいなぁと思います。
あ、わんころは失声症に関する医学知識はありません。昔から性癖だったのと、エマージェンシーコール(ドラマ。かなり良かった)見て失声症ってちゃんとした病名を知っただけです。

 

つまりこれはエマージェンシーコールで得た知識を披露しているロール

 


1章「喋れないキャラの台詞のコツ」

さて、さっそく(1,700字の前書きから目を逸らす)ですが本題に入っていきましょう。
喋れない、ということは「」の中に人が意味を理解できる文章を書けない、という実質縛りプレイが行われます。ではセリフが不要なのか、と問われると答えはです。
喋れなくとも息は吐けるし唾は飲み込めるし唇を噛めるんです。それをセリフで表現するコツをお伝えしていきましょう。需要あるんか?

 

♦「…」と「っ」と「、」と「―」と「!」と「?」で勝負だ!

声の出ないロールをしていて、主に使うのはこの6文字です。「ー」と「~」と「ッ」も使いますが、頻度はさほど高くありません。
一番多いのは「……」でしょう。私は「…………」の方が多いです。中には「…」や「………………」が一番多い人もいるかもしれませんね。全部同じじゃないんですかって? 全然違いますよ! これだから素人は!!
「…………」の基本形ができれば、後は「っ」や「、」を使い、必要に応じて「!」と「?」を付けていきます。後者2つは分かりやすいですね。驚いたときや意を決したときなんかに「!」、キャラが疑問に思っているときに「?」をつければいいだけですからね。「!」や「?」は個数が多いほど付随する感情が強く表されます。この辺りは無意識のうちに理解できている話だと思うので、この辺りに留めておきます。
というわけで、順番に解説をしていきます。

 

「……」の長さを使い分けているロール……か?

 


♦「…」の短い文章と長い文章

「……」と「………………」であれば、ロールを読むときにどちらの方が時間の経過を感じますか? 長い分、後者の方が時間の経過を感じるかと思います。ここでの時間経過とは、読み終わるまでの時間ではなく、時の流れの体感を指しています。
この体感の差は大事で、声を出さないor出せないキャラをやる上では必須スキルとも言えます。おすすめは、自分の中で「中間」となる長さを決めておき、それよりも長くしたり短くしたりして時間経過の表現の差を出します。私は「…………(3点リーダー4つ)」を中間にしています。何故なら増やしやすいし減らしやすいから。
あと3点リーダーは偶数個で使え、という話を聞いたことあるかもしれません。うちの会社の日本語つよつよ後輩ちゃんに聞いたところ、「あれは宗教戦争ですよ」とのことだったので、気にしなくていいらしいです。

 

さて、時間経過の体感の差はどうやって使い分けるか。当然、時間経過が長いときほど長くします。具体例はこんな感じ。

 

通常の長さ
・何でもない会話の返事
・相槌

 

マジでふつーのロールのお返事

 

 

短い
・走っている
・ハッと気が付く
・強い感情に突き動かされる

 

ちょっと上記挙げた使い方じゃないんだけど、『お礼の言葉を掲示したけど、心の中のツッコミでワンテンポ遅れた』というのを表現している

 

 

長い
・熟考
・不満があり、(喋れないけど)言葉を飲み込んでいる
・我慢
・意表を突かれ、理解に時間がかかった

 

ロール通り、遠慮と気まずさを感じている心理を表現するために長い「……」を使用

 

 

こんな感じで使い分けるといいと思います。
ぶっちゃけ普通のロールにも使えるテクニックです。

 


♦「っ」や「、」や「!」で息遣いを表現しよう

これができるとリアルさが上がる他、臨場感やリズムが生まれて文章の質そのものが上がります。これを先ほどの話を当てはめると、「っ!」だとか「………………、」だとか、色々応用が利くようになってくるわけですね。

 

細かい話になると、「……っ」と「……、」はよく似ていますが、少々ニュアンスが違います。前者は「つばを飲む」「ヒュッと息を吸う」等の動作を、後者は「言葉を詰まらせる」「動きが止まる」等の動作の差異を感じ取れるかと思います。感覚の話にはなってきますが、「っ」は動的、「、」は静的と覚えておきましょう。また、そのセリフがポジティブでもネガティブでも、動的である前者の方が強い感情の動きが発生します。

 

勿論これらをいくつか組み合わせることもできます。「ショックを受けた後に、唇を噛みながらじっと静かに相手を見ている」ような動きを表現する場合は、「……っ、…………」と書けばそれっぽくなります。そしてこれに「ッ!」を付けたし、「……っ、…………ッ!」にすることで、「ショックを受けた後に、我慢しようとしたけれど相手に掴みかかろうとした」といった動作を取っていそうな印象の差が生まれます。「っ」より「ッ」の方が更に強い感情を描けるので、ここぞ! ってときには「ッ」を使いましょう。

 

上手く使えばなんか喋ってる感が出せる

 

 

さて、「……っ」と「……、」に近い位置に「……!」が居ます。
これは純粋に『ワンテンポ置いてから』驚いたとき、何かに気が付いたとき等に使います。大事なのはここ、ワンテンポが発生することです。ワンテンポ発生しないときは「!」や「っ!」を使用することで、すぐさま反応している様子を出すことができます。
また、人に訴えかけるときや声がないけれど叫んでいるとき、なんかにも「……!」は使えます。逆に、「!」「っ!」は叫ぶときにはあまり単体では使いません。何故なら話すための『ワンテンポ』がないから。勿論例外はあるし、他の文章と組み合わせた際には使います。
「……!」と「!」の違いは戦闘をイメージすると分かりやすいでしょう。相手が溜め行動や衝撃の事実を語った際の『間』がある場合は「……!」を使い、しっかりと間を表現するとセリフに重みが出ます。逆に攻撃を避ける際や動的な動きを行う際は「!」「っ!」を使うといいでしょう。間なんかあったら真正面から食らいますからね。でも攻撃を食らう場合は攻撃を食らって発話するという『間』があるので、「……っ!」や「――!」の方がしっくりくる気がします。
つらつら書いたけど、短い方が瞬発力がある! でいいんじゃないかな!!

 

ぶっちゃけ普通のロールにも使えるテクニックです。

 


♦「……」と「――」の違い

これは人によって感覚が違うと思いますので、かなり私の見解が強いことを頭に置いておいてください。全部そうじゃないって? そうだなぁ……
先ほど説明した通り、「……っ」と「……、」の話同様、静的か動的かの違いが個人的には大きいと思います。前者が静的、後者が動的です。そうか? って言われそう。私は後者の場合、アニメポケモンのバトル中なんかによく後ろで流れる謎背景みたいな、そういった動的な空気の流れを感じます。そうじゃない人は聞き流してほしいです――

 

感じ取れる感情にも差があります。「……、」は硬直や言葉を詰まらせるなどの動きがぴたっと止まる動作を読み取れます。一方で「――、」だと息を吸う、目を見開く、ハッとする、といった感情の揺れ動きを描けています。こういった差から、私は眉尻を下げながらペンを動かす手を止めるときのセリフは「……、」を使いますし、視線を動かす『動作』があるときのセリフは「――、」を使います。

 

「――」と「…………、」を使用した例。印象の違いを感じ取ってください

 

 

こんな説明でいいのかこれ? もうちょいなんかあるやろ。
感覚で行いすぎて論理的に解説できない話の説明をするんじゃない。

 

ぶっちゃけ普通のロールにも使えるテクニックです。
なのにこんなふわふわな説明をしています。馬鹿野郎。

 


♦「ー」や「~」を使うと「喋ってはいる」感が出る

時々あると思います。声は出ないんだけど声が出ないなりに何かを喋っている、というシチュエーション。そういったとき、「……」だと喋っている感じが出ない。そう悩まれたことが……え? 筆談で全部書きなぐるロールをした? そんなぁ!!

 

あってください!! 激情のままに行動しちゃって、言葉を書いて突きつけるという理性もなくなって、声が出ないことも忘れて叫び散らかすというロールが!! 書くってかなり理性的な行動なんですよ!! 言いたいことを頭で考えて相手に伝えるための文章を書き起こす、って落ち着いているからこそできる行動なんで……え? 乱雑な文字でメモ帳の下に跡形がつくほどの力で書きなぐって、まともな文章じゃなくって力任せに書いたせいで紙もくしゃくしゃになっちゃって、それを最後に机の上に叩きつけて息を荒げるロール、ですか? 合格です、通ってよし。

 

じゃなくて。誰も私の性癖の話はしてなくって。

 

要するにこういうロールをやろうぜ!! ってお話。



話している感を出すのは簡単で、「ー」(※―ではない 伸ばし棒と全角ダッシュの違い)と「~」を使うと簡単に出ます。しかし、「~」はともかく、「ー」だけを使った場合さほど喋ってる感じがでません。ダッシュに見えるんですね。そして「~~~~~」でも喋ってるようには確かに見えますが、喋っているよりも「呻いている」「声を噛み殺している」ように見える人の方が多いでしょう。

 

そこでどうするか。
混在させます。喘ぎ声と同じです。材料は「…」「ー」「~」「っ」「、」です。必要に応じて「ッ」「!」を使いましょう。

 

というわけで、作り方です。

 

まずは「~」だけの文章を作ります。
「~~~~~~~~~~~~~」

次にいくつかを「ー」に変えます。
「ーー~~~ーー~ー~ー~~」

次に「…」を混ぜます。
「ーー~……~~ーー~ー~……ー~~……」

次に「っ」を混ぜます。
「ーー~……っ~~ーー~ー~……ー~~っ……」

次に「!」を入れます。
ぱっと見長いので、文章が2つあるように区切りましょう。
「ーー~……っ! ~~ーー~ー~……ー~~っ……!」

次に長いな、と思ったところを「、」で区切ってリズム感を作ります。
「ーー~……っ! ~~ーー、~ー~……ー~~っ……!」

最後に見た目を整える調整します。
個人的に真ん中がなんか気に入らないので直します。
ここの調整は自分の好みに従ってください。
「ーー~……っ! ……ー~、~ー~……ー~~っ……!」

 

はい完成しました、なんか喋ってるように見えるけど何言ってるかは分からないセリフです!
一個コツですが、大声でわめき散らかすときは一言一言が短くなりがち(大声で叫ぶということは、消費する息の量も増えて息継ぎが多くなる)なので、それを意識して短文を多くするとよりそれっぽさが上がります。

 

ぶっちゃけ普通のロールに……使うわけないだろこんなニッチな技術!!

 

声が出ないのに喋っちゃう、という表現にお使いください

 

 

♦1章まとめ

いかがだったでしょうか?
喋れないキャラだから全部筆談で! というのは本当にもったいないんです! セリフによる空気感や間、テンポ、なんなら心理描写までできるんです! なんか普通のロールでも使いやすいような話が多かった気もしますがそれはそれ。
以上で喋れないキャラのセリフに関するコツのお話を終了したいと思います。

 

……え? 目次にはまだあったはずだって?
はい。ですから。
「セリフに関するコツ」です。ここまで6000文字程度お読みいただきありがとうございます。まだまだ続きます。頑張れ。

 

 

 

2章「しぐさや動作がとっても大事」

さて、セリフの重要性は語りましたが、仕草や動作に関してはそれ以上に大事です。あんなにセリフについて語りましたが、あっちよりこっちの方が5倍くらい大事です。何故なら結局喋ってないから。
喋れなくても手話やボディランゲージはいけます。それ以外にも些細な行動が心理描写を描くのに役立ったりもします。何だったら心の声なんか書かなくても感情って書けるんですよ。
というわけで、次は地の文パート! 早速詳しく見ていきましょう。

 

余談ですが、喋れない子はアイコンがたくさんあるとこういうことができて便利です

 

 

♦動作の1つ1つが大事な情報

例えば待ち合わせをしていたとしましょう。そしてあなたは声が出ません。
あなたは相手を見つけましたが、相手は自分に気が付いていません。さて、どうしますか? 手を大きく振る? 手を挙げてぴょんぴょんしてみる? 後ろから忍び寄ってつんつんする? 連絡ツールでまだ気づいてないでやんのざぁこざぁこと送る?
そう、キャラクターによって取る行動は千差万別! こういった1つ1つの動作がキャラクターをよりリアルに描くコツであり、喋れないキャラにとっては大事な対話方法の一つになります。

 

もしもこちらが遅刻をして、「待たせちゃったね、ごめんなさい」と伝えたい。でも声が出ない。もし言葉がなかったとしても、手を合わせて何度も頭を下げて今にも泣き出しそうな顔をしてみてください。めちゃくちゃ誠心誠意謝ってるように見えますね?
これを利用して、てへぺろと頭をこつんとして舌を出す、あるいは特別なリアクションをせず堂々と胸を張って遅刻をする、来た瞬間土下座をする……等々、普段の行動よりやや誇張気味に描くことで、そこに込められた意図や感情を鮮明に伝えることができるのです。
こういった1つ1つの動作を蔑ろにせず、しっかりと描写することで相手PLと自PCの感情の齟齬を防ぐことができます(PLが理解していれば、PCとPCの齟齬は意図的なものになるのでこれはOK)。

 

これはシマ開幕で「こっちに来る前に何かがあって、喋ることができません」と、
ハンドアウトを開示しているロール

 

ぶっちゃけ普通のロールにも使えるテクニックです。

 


♦口を動かす動作も活用しよう

セリフはなくていいんです。セリフはなくとも口は動かせるんです。音にならなくとも息を吸ったり吐いたりすることはできますし、音もします。
喋れないからといって口がずっと閉じっぱなしかと問われると、そうではありませんね? 言葉を喋れないPCもそうです。先天性で喋り方が分からない、であればまた違う描写にはなりますが、後天性であれば喋り方は分かります。
むしろ、喋れないという特徴は自然と「口」に意識が行くんです。目が見えないキャラが「目」に、耳が聞こえないキャラが「耳」に、無意識に意識を持っていかれませんか? 人とは異なる性質の意識度は、ポケモンでんこうせっかくらいの優先度があるため、そこを活かしたロールを繰り出されると「おっ 上手いな」と思わせることができますよ!

 

例えば口パク。短い言葉かつシチュエーション的に伝わる言葉、であれば書くより早いし何より『本人が直接伝えようとした』という特別感が生まれます。筆談も本人が直接伝えようとしているのですが、話そうとした分だけ対話を試みており、隔たりがなくなったように感じます。
もっと単純な話で、「ずっと筆談してるやつが突然口で伝えようとしたら、普段しないことをやってくれた特別感があるよね」ってことですが! なお、この動作を特別なものにしておきたい場合は「頻度を少なくする」「特定の人にしかやらない」等、行動のレアリティを上げておきましょう。

 

これは伝わらない前提のやつ

 

 

他にも下唇を噛む、はくはくはと口を動かす、ぽかんとして口を開ける、等々が使える描写かと思います。勿論これはあくまでも一例。他にも素敵な表現は多いので、小説や他者のロールから探してみてください。
個人的に好きなのは、言葉を話さないのにあえて「口を噤む」って描写を入れることです。

 

これ

 

 

ぶっちゃけ普通のロールにも使えるテクニックです。

 


♦行動で心理描写をしよう

小説のコツで「悲しいや楽しいといった感情をそのまま書くな」、とはよく聞きます。ロールをしている人の中には「何を考えているかなんて分からないんだから、心の声は殆ど書かない」という人もいるでしょう。
でも心の声ってちょっとポエミーでかっこいいんですよ。分かります。物凄く分かります。というか私もやります。安心してください。素敵と思ったロールをしていけ。

 

こほん。

 

それはそれとして、感情を描くのは心の声や感情を書くだけではありません。動作や表情、時には周囲の描写からPCの感情を表現することができます。
実はこれ、セリフを封じているPCだとめちゃくちゃ練習にもってこいなんですね! なぜなら声を封じられているから! 身振り手振りの重要さはすでにお話しましたよね? そういうことなんです。

 

 

悔しいだとか、怒りだとか、そういう感情を直接的に書いていなくても感情が伝わるロール

 

 

腹が立ったとき、どういった動作を取りますか? 眉間に皺を寄せる、身に力がこもる、拳を握る、カッと身体が熱くなる、歯を食いしばる、物を投げる、睨む、などなど。
悲しいときは眉尻を下げる、口をへの字に曲げる、俯く、身体を震わせる、息が詰まる、などなど。
嬉しいときは笑顔になる、口角が上がる、スキップをする、そわそわする、声のトーンが上がる……は喋れないからなくって、にこにこする、などなど。
そう、人は感情に伴った動きというものがあり、動作を書くだけでもPCの感情を描くことができます。

 

ぶっちゃけ普通のロールにも使えるテクニックです。

 

……ん? そんなぱっと感情から来る仕草や動作を思いつかないって?
ふふふ、実はそれに関してはとっても便利なものがあります。じゃん!!

 

「感情類語辞典」、お勧めです!!

 


♦心の声系の心理描写どこまでするか問題

私は、ですが。
声が出ない子はゼロでいいと思います!!
全部行動で示していけばいいと思ってます!!

 

ロールでは割と心の声系の心理描写を入れる人です。個人的に、これを入れると「相手が遊びやすくなる」という明確なメリットがあると考えています。今やったロールが好意的だとPCが感じてくれていたらそのまま突き進めるし、よくないと思ったら手を引っ込めて危険回避、といった「PLが手を加える余地」が与えられます。あとマイナスの感情って(いい意味も含めて)対面にストレスを与えてしまうのでね。遊びやすさは大事なので、遊びやすくするためには心の声ってあると安心させることができるんですね。

 

でもさあ。

 

言葉という対話能力が封じられているんだぞ?
多くは訳ありだったり、思いつめていたり、心に爆弾を抱えちゃった子だぞ?
もしそうでなかったとしても、喋れるPCと比べると意志疎通手段は限られてるじゃん?

 

分かんない方が「らしい」じゃん?
心閉ざしてる人から心の声って聞こえない方が「生々しい」じゃん?

 

というわけで、私は後述に至るまでは「基本的に心の声による心理描写を排除」します!!
何考えてるか分からないくらいが! なんなら! ちょうどいい!
でも本当に何も考えていないわけではないから! 動作や仕草で! 心を描いていけ!
なんなら伝わらないことを! 楽しむのが! 声の出ないロールを! 振りかざす! 特権だから!
伝えたいことはともかく伝わらないことをプレイすべきだと思いませんか!?!?

 

……はい、後述パートです。
ロールをしていて、推測や情報に基づいて「確実に読み取れる情報や心理」が出てくると思います。
私はそこに至ると普通に書きます。ロールを補強したり、相手の持っている情報を補強したり。所謂「ロールにおいて普通の地の文」を書きます。
こうすることで相手がロールしやすくなる他、それだけ「溝が埋まった」「理解し合えた」ことを暗示することができます。特に不穏の結果精神状態が終わりになったPCがこうなることで、相手には「ちょっとずつ良い方向に向かっている」と示すことができます。知ってるか? しんどいロールってしんどいんですよ。鞭を打ったら飴を差し出しましょう。ロール内容的に差し出さない方が美しいときや自業自得のときは容赦しませんが……(わんころの悪いところです。真似しないようにしましょう)

 

ふっつーのロールをしています。

 

 

それと、PLがPCの手綱を握ってコントロールする際にも用います。「あなたがこれを行うと不穏に行くけどいい?」といったメッセージを込める際はこちらを優先します。そらあそう、と言われるとそらあそう

 

ぶっちゃけ普通のロールにも使えるテクニックです。

 

 

♦2章まとめ

いかがだったでしょうか。
こちらのパートでは、喋れないPCの地の文に関係する要素こと身振り手振り+心理描写のお話をしました。正直これは喋れないPC云々関係なく、あらゆるロール、あるいは小説や日記でも活躍するお話だったかと思います。
逆にこの辺りの筋肉を鍛えるのには喋らないPCは大変お勧めできます。嫌でも使う技術になるため。台詞なしにして地の文だけで勝負するPCはともかく、地の文なしに喋れないPCなんてできませんからね。え、できませんよね? 筆談オンリー? 正気か?

 

それでは2章を閉じさせていただきたいと思います。
文字数をカウントしましたがまだ4桁です。全然いけます。やれます。

 


3章「筆談をよりリアルにしよう!」

※※ここからはわんころの性癖前回の気色悪い拘りになります※※

ぶっちゃけこの3章、読まなくていいと思っています。本当に読まなくていいです。
ちょっとしたロールから感じるリアルさに対して性癖を持っているわんころによる、とんでもなく気色悪い拘りの語りになっています。
なので本当に読み飛ばすことを推奨します。マジで。冗談抜きで。あるいは読んでも真似しなくていいです。参考になったら? そらあ……嬉しいですが……?

 

また、「紙にペンを走らせる」前提の話をしているので、タイピングで筆談するタイプの人間には当てはまらない(4割くらい当てはまる?)お話になります。

 

 

♦「喋り言葉」と「書き言葉」の意識

ゲームで日記を読むを選択したときに、「……俺は人を殺した」「あっ……俺の、俺の意識を、何かが……くっ、 乗っ取って」とかって書いてあったのを目にします。
わんころはすげーーーしょっぱい顔になります。 ※本当に個人の感想です

 

「日記書いてて「……」って使うか!? いや、……はまだいい。使うこともある。ない、とは断言しない。けどそんな吐息や呻き声みたいなのは書かんだろ!!」

 

と、叫びます。すいません、アホの拘りです。
マジで今までこれをやっていたからといって反省することはないです。わんころがきしょいだけです。
因みに個人的な回答は

 

「俺は」
       「人を殺した」

「俺の 俺の  意 識を
   何  が  っ取 っ  て」

 

です。
上は書くのを悩んでペンをトントンしちゃったり、変な線が入っちゃったりして生まれた隙間を想像できますし、下はぐちゃぐちゃになっている様子が想像できます。
カタカナを混ぜるのもオッケー! だって物によればそれは日本語とは限らない(日本語に変換されいるだけで、物語の世界では日本語ではない)し、基本的にカタカナの方が直線的で書きやすい特徴があります。なので、余裕のなさがそこまで違和感なく伝わってきます。これは宗教がある部分だと思う んですけどほんまにあるんか?

 

文字が汚いからってギャル文字。そしてできる限り短文

 

 

さて、上記の例をお分かりいただけたでしょうか。

「台詞をそのまま筆談(筆記する事象)に持ち込むと、実は変なことになる」
ということに。

 

ここで面白いのが、メッセージアプリやSNSやっていると普通に「……」や「あっ」「んー?」とか、使うんですよ。
推測ですが、書くという行為以上にキーボードやスマホでは文章を手早く生成でき、話し言葉をそのまま出力しているのではないか? と考えています。勿論使わない人もいます。
このお話、誰かソースや論文あったら教えてください。読みたいです。

 

もう一つ。「!」も筆談では使用頻度が低いけど、SNS等では使う頻度高いよな、と思います。「顔文字を使うのも苦手だけど、怖がらせたくないので「!」を使いがち」という話も聞きます。私の話ですねそれ。
筆談は目の前に人がいるので、そこまで気にしないのかな? と思いますね。あとは「!」と使って強く訴える前に、強めに文字を書き殴って叩きつける、とかって行動で表してる印象があるかも。

 

そしてチャットメッセージでも「精神的にいっぱいいいっぱいなやつ」をロールすることができる一例がこれ

 

 

これ最早筆談解説じゃなくて雑談じゃない? ラジオとかでやるようなさあ。

 


♦本当にその文章、「書く」?

わんころのキショい拘りパート2です。
日常会話で「お腹空いた~ お母さん、今日のお昼ご飯なに~?」と聞くとするでしょう。
じゃあ筆談で『お腹空いた~ お母さん、今日のお昼ご飯なに~?』って書くか? と問われると、多分大体の人は書きません。
じゃあどう書くか。

 

『何か食べたい』あるいは『お腹空いた』こうです。

 

何故なら書くという行為は面倒くさいし時間がかかるから。
書くと、それだけ人を待たせます。けれど、待たせるのって気まずいし、早く伝えなきゃ! ってなりますよね? ならない? 書くの面倒くさいって気持ちはない? なかったら……それは、そういう人ですね……
ともあれ、それを回避するために「できる限り最低限で、必要以上のことは書かない」を心がけるとよりリアルな筆談になります。
けれど、パッと端的に、必要最低限書くことって案外難しいですよね。その場合は、一度台詞を書いてしまって、そこから必要のないと思った言葉を消していくといいでしょう。筆談に拘り過ぎている人間の行為なので、こんな意識ぶっちゃけしなくていいです。

 


♦「書けない」も立派なロール

別の言葉で言い換えると、「言葉が出てこない」「声にならない」です。言葉を綴れなくて考えこんでしまったり、紙の上でペンをトントンとしてしまったり。書こうとしてペンを持ったけど、そのまま何も書かれなかったり。
これは、大事なロールです。無言と同様なのですが、この動作を入れ込むことで心理描写も盛られています。考えこんでいたり、迷っていたり。書けないことにも意味が出て来るのが筆談です。何度もやるロールではありませんが、「PCが何も返せないよ~! 無視したいわけじゃないんだよ~!」と困る必要はどこにもありません。書けないロールをやりましょう。もう一度言います。書けないということには意味があります。

 

答えられず、返事ができない筆談ロールがこちら

 


♦「書き方」による心理描写

書き方!? になりました? 書き方はねぇ、大事ですよ。
上手く言葉がまとまらないときはゆっくり書いたり、動揺しているときは手が震えて読みづらい文字になったり。怒りのままにガッタガタになっちゃうくらいに強い筆圧で書いたり。書く速度、筆圧、文字の綺麗さ、その1つ1つの動作も大事な情報で、心理が強く反映された動作になります。
また、普段の文字とは異なる調子になるのもいいでしょう。言いたくないことは小文字になったり、眠いときに書いたから読めなくなったり。些細なこと、と思いますが、こういった些細なことを大事にしていくと、リアルでより豊かな表現ができるようになります。

 

私一回やりたいロールがあるんですよ。白紙のページが開かれた日記帳があって、何か破った跡と上のページがやたら強い力で書かれていたせいで、今開かれているところを鉛筆でこすったら字が出てきて読めるようになった、ってやつ。これやりたくないですか?

 

 

♦筆談だからこそできるロールをしよう

すげーーーニッチな話です。
本当にニッチな話をしております。
あと筆談ではないものも一部混ざります。

 

 

・線で消す、書き直す

これ何て書こうとしたと思う? 私覚えてないの



言い直し、あるいは「今のなし、忘れて」「何でもない」に当たる描写です。
言語化、って難しい行為なんですよね。言葉を詰まらせる、上手く言葉にできない、をこうすることで表現できます。
線で消す、は筆談以外にも便利なもので。日記や書き残しのところで、二重線を引いたり塗りつぶして何を書いたか完全に分からなくさせたり。それをページの裏から鉛筆でこすって反転文字として浮かび上がらせてきたり、筆圧次第では下の紙に跡が写っててバレた、とかもできるわけですね。

 

・書いたページを破って捨てる

直近でやった好きなロールの1つ

 


このロールは「今までの自分の在り方を顧みて、これまで辿ろうとした結末を否定する」といったものです。一種の覚悟を決める場面ですね。そんな文章が一切なくても、この動作だけで何を示しているかが分かるかと思います。分かんなかったら分かんないでもいいロールではあります。その場合自分の中だけで決められた覚悟になって、これはこういう味になるんですよね。
でもこのロールを交わしてくれた人は、ちゃんとこの意図をくみ取ってくれたので流石~~~!! と拍手喝采しました。言いたいことや意味を説明することも大事ですが、相手に読み取ってくれると信じてロールを投げることも大切です。
読み取ってもらえなくて拗れた回数? ロールの醍醐味の一つだと思いませんか?

 

・漢字が書けない

無粋ってパッと書ける?

 


「無粋」って言葉は知っていてもぱっと書けなくない? 私は書けない。このPCはそこまで賢いPCではないので調べる動作をさせました。こいつはスマホを持っていたのでスマホで調べるロールをしましたが、調べる道具がなかったら平仮名で書いてもいいでしょう。
同じように、日常茶飯事と書こうとして分からなくなって、けれど正しくも読めてないから「にちじょうちゃばんじ」と平仮名で書く、なんてロールもできます。PCの性能や持ち物で決めましょう。
でもやりすぎるとテンポが悪くなるので、1回やったらさらっと流す程度のロールにするのが吉です。

 

・すでに書いてある言葉で意志疎通をする

声が出ない上に文字も書けないキャラです

 


筆談とは違うんですが、スケッチブックやメモ帳を使うキャラが使える術です。
よく使う言葉をあらかじめ書いておいて、必要になったときにそのページを開いて示す……ということができます。
筆談のできないキャラは、誰かに書いてもらって意志疎通手段を増やす、ということもできます。けれど、どうやって相手に書いてもらうか、になりますよね。これに関しては『意思疎通できない煩わしさ』を相手PCに与える必要があります。そして、語句は少なくていいので『事前に別の誰かが意志疎通のための言葉をいくつか書いておく』。そうすると、言葉が足りないから言葉を足してあげよう、という動きに繋がり、語句を増やしてもらえる(かもしれない)、というわけです。
勿論何も書かれていない状態からスタートしてもいいです。しかし、事前にいくつか書いておく点には明確なメリットがあります。それは、『相手に意志疎通の煩わしさを解決する選択肢をちらつかせ、ロールの誘導を行える』ことです。0から発想を求めるより、ヒントがある状態の方が解決手段を閃きやすいですよね? そういうことです。
これに関しては、自分がやりたいことを優先してどうするかを選ぶのが吉だと思います。

 

 

♦世界観にあった補助道具を

これに関してはほぼ言うことはないんですけどぉ……

メモ帳に書いて筆談、はあくまでも基本。現代社会であればPCを使って電子音声で会話(スケットダンスのスイッチみたいなの)もできますし、ファンタジーであれば都合のいい魔法具があってもいいでしょう。
……前者やるなら、雨に打たれてPCが壊れて本格的に意思疎通ができなくなった、とかやりたいな……え? よくないですか? 誰かやってください。あるいは骨折しちゃって文字が打てずに筆談もできなくて困った、みたいな。え? いいな。やりたい。いつかやるかも(予定は未定)。

 

 

♦ところで……(+3章まとめ)

ずっとこれらを意識するのか? と問われると「いいえ」です。
ぶっちゃけ平時と大差ないロールをすることは結構あります。

 

それは「大人数で軽いノリでやるロール」、あるいは「何でもない雑談」のときです。総じて「スムーズに対話できた方が楽」なときですね。ずっとあれを考えてロールするとね、フツーにコストが高いのでね。さくさく進行したいときは意識度を低くしさくさく進行にしちゃいます。これは正解不正解の話ではないので、自分のやりやすいやり方でロールに使用するカロリーを調整しましょう。

 

雑談のときは殆ど話言葉でお送りするし、心理描写も特に制約なし

 

 

というわけで。以上、「声が出ないキャラクターのロールプレイ指南書」でしたがいかがだったでしょうか?
この記事を出すにあたり、オレオさん(X:@urukikinimu なんと全然定期ゲーム関係ない人)からこんな至言を頂きました(引用許可済)。

 

「発話できないキャラ、そのキャラ自体の可愛さもそうなんだけど相手の可愛さを引き出せるのもまた強みなので是非とも増えて欲しい」

 

これです。これなんです。
意志疎通が難しいということは、相手に煩わしさを与えます。しかしそれは決して悪いことだけではなく、相手のロールフックにもなるんです。どうにかして意思疎通手段を模索する、無視して一方的に話す、面倒くさいから無視をする。どれもがPCらしい動きであり、魅力でもあります。
それを引き立たせることができるのは、声の出ないキャラクターの特権です。この記事で、声の出ないキャラクターをやってみよう! と意気込んでくれる人が増えたなら本望ですし、声が出ないことによる一種の魅力が伝わったのであれば幸いです。

 

……さて、ここで恐ろしいお知らせがあります。
まだ続きます。全然まだまだ続きます。この時点で2024年アドカレ記事よりちょっと文字数少ないになります。は???
普通に読むの疲れたでしょうから、次のおまけパートを読んでから一回休憩することをお勧めします。

 

 

4章「声にならない声編」(おまけ)

需要があったので入れました。こちらは声が出ない、とは違いますが、声が出ないキャラクターであっても使う要素ですし、意志疎通できない部分ですし、入れちゃえ★ と、入れました。需要があった人に届けばいいなぁ。
あくまでもおまけパートなので、そこまで内容は濃くない(当社比)ですよ!

 

メガホンがバカ喧しいフィリア・バルナルス

 

 

♦個人的「文字が与える主観」

※かなりわんころの主観が強いと思われます
この手のロールをやる上で、頭の片隅に置いておくことをお勧めするお話です。日本語1文字1文字が与える読み手への印象というものがあり、意識しておくと目的にあった音を使用することができます。

 

■項目解説
(全部わんころの主観なので注意!)
(あくまでも「声にならない声をロールする」ときの評価です)

 

利便性:癖の有無。高いほど使いやすい。
リズム:リズム感の有無。高いほどリズム感を生みたいときに使いやすい。
    (高いと「っ」低いと「ー」に近い効果)
苦痛性:痛々しくしたいときに使えるかどうか。高いほど苦しそう。
不快感:綺麗なものが好きな人がどれだけ嫌悪感を抱くか。高いほどイヤ。

 

・あ
利便性:★★★★★
リズム:★
苦痛性:★★★
不快感:★

叫ぶとき大体使う。リズム感はないが、「ー」より苦痛性が高く感じる。「うわぁーーー!」よりも「うわぁあああ!」の方が痛々しくなるよね。
「ぁ」といった小文字にすると、母音は総じてリズム感が2ランク高くなる。

 

・い
利便性:★★
リズム:★★★
苦痛性:★★★
不快感:★★★

「あ」の代わりに「い」を使うと痛々しさが上がる。反面ちょっと生々しいというか、きちゃなさを感じるので叫び声としては使いづらい。
痛みを感じたときに「い゛っ――!!」といった使い方をするときに便利。

 

・う
利便性:★★★★★
リズム:★★★★
苦痛性:★★★★
不快感:★★
めちゃくちゃ便利な母音。唸り声、呻き声、喘ぎ声、なんでも使える。
口を窄める動きは総じてリズム感があるため、「あ」と違って「ー」ではなく「っ」に似た音になる(同じ母音なのでそらあそう)。

 

・え
利便性:★★★
リズム:★★★
苦痛性:★★★★
不快感:★★★★
吐くときにお世話になる音。並べれば並べるほど不快感が増し、「゛」をつけると本当にきちゃない。1文字で使うのが吉。別名「綺麗な「ぼ」」。
むしろ「ぇ」の方が使うかも。

 

・お
利便性:★★★★
リズム:★★
苦痛性:★★★★
不快感:★★★★★ or ★
叫び声や雄たけびなどに使える。「う」ほどの汎用性はない。「え」と違い、1文字で使うと急に不快感が増す。「ぉ」も便利。
「゛」をつけた瞬間冗談抜きにめちゃくちゃきちゃない。雄たけびで使う場合、1文字目か2文字目に1回だけつけるといい感じの強調になる。

 

・つ
利便性:★
リズム:★★★★
苦痛性:★
不快感:★
「っ」に対して全然使わない文字。「っ」より音は欲しいけど他の文字ほどはっきりとした音は要らない、というときに使う。ダメージを食らったときに「つっ――」とかって使う、くらい。

 

・は
利便性:★★★★
リズム:★★★★
苦痛性:★★★
不快感:★
息切れや喘ぎ声など、息を吐きだす際に必須の音。利便性が1低いのは、「なんにでも使える」とは少し違うため。
並べると笑い声に使える。+の感情も-の感情にもなるので、やはり特定の場面で便利な文字。

 

・ひ
利便性:★★
リズム:★★★★★
苦痛性:★★★★★
不快感:★★★

息が引きつったときの音。恐怖の類の不快感を孕んでいる。逆にそれ以外に使うことはそんなにない文字。
並べると急に怪しい人の笑い方になる。

 

・ふ
利便性:★★★★
リズム:★★
苦痛性:★★
不快感:★

「は」のマイルド版。使い方も「は」と殆ど同じ。
「は」と違い、控えめで大人しい。そのため上品で女性らしい表現になる傾向にある。

 

・へ
利便性:★
リズム:★★★★
苦痛性:★
不快感:★★★★

使うか? 「へへっ」て笑うときと「へ――」と疑問符を浮かべるときくらいしか私は使わない(なんなら疑問の際は「は――」派。綺麗から)。
えっちなので使用されてるのを見ることがあるけど、大分下品な声だよなと思っている(ので、下品なえっち作品を作る際には便利)。
Q.でもとあるよその子の「ふへっ」て笑い方めちゃ可愛いよな。
A.そうなんだよ。あの子「へ」の文字使っててもめちゃくちゃ可愛いんだよ。誰とは言わないんですけど。元のキャラが健気可愛い属性なのでむしろいいギャップになっていて大好き。自分でやる分にはこの文字を使いこなせない。

・ほ
利便性:★
リズム:★★★★
苦痛性:★
不快感:★★★★★

使うか??? 惚けたときや安心したときに「ほぁ……」「ほへぇ……」って感じに辛うじて使うか…… これなら可愛い感じがする。
これも下品なえっちで見る気がする。「へ」より不快感が高い。あれだ。きちゃない「お」。

 

・が
利便性:★★★
リズム:★★★
苦痛性:★★★★★
不快感:★★★

1文字でしか使う機会がないけど、リズムを生むのではなく、苦痛な叫び声を表現するときに使う。めちゃくちゃ苦しそう。
グロとか生々しい系の不快感がある。

 

・ぎ
利便性:★★
リズム:★
苦痛性:★★★★★
不快感:★★★★

「が」の食いしばってる版。叫びたいけど我慢しているときの最初の1文字目に使うことがある。「ぎ、ぃっ――」みたいな。
「が」よりも苦痛的なイヤ度が高い気がする。

 

・ぐ
利便性:★★★★
リズム:★★★★
苦痛性:★★★
不快感:★★

が行の中で唯一利便性が高い文字。何かを堪えるときや、攻撃を受けて防御するときに使う。
不快感も殆どないため、使いやすい。

 

・げ
利便性:★
リズム:★★★★
苦痛性:★★★★★
不快感:★★★★★

きちゃない。これを吐く音に使った瞬間めちゃくちゃ生々しくなる。逆に生々しくしたいときには使おう。
使うどころか、使いたくないから避ける文字ですらある。ので利便性は0。
↑って書いてたけど、せき込むときや吐血のときに使ってるので1に戻した。

 

・ご
利便性:★
リズム:★★★
苦痛性:★★★★★
不快感:★★★★
強い攻撃を食らったときに使うことがある。これを使うときはあばら骨の1本2本折れてるまであると思う。
グロ系の不快感があるので、滅多に使わないのはそう。

 

・ぶ
利便性:★
リズム:★★
苦痛性:★★★
不快感:★★★★★

きちゃない(冷静)。コミカルな吹き出しに使うことがある、くらい。
滅多に使わないしコミカル表現以外では避けるべき文字。

 

・ぼ
利便性:
リズム:★★★★
苦痛性:★★★
不快感:★★★★★

使わねぇよ(真顔)。ボーちゃんみたいに溺れたときにどうぞ。
吐くときにこの文字を使うと生々しさがとんでもないことになる。ので避けるべき文字。

 

・っ
利便性:★★★★★
リズム:★★★★★
苦痛性:★
不快感:★

一番使うよ。何にでも使うよ。万能言語だよ。利便性10点でも足りない。いつもお世話になっております。
息を詰まらせる、吸う、強調、リズム作り、なぁーーーんにでも使う。

 


以上になります。母音の「゛」は母音の強調の意が強いため、解説するまでもないかなぁ~と思って省略(各母音の項目で補足)しました。
これを覚える、というよりかは「無意識に感じている印象の言語化」だったと思います。
中には「そうか?」となったものもあるかもしれません。ぶっちゃけ「わんころはこう感じている」の話がでかいので、鵜呑みにしすぎない方がいいです。感性の……お話なので……

それでは、普段無意識に感じている音の印象を確認したところで本題に入りましょう。この話をしておかないと、この先のお話がちゃんと伝えられなかったんです。

 

 

♦吐く

吐く、という動作はきちゃない動作になります。つまり、そういう性癖や気にしないPLを除いて「リアルに書きすぎるとPLに不快感を与える」ロールとなります。ですから吐くロールに必要なのは、「吐くという動作を多少の不快感に留めて伝える」技術です。技術といっても自分の中で1、2個表現持ってたらいいと思うんですけどね。そんな吐くことないでしょ。……ないよね?

生々しく伝えるのなら「ゥオボ、ォオ゛ボォッロロロロロ……!!」(きちゃなすぎるので白文字。閲覧自己責任)とかになると思うんですけど、これが視界に入ったらどう思います? めちゃくちゃ嫌でしょ? なのでマイルドにします。


吐く、という動作は「息を止め、腹筋に力を入れる」→「口から出す」になります。これが分かれば立派な吐くロールになります。2つの動作があるため、台詞を2つに分けるか「、」で動作を区切りましょう。前者は所謂技を出すための溜め動作。つまり、「ぐ」「う」「っ」などのう行を使うと表現できます。
で、後者の動きは技を出す動作。は行はあくまでも空気を出す動きに最適なので、液体を吐きだすには向いていない。い音は口が閉じているから論外。あ音はそもそも口の形が違う。ので、「え」「お」「げ」「べ」「ぼ」になります。
お気づきでしょうか。これ殆ど不快指数が高い文字なんですよね。避けたい音を避けると「え」か「お」になるので、「え」か「お」を使いましょう。

 

そういう理由から、私は吐くロールの際は大体こうなりました

 

 

♦吐血

わんころは医療知識がそんなに深くないので、吐血も喀血の違いは分かってません。ご了承ください。

 

吐血は痛くて苦しいんだから、がっつり苦しくしましょう。けれど痛々しくしすぎないように。個人的には苦し気にせき込む中に、吐きだすような音を混ぜればそれっぽくなると思っています。
吐血ロールの際、苦しさを強調させるために「゛」が大変便利です。痛々しさをストレートに上げることができます。そして、吐きだしている表現として意外と便利なのが「……」です。血を吐きだしている、けれど嘔吐よりも短時間かつ小規模(どっちも吐く量の話)の表現としてめちゃくちゃ適任です。
というわけで、こんな感じ。大事なのは「痛そう」「苦しそう」です。

 

発話すると激痛が走り、吐血する子です。辛そうですね

 

 

♦獣の声

ウサギはこんな声しない

 

 

このPCはウサギの野性(異能力的なもの)を持つ子なんですが、ぶっちゃけウサギってこんな声しません。足ダンはします。じゃあ何でこんな声をさせたかと言うと、そもそもウサギと人間って声帯が違うんですよね。ウサギは声帯がないけど人間にはある。じゃあ、ウサギと身体の構造が違うんだからこういった唸り声になってもいいよね、と。
因みに狼も遺伝的にワンッては鳴けないらしいですよ(と思って調べたら、なんと人間が飼うとワンッて鳴くらしい。人間は耳が遠いから大きな声で鳴こうとしてくれるらしい。へぇー!)。

 

というわけで。何が言いたいかというと、「唸り声や獣っぽい声は、モチーフの獣っぽさよりも分かりやすさを優先していい」というわんころ自論です。でもモチーフの獣っぽさがあるとやっぱり嬉しくなります。梟だったらホーホー、猫だったらシャアアアアアとか言わせたいですよね。
唸り声の場合、万能文字は「ウ」と「ル」です。この文字を使っておけば唸り声になります。なんか適当に混ぜて、時々「ゥ」なんかを混ぜておけば低音ガルガルが表現できます。1文字目に「グ」を使ってもいいでしょう。印象的には「ウウウウ」の方が毛を逆立てて低音で唸っている、「ルルルル」は喉を鳴らしているようで特別警戒の感情は感じない声、と感じるでしょう。「グルルル」にすると獰猛な獣らしさがアップします。そこに「ア」や「ッ」を混ぜると吠えている声も作れます。

 

海ボチャしてパニックになってるウサギ

 

 

あとは平仮名とカタカナ混ぜると、人間と獣の声が混ざっているような発言にできます。人間から獣になりつつあるときや、人間と獣が中途半端に混ざっているときなんかにどうぞ。総じて狂気や発狂を連想させられます。

 

ぐちゃぐちゃ感がいい感じに出せたお気に入りのロール

 


♦4章まとめ

いかがだったでしょうか。というより、こんなに長いことお付き合いいただきありがとうございました、何だよな……ここまで読んだ人いるんですか……? ありがたすぎる……
以上で私が伝えられる、「声が出ない人のロール」「声じゃない声のロール」の指南書でした。この2点でこんなに長い文章が書けると思いませんでした。これでも項目いくつか間引いたってほんと?

 

ここでお話したロールは声が出ないキャラでなくても使える技術で汎用性も高いと思いますので、是非有効活用してください。息遣い、台詞のテンポ、身振り手振り、それら全てを使い、魅力的なキャラを描いていく……それが、ロールプレイ! できることが限られているからこその魅力、声が出ないキャラ! できることが少ないということは、その少ないことが魅力! そしてその魅力で周囲のキャラも引き立たせ、素敵な物語へと昇華させましょう!

 

皆様が描く物語に、幸あれ!

 


で。
終わると思いました? 終わらないんですよ、これが。
(ここからは本当の本当におまけパート。読み飛ばしていただいて構いません)

 

 

自PCと他PCの「喋れない」紹介

喋れない、にも色々いるんですよ。王道の失声症から魔術的なファンタジー要因、自らの理由で声を閉ざした、等々。
キャラメイキングやハンドアウト、ロールの参考なればいいなぁと思い、PC紹介も行うことにしました。そして! 今回は自PCだけでなく! 他のPLの方々からもご紹介のための寄稿をお願いし、4名の方がご紹介してくれました! やったー! 私が読みたかったー!!

 

自PC紹介

ここまでたくさん語りました。それはもうたくさん語りました。
「色々語ったけど結局お前はどういうキャラやったの?」と疑問に思うかもしれません。スクショが盛りだくさんで微塵にも思わない? まあまあ。ここでは声の出ないPCや声が出ない状況が発生したPCの一例をお送りいたします。是非あなたのキャラメイクの参考になれば幸いです。でも自キャラ紹介が強いのでやっぱり読み飛ばしてもいいかも……

 

 

♦月影誠(失声症

王道の後天性声が出ないロール

 

 

精神的に追い込まれた結果、失声症を患ったPCです。


・基本的に善良な感性を持つ人間
・神秘のせいで狩猟本能を持っており、殺すことと命がけの戦いが何よりも好き(自分はこの一面が嫌いだけど否定はしていない)
・過去に父親を殺しかけたことがあり、トラウマになっている

 

といったPCです。そんなPCが


「恋人が死にかけの重体に陥る」→「治療はされたけど目を覚まさない(ここでお見舞いにくる)」→「狩猟本能を殺しながら、自身の神秘を使って意識の回復を試みる(+彼女のトラウマの口づけを行う)」→「回復する めでたしめでたし」→「次の日もお見舞いに行く」→「回復を試みた際の出来事で痴話喧嘩になる(鈍感な月影が悪い)」→「湖畔で凹んでたら知り合いが来る」→「めちゃくちゃ気に障る励ましを受けてキレる、けど堪えて「放っておいてくれ(意訳)」と言う」→「放っておいてくれなかったどころか煽られて殺し合いに発展(因みに月影君はこの時点で殺す気はなかった)」→「本能に飲まれたところで返り討ちに合い、重傷(頑丈さが一般人なのに、真向から怪異の渾身の一撃を喰らったら当然)」→「恋人退院前。同じところに運び込まれる」→「起きたときに本能が退いておらず、恋人を傷つけよう、としたのを自分の方へ刃を向ける」→「それを庇った恋人が怪我する」→「ここまでの精神的な追い込み+トラウマから一番恐れていたことが起きた」→「失声症

 

って感じに長……え、経緯簡単に書いたつもりが長…………というかこの経緯見たらシンプルに可哀そうだな…………更にこの後友人の言葉で更に追い込まれて難聴まで患うんだぜ……

 

そんなこんなで、王道の失声症をロールができました。こないだまで普通に話せていたのに、言葉がでなくなった。だからうっかり話そうとしちゃうし、言葉が出ないことに負い目を……そこまで感じてなかったな……

 

「わんころさんはよそPCの罪に対して罰がえぐい」ってとある方に言われましたけど、「人の心ってそんなに強くないんですよ」と返しておきますね。おかしいなわんころPC、基本的にメンタル強靭なのが多いんだけどな。変だな。まあええか。

 

皆さんも追い込まれたら是非失声症をプレイしましょう。
私はよくやります。多分4回目です

 

……そういえばこいつ、よく立ち直れたな。
わんころPCはちょこちょここのまま立ち直れずに悲惨なままになります。
な! 菊月澪! オクエット! ジルエッタ! ツワォツ! フタバ! 多くね?

 

王道な失声症だったので、今回は本当に解説役としてお世話になりました。直近だったこともあり、ナイスサンプルでした。

 


♦ウーシア(後天性発話能力なし+筆談不可)

「」内に許されるのはスペースのみ



ご存じの方はご存じの、「わんころが風邪で喉が痛くて声がでないときに、舌打ちしながらチーズリゾットをレンチンしてるときに思いついた」キャラです。
ウーシアちゃんは発声能力を奪われた(喋ると喉に激痛が走り、吐血する)ので、「 」しか使えません。更に文字が書けないため、筆談も不可能。スケッチブックには最初にいくつか文章が書かれており、その文章を示すことで意志疎通を図る、といったキャラでした。

 

やりたいことが2つあって、1つは「拠点にスケッチブック(書き置き)を置いて、皆に連絡や必要そうな言葉を書いてもらって意志疎通手段にする」、です。意図をくみ取ってもらえたので、無事に言葉が追加されて喋れる言葉が増えました。それでも意思疎通がなかなか大変だったのは発見でした。

 

もう一つは。岩場の探索って、足を滑らせて落ちるじゃないですか。
声を出そうとすると激痛が走って血を吐いて、ロクに言葉にならない人間ですよ。

 

必死に出ない声を出そうとしている

 

これを!! やりたかった!!!!
はい。これがやりたかったです。私が立てたシマに来てくださった人すいません。楽しかったです。
誰も気づかなかったらLIFEめちゃ減らして岩場に良い感じに引っ掛かった、とかするつもりでした。幸い気づいてもらえたので助けてもらえましたとさ、めでたしめでたし。

 

因みにこの子は最終的に恋人ができたし、テレパシーの技術をプレゼントされたので今ではペラペラです。やったね。

 

秘話で相手だけに分かるように惚気るのが大好き(これは念話の悪い使い方)

 


♦花咲アザミ(後天性失声症+筆談不可+花言葉会話)

ロクなスクショがなかったので一例が挙げられず……
アイキャッチ画像の悪魔っぽい感じの子です。夢魔で、発話しないし筆談……不可だったか? スケッチブック持ってたよな? あれ? 筆談してた……? 絵を描いて示してたかも。「言葉を否定した子」なので……

 

この子は元々は人間だったんですが、すれ違いが起きた後に好きな人が交通事故に遭うところを目の当たりにしてしまい、夢へと逃げた結果夢魔になった……という境遇です。私これ語ると羞恥心がむずむずしちゃって……

 

意志疎通手段は「自分、あるいは人の心を花にする」、です。感情と花言葉を結び付けて、感情に合った花言葉の花を咲かせる力です。ありがとう、と伝えるときはラグラス(花言葉:感謝)を咲かせて手渡したり。花言葉辞典が手放せなくてめちゃくちゃ大変でした。
因みに本編には出てこなかったんですが、この子には使い魔がいて「触れたものに込められた思いを読み取る」という能力を持っています。それで意思疎通を行っていたんですって。この使い魔の話も始めると闇が深いんだけど、イバラ以前のキャラはどうして総じて闇が深いんでしょうかね……

 

……でも花言葉って、花『言葉』なんですよね。
結局意志疎通やお互いに分かり合うためには言葉が必要だと、皮肉めいたメッセージが込められたキャラでもあったなあと思います。

 

あ、この子は何だかんだ最終的には言葉を肯定しているし、両想いになってハッピーエンドを辿ったのでめでたしめでたしになりました。
この能力大好きなので、同じようなことをもう一度やりたいなぁ、とひそかに思っています。

 


♦フローラ(声を出さない+筆談の字が下手)

可愛い

マンション人狼でやった子です。「キャラクターと感情ダイスを振って、出たキャラクターに対して出た感情を抱いているという設定で遊ぼう!」という村で、私は大暴れしてきました。違うんですよ。子供が抱く恋愛感情って尊いよね、っていうのをやりたかっただけだったんですよ。なんか対面が……元カノがいるとか言い出したから……よりを戻させようとしただけで…………

 

かなりオリジナル色が強いローレライの女の子です。特徴的なのは、「人間になりたい。腕が翼になっており、長い袖で隠している。翼の腕は不器用な代わりに、足を器用に扱える」→「筆談の文字が汚いのでギャル文字でお送りする」という、読み手にめちゃくちゃストレスを与えかねない筆談をしました。信頼できる人達とのロールだったからこそできること!

 

そしてこいつの何よりもえぐいところは!

 

紫は秘話、灰色は独り言(エピローグ後に読める)

 


独り言でそのときに何を考えていたか、本心はどうだったか。
それを全部書いておいて、エピローグ後にロールを見直した相手にダメージを与えるという造形です。わんころがロール速度早いからこそできる芸当です。これをやろうとするとロール負担度が倍になります。
あのとき嬉しそうにしていたと思いきや、実は本心では凄くマイナスな心を抱いていた、だとか。本当は悲しいのに明るく振る舞っていたとか。全部終わってから真実が分かる、という造形にしました。
後は歌わないと短命になる(元々短命なのが更に短命になる)だとか、お花を売ってるけど母親が歌で咲かせたお花を売っていて、自分はお花を枯らす歌しか歌えないだとか。大変切ないストーリーを込めさせていただきました。
鳥頭で忘れっぽくって、初恋の人は頑張って覚えていようとして。でも相手にはもうお付き合いしていた人がいたから、全部諦めて。そうして、最後がこれ。

 

 

 

そんなんだから対面をべこべこにしすぎてサッカーゴールさんにさせてしまったんですよ。わんころは感情を描くときに全力になりすぎるんだよ。反省しろ。サッカーゴールさんへ。その節は大変すみませんでした。

 

 

他PC紹介

ここからはこの記事のために寄稿していただいた、4名の方の記事になります。勿論声の出ないor出なくなったキャラ縛りです。よく4名も集まったな。
どういうところに気を付けたか、拘りを持っているか。皆さん最高に『分かっていらっしゃる』ので、これだけは読んで帰ってください。お願いします。何でもはしませんけど。

 

なお、各記事1文字以上5,000文字まで、という制限でお願いしております。
そのためがっつり記事がある人とふんわりな人がいらっしゃいます。
文字数関係なく、全員素晴らしい記事を書いてくださっているのでどうぞこれだけでも見ていってください。というかこれを一番私は読んでほしいよ!!

 

♦ルルクス様(X:@I_am_rurux

というわけでこんにちは、こちら寄稿のルルクスです。
声が出ないキャラ・喋れないキャラのロールということですが私の方からは少し発展して、
「特定の言葉しか喋れないキャラクター」のロールプレイのご紹介です。

 

この記事にはデスゲーム『*フタハナ*』の話がふんだんに含まれています。
デスゲームの話が苦手な人はスルっとまるごと飛ばしてください。

 

キャラクターイラストは箱舟みかん様より!



今は昔存在したデスゲーム、*フタハナ*(以下フタハナ/ハナ)というゲームへの出場キャラクターです。
まずこのキャラの話をするためにも一旦フタハナというゲームについて紹介しておきます。

 

フタハナというのはフタハナ運営さんが運営していたデスゲームです。
時によっては特定のルールやレギュレーションに基づいて「一週間殺し合いをし」
「最後に残った二人が“フタハナ”として願いを叶えて貰える」というものでした。

かつては大体最後の二人まで人数が減る事が無かったため、強めの厭世ムードで
一週間生き抜いたら全員船で帰れる~とゆるゆる終わっていたのですが、
デスゲームなんだから積極的に殺し合い起きて欲しいしフタハナ生まれて欲しいよねということでか
ある時を境に所持しているリソース量に基づいた脱落制が生まれました。
これによってフタハナが生まれやすくなり、デスゲーム然としてきて面白くなったりしてました。

 

今回ご紹介するキャラクターはそんなデスルールありの通称「デスハナ」に、
キャラクター設定の時点で「フタハナにならなければどうにもならないキャラ」を持ち込んでみました。
というわけで冒頭のスクリーンショットにあったセドナちゃんについて緩くお話していきます。

 

初ロール。プロフィールにある発言ですね。

 

 

キャラクターのコンセプトは「NPC」。
自創作のうにゃうにゃした話は全部割愛して若干の語弊を含みつつ話すと、
予め定めたセリフしか喋れないキャラクターです。

勇者と魔王の居るファンタジー世界で、イベントの中で一時的に仲間になるNPCとして造形。
多少の応答は出来るようにはなっているものの、自由な会話は出来ない程度の雰囲気でやっています。

 

基本の設定は「王に仕えていた両親が王の乱心によって処刑されてしまったため、王に対して復讐を誓う少女」です。
バカ重い。すいません、退路を出来る限り絶った結果です。フタハナにならないとどうしようもないキャラなので。

 

こちらはセリフリスト。“NPCセドナとして”のセリフです。

 


さっきの告解懺悔っぽいセリフが無いのですが、これは理由がまああって。
それは少し後にお話しようと思います。

 

基本立ち回りは積極的なキルムーブ。
フタハナのやり方はまあまあ知っていたので、割とボコスカと暴れまわりました。
何キルしたか記録取ってないな。はい。覚えてないです。

 

ゲーム開始前のロール。



そういえばこの記事ロールプレイ指南記事でしたね。
折角なのでそういう話もします。そっちのが主題だね、そうだね。
このような発言に制約があるが、その事を伝える事が先ず難しいキャラをやる時は、
地の文でその不自然さを強調する事が大事だと思います。

“返答としては不自然”“先の言葉の抜粋”“定められた言葉を紡ぐ”
こちらの言葉が不自然である事は、対峙しているPCさんがその理由を汲み取るまでは繰り返し強調しましょう。

 

他人っていうのはそこまで普段から相手のRPを注視しちゃあいません。
向かいに来て、サシや少人数で会話したときにはじめてこちらのキャラクターの所作に注目してもらえるものです。
相手PLに汲まれるまで強調することは無声PCや制約PCに限らず意識しましょう、
逆に汲まれた後もやるとくどいので気を付けてくださいね。

 

初めて向かいに立った時に相手が気になるだろう情報、そして短い時間で把握できる情報は、積極的に落としましょう。
<b>交流に難のあるPCで交流の種を蒔くのはPLの仕事です。</b>
PCが取り付けられない分、PLが突っかかりを用意することを意識しましょう。

 

これは新鮮な殺意です。攻撃的ですね~。

 

 

さて、キャラクターの紹介に戻りましょう。
セドナは両親を王に殺されたため、王に復讐を誓うキャラクターであるとご紹介しました。
が、それだけではないキャラクターです。
何故懺悔の言葉を持ち合わせているのか。
キャラクターを観察する人にしか分からない違和感、あると嬉しいので、あります。

 

ぶっちゃけキャラの目的とか考えなんて多層的で単純でない方がにっちもさっちも行かなくなって嬉しいので(個人の感想)
心情的な面、社会的・実体的な面の両面のアプローチを考えた上で行動は出力すると美味しいと思います。
自分の行動の理由にすぐ心情を挙げると短絡的にも見えますからね、数枚フィルターはあった方が深くてうれしい(うれしい)
逆に短絡的にしたい場合は感情から直結でいいかなとも思います。

 

こうやって言葉をつぎはぎして意思疎通をしてました。



大事なワードです、「勇者様」。
民を虐げる王を弑するために勇者の力が欲しい、というのが上面です。
本当は別の理由の為に勇者が欲しいのですが、勇者が得られればよいので……。

実はこの「勇者」、フタハナで知り合ったよそのこにそれに押し付けてもいいと思ってたんですが、
この後心情と齟齬って目標変更になって無理になります。

 

もう少し細かいキャラクター設定をここで公開しておきますね。
この時点のセドナ王を弑し、反逆者として獄に入れられた後のものです。
罪人というレッテルが張られたために懺悔人NPCのセリフも割り当てられており、
本来のNPCセドナが持たなかった懺悔人NPCのセリフも持っていたのです。

で、なんでそうなのに勇者が欲しいかって言うと、
勇者が来てこの真相を暴けば自分が正しい(罪ではない)事が分かるはずという考えからでした。
……で、なんでそれを“勇者”に頼るのかは、また番組の後半で!
勇者という信仰に漠然と期待していた、訳ではありません。

 

朗らかにロールをしたよそのこが死んでた時のロール




そう、キャラクターの目的はさておき心情というのは簡単に割り切れるものでない方が
ロールプレイ的に引っかかりが多くて美味しいと思うんですよね。
セドナは特に年若い子どもであるので、自分の心情をそこまで上手い事割り切り切れていないキャラクターでもありました。
復讐のために心を鬼にしようとも、目の前で笑ってくれた相手には情が湧いてしまう。
自分の目的の為には死なせたままのがいいと思いつつ、そのままなのが嫌。
そんな心情と目的の乖離こそがあらゆる行動を生むおいし~~力だと思うので、
皆も「割り切ったし頭で理解したからそうやって振舞える!」と言い切らない方が楽しいと思います。
感情と実情、損得利益の齟齬があるからこそ動きが生まれて、交流が生まれるところもあるでしょうしね。
葛藤楽しんでこ!葛藤楽し~~~!!!
これは無声PC全く関係ない話です。私の思想です。

 

フタハナでは口づけで数回蘇生ができます。



あと実はセドナは口語の制約はあるけれど文語には制約がないので、
ふつーに筆談は出来たらしいです。両親が王に仕えてただけあって学がある。
ただフタハナはデスゲームという性質上、ゆっくり筆談をするのはあまりそぐわないなと思っていたので
全体的に口で伝えていました。筆談、口語よりも時間がかかる行為なので……。

 

“解釈”を相手にぶん投げるロール



さて、言葉に制約があるキャラクターというのはその性質上“相手の受け取り方”が大事になってきます。
ある程度は地の文で補足し操作する事が出来るとは思いますが、ひとの言葉とは正しく伝わらずに
齟齬が生まれた方が美味しいもの(個人の感想)
ド丸投げしちゃお♪とこういう地の文を書いたりもしました。
これは相手の話を聞いてるロールだったので猶更、こうすると相手が話したい事話しやすいかなという気持ちもありまして、
これは良かったな~と思って居ます。よかった~。


そうやって色んな人と交流していきましたデスゲーム、
当然色んな人の心情やら感情に触れる機会も多く、
セドナちゃんも色々思う所がありまして。

 

無声のロールがちょこちょこ増えていきます。

 

 

ここでセドナもう少し細かい設定を置いておきます。

ゲームの世界……ではないんですがゲームの世界は、当然それを作った者がいます。
それは世界の中からみたら神と呼ばれるものであって、
その世界の人たちはその世界は神に作られたものだと認識しています。
ですがそれを“何かのストーリーを完遂するための”世界とは思いはしないでしょう。

けれどももし、それが“何かのストーリーを完遂するための”世界であったら、どうでしょう。
そのことに気付いてしまった時、知ってしまった時、どうでしょう。
まだ自分が主役であったらいい。けれども自分は端役で、物語を彩るために理不尽な目に遭わされていたのなら。

セドナはそういうキャラです。世界が“勇者のため”のものだと気付いてしまって、
自分の運命をそうしたのは神であると気付いてしまったキャラクターです。
だからこそ自分の運命に干渉出来るのは勇者しかいないと思って勇者を求めたのです。

“勇者のため”に用意された“暴君と対峙する”ストーリーを破壊してしまった(王を弑してしまった)ばかりに、
想定通りにその街のストーリーが進まず挙動がバグってしまった。そんなところから来たのがセドナです。


いや自分で書いておいてだいぶカスな設定だな。カスです。
フタハナにならないと救われないようにしていたから……。

故に当初の目標は勇者を見つける事だったのですが、
改めて願いを振り返って、もっと根本的な願いを持つようになりました。

 

それをキャラクター視点で説明したものです。



そして願いの変更



自由な外の世界を知った事で、制約がある状態へのフラストレーションが高まって
そういう方向性になるの、「元の世界を出たからこそ得る事」で個人的には良いなと思って居ます。

制約を寛容に受け入れられる事。制約のあるキャラクターにとっては嬉しい事でしょう。
ですがそれに甘んじたくない、憐れまれたくない、対等に居たい。
そういう心が更に突き動かしていくのは、おいしいよな~~~の気持ちです。
どうしようもない制約に対する姿勢の変化、ロールプレイで遊べがちなのでおすすめです。

 

何を言おうとしたかの補足をしない無声、
ほんとうに“何も伝えられない”事が露呈していいですね



まあこれは割とフタハナだから出来たロールなので、アレなんですが……
(超常的に“願いを叶えられる”機構があり、命を通して人々の感情のやりとりを見る機会があるからの、やつ)

このままバディを殺してしまうのであんまり普通のロールの参考にはならないです。
“言葉に制約がある”キャラクターの面白さを伝えられればいいっちゃいいので、いいかあと思っています。


というわけでこの辺でまとめておきますか。

 

言葉に制約があるキャラクターは、
・言葉に制約がある事を地の文で匂わせる。
・此方から言葉でのアプローチが難しい分、地の文でロールフックを置く事を意識する。
・筆談や読唇に頼りすぎない。
 (発語に制約がある分、言葉をまとめる能力はなお不足していると思った方がよいかも)

 

辺りかな~というのが私の主観です。
ちなみにセドナをやっている間「この言葉(音)って発語できる?!?!」と一生メモ帳内で検索を掛けていました。
制約を拘ったキャラクターをやる時はPLの手間は覚悟しておきましょう。その分やりがいがあって面白いですよ。

 

そんな感じでした。駄文失礼いたすッ!!!

 

♦かいばー様(X:@CaiberMAKISE)

Noteで記事を貰ったため、NoteのURLをぺたっとさせていただきます。
こういう文字数節約方法もあるんだな。覚えておこう。

note.com

 

 

♦日記様(X:@kiauztoka)

こんにちは〜(気さくな挨拶)

寄稿を頼まれた日記と申します。
直近の定期ゲだと北アザになると思いますが  『朔初』『白山千鳥』の2人とかあとなんか何人かやっているPLになります。(今回はここ2人全く関係ないです)
以後お見知り置きを願います。
さて、今回は一点寄稿にお誘いいただいたため不祥ながらも一筆取らせていただいている次第となります。
こう言った記事を書くのは私としても初めてのことですので、至らぬ部分であったりだとか、読みづらい部分があるとは思いますがどうぞよろしくお願いいたします。


では、本題である【声の出ない人のロールをしよう】に入らせていただきます。

基本的にぴーちくぱーちくうるせえ奴が多いのが日記のところのキャラクターとなりますが、声が出ないキャラクターもなんと、いる。
そいつがこちら。

 

キンシバイエステルリア

 

こちらうちの声の出ないPCである【キンシバイ】というキャラになります。
ある大陸で郵便屋さんをやっていた穏やかな明るさを持つ青年。
実は機械人形です。上の絵だと見えないけど片腕が皮膚が張り付けられてない金属剥き出しの腕だったりしますね。
けども老朽化したと本人が判断したので郵便屋は廃業。
余生をのんびり過ごしている…割には物運びの手伝いも郵便屋の手伝いもそこそこやってるような、働き者の機械人形ですね。
この老朽化というのが声の出ない原因になります。
【声を発する部分が機体の老朽化に伴って損傷した】から、声の出ないキャラ。
後天的理由ですね。
なので時折喉を動かすような仕草を地の文で書き足したりしています。
どういうことかというと、面白い・楽しいという感情を受けた時、声をあげて笑うとします。
でもキンシバイは声が出ません。
が、昔は出ていた。

 

“そこまで考えれば、くつくつ、とキンシバイは笑った。笑い声など出ないから。
金属がぶつかってなるような、人によっては不快な音だっただろうが”

 

ので、こう言った文が出来上がるわけですね。
人のような笑い声は出ない。だから声は出ていない。
けどもキンシバイは老朽化した機械人形なので中身の金属の駆動音は聞こえるかな〜と思って、笑う際はこんな感じの文を入れています。
ここはこだわりかも。
人間は笑っても心臓の音は鳴らないけど、キンシバイは機械人形だから中身の音が聞こえたらいいな…

 

さて、本題に移るとして、どのように他の人と対話を繰り広げているかと言われると、筆記になります。
声が出ないキャラさんは対話をする際、筆記を使うことが多いんじゃないかな〜と思います。
うちもそうという話。

 


こうですね。
括弧の使い分けで地の文とキンシバイ自身が書いた文(セリフ)を分けてる形になります。
書いた文は基本的には一文ずつ括弧を区切ってる気がする。
文章の段を変える的な意図です。あと読みやすさ。
キンシバイが書いてる文がセリフ部分になりますね。
喋り言葉を聞いてから書き始めるのでセリフはいつも後になるようにしてるはず。
キンシバイは元々記録を記すために作られた人形だから後天的な声失いではあるけど、相手の話すこととキンシバイの書くことの間に時間はかからない(元々書くことを目的として作られた人形だからかなり書くのが早い)→だからサクサク解答ができるよ〜という設定が頭の中にはあります。
そうじゃなきゃ多分もっとセリフ量少ないキャラになってたかなあという気持ち。キンシバイは割とよく喋ります。
でも括弧を細かく分けて書くまでにラグがあったよ〜と地の文で書くのが個人的に好き。
思考する生き物だよ〜というのが表せてる気がして…
あとはセリフとはいえ書き言葉なので、〜だなあではなく 〜だな にするとか。
間延びした言葉・感嘆符は使わないようにしている形です。忘れてる時もあるけどできるだけ気をつけてます。

 

地の文はできるだけ動作を多く…!わかりやすく…!のつもりで書いてますね。
私は地の文をフワッとさせがちのよくない悪癖があるんですけども、キンシバイに限っては声が出ないので、仕草や動きを細かく明確に伝えることで何してるかわかりやすくさせたいなあと思っています。
声にこもってるニュアンスが行動でしか示せないので、考える時はノートをペン頭でコツコツ叩いたりとか。
声って感情が乗るから、発した時に音の高低差とか、イントネーションとかで強さや持つ感情が伝わる物だけどそれはできないので、おどろいたら目を丸くした、とか、悲しかったら眉を大きく下げた、とか。
後、初めましての交流相手さんには文字でセリフを書いた後、必ず喉を叩いて手か指先でバツを作る動作の地の文入れてる気がします。
書くよりもキンシバイなら動きな気がする。そっちの方がなんかいいかなという好みです。私の。

 

キンシバイ動かす上での難点を挙げときましょうか。
これはひたすら文章が長くなるにかぎります。
地の文が伸びていきます。
かつ、キンシバイは“流転のグリマルシェ”というAP制ゲームで動かしているキャラになるのですが、ここ1レス250文字の制限があるんですよね。
地の文が長くなるとね……レスの個数も増えてね……もったりした感じにね………
ので、できるだけ250文字でレス収まるように頑張ってます。
できてるかどうかは…………(精進します)

 

ぼや〜っと思ったことをつらつらと書き連ねましたが、いかがだったでしょうか。
キンシバイというキャラは性格が穏やかで気さくなお兄さんなのもあって声を失っててもぼや〜っとしてますね。
穏やかに死(機能停止)に向かってるキャラなのもあると思います。
そのうち終わります。(流転のグリマルシェが続いてる限りは動いてるけども)
これがもうちょっと気性難なキャラだったりしたら声失っててもロルの感じがかなり変わっていきそうで楽しそうだな〜と思います。
また流転のグリマルシェは基本交流が置きレスなのでキンシバイのロルができてるな〜という感じもありますね。
グリマルシェで動かしてる他のキャラより普通のロルでも考えるのに時間かかってる気がするから……文を練るに当たって……
のでいつかリアルタイムのロルが多い定期ゲームでもこう言ったキャラがやれるようにやり方考えてみたいな〜という気持ちはあります。
いつかね…いつか……

 

と言ったところで私の寄稿の方は締めさせていただきます。何らかの感想が得られれば幸いです。
お読みいただきありがとうございました。
また、今回お誘いいただいたわんころさんにも感謝を。記事楽しみにしてます〜!

 

♦白透様

初めまして、白透と申します。
今回は『声が出ない人のロールをしよう』ということで、過去に参加した定期ゲームから筆談がメインだったキャラの話をしようかと思います。
内容的には初心者向けになるかもしれません。
BO5に参加していたキャラである『雨嶺』はコミュ障で筆談でコミュニケーションを取るロールをしていました。

画像の上半分の文面がちょっとコミカルですが、
一番下の文面は少しだけ工夫をしております。



この雨嶺は表情があまり変化しないキャラでもあったので、文字を書いただけではキャラの感情が読み取れず筆跡で表現を追加してます。
震える手と表現すると『慌てる』『怖がる』等のイメージを与えやすく、更に相手に伝わりやすくする為に『恐怖の色が滲み出ている』と追加する事で怖がったから手が震えていたという結び付きが出来ます。

また感情が豊かなキャラで無ければ視線がどのように動いているかでも変わってくると思います。
真剣にならば真っすぐ見つめている、不安なら視線が彷徨っていたり、悲しいならば目を伏せる等の表現で声を出さずとも感情を伝える事が可能です。


筆跡だと嘘を吐くの大変では?と思う事がありましたが、嘘を吐いたと相手に知って欲しいのであれば『何度か消した跡が残っている』『視線があなたの方に向かず、何処か申し訳なさげに下へ落ちている』といった地の文を添えればいけるな、と気付きを得ました。

といっても私もまだまだ定期ゲームに参加して日が浅い方ではあるので、もっと交流して色んな方のロールから学ぶ事は多いと思います。
交流は世界観や色んなキャラを楽しむものでもあれば、知見を広げる良い機会でもあるので是非皆様も色んな視点で楽しんで頂けたらと思います。

 

拙い文でしたがここまで読んでくださりありがとうございました。

 

 

ところで……

結局何文字だったのかって? いやいや前回あんなにアホの文字数があったのに、今回は流石に事情したし今回はニッチな技術のご紹介なんだからそんなに文字数は増えてないって

…………

 

…………は???

 

い、いや待ってください。まってください。
今回は寄稿していただいている分文字数がアホになっているだけです。
ですから私が書いた部分の文字数だけ見ればそんなにアホな文字数になんてなってな

終わりだよもう。

 

 

 

 

 

というわけで。
ここまで閲覧してくださりありがとうございました。
これらの文章&追加したくて追加した文章を後から加えたことで、無事に私だけで25,000文字、全体で33,000文字超えのやべー記事の完成です。
お願いですから私が文字数ナンバーワンにならないでください。俺を……超えていってくれ!!

『星宿して蒼玉』

ロマサガ2(リベサガ)の二次創作です
※会瀬の先読み推奨(読んでないと「?」になるかも。読めなくはない)

 

サファイアとは、酸化アルミニウムを主成分とする、通称コランダムの赤色『以外』の宝石を指す。この宝石の名前を聞けば深い蒼色の澄んだ石を思い浮かべるだろうが、実際にはピンクや黄色、緑色など様々な色が存在する。
赤色のコランダムはルビーと呼ばれる。つまり、ルビーには赤色以外存在せず、残りは全てサファイアで一括り。一般論では赤色『だけ』のルビーの方が産出量は少ないわけだから、希少さと価値はルビーに軍配が上がる。勿論、厳密にどちらが高価だと決められるものではない。産出された宝石の質が全てで、ルビーより高価なサファイアだっていくらでも存在する。
だけど、要するに。ルビーになり得なかったものに、サファイアという名を与えられる。
サファイアとは、ルビーのなり損ないだ。

「紅には特別な名を与えられて、この名前はその他を示すものでしかない」

9代目の皇帝は、帝国猟兵皇帝エリザベスだった。そして私のひいおばあ様であるルビーが傍に居た。ルビーはエリザベスらと共にスービエを打ち倒し、後世に『運命』を残した宮廷魔術士。特に魔力の保有量が歴代で最も優れ、誰もが彼女を優秀だと認めた。
一方で、私は魔力保有量に恵まれなかった。代わりに恵まれたのは、軽やかな身のこなしと小剣の才能。望まれた役割を補助する目的としては便利だったけれど、それは私の本当に欲しかった価値ではなかった。


―― サファイアは宮廷魔術士だけど小剣での戦いを得意とする、変な奴だよ
―― 猟兵よりも卓越した小剣の技量があって、すげぇ多才なんだよな
―― 確かに奇才ではあるけれど、術の扱いはそこまででもないよ、あいつは


さて。カラーレスサファイアというものを知っているだろうか。
コランダムは本来無色透明なのだが、何らかの微量元素が入り混じることであのような綺麗な色を持つようになる。つまり色を生み出す不純物を持たない無色のサファイアは希少性が高く、市場にも殆ど出回らない。

されどそれは希少だから、ではない。

珍しくとも、宝石の価値としては低いからだ。

 

 

 

寒い日の夜は、星が良く見える。
氷海の夜はとんでもなく寒かったけれど、アバロンで見るよりもずっと星がよく見える。私の好きな星が見たくなって、外套を着て甲板に出た。七英雄が待ち受ける場所まではまだ遠く、穏やかな潮風が頬を撫でる。あぁ、嵐の前の静けさとはこういうことを言うのだろうな。

「よくこんなに寒いのに外に出る気になるわね」

戦い前に風邪を引くわよ。そんな忠告をして、かけがえのない親友のテレーズは私の隣に並ぶ。手にはローズマリーハーブティーが2つ。ん、とその内の片方を私に押し付けてきた。
なお、ローズマリーハーブティーと聞けばお洒落なものを想像するが、彼女の持ってきたものはそんなものではない。ローズマリーの枝を熱湯にぶっ刺したワイルド仕様だ。彼女はそういうところがある。

「何故干したものをティーバックに入れる工程をすっ飛ばすのです?」
「別に陛下にお出しするものでもないし……気にしないでしょ?」
「テレーズはこれを陛下にもお出ししていたよーな気がしますが」

けれど、大仕事の前には彼女らしい飲み物の方が元気が出る。小言こそ言ったけれど、いつも通りのありのままに励まされる。内心では案外そわそわしているものなのだな、と思い知らされた。
氷海の寒さに悴む手を、熱湯で温める。つんと鼻に突くようなスーッとした香りは海特融の磯の匂いにも負けない。フヨウはこれを薬の匂いだと言って嫌がっていたっけな。

「ねぇ、テレーズ。私たち、本当に七英雄と戦うことになりましたわ」

進行方向の先を見つめ、ぽつりと呟く。先代が仕組んだ運命の通りに踊らされた私たちは、運命に踊らされることを選んでここに居る。
テレーズという名を付けた子を皇帝の前に差し出すことも、それを支える役割を私に与えてきたことも。皇帝にだけ背負わせないという先代の計らいとは裏腹に、私はどこかで悪趣味と思っていた。先代を責める気はないし、その悪趣味なお陰で私はこの人の隣に立っている。
運命自体を呪ったことはない。呪ったのは、いつだって自分自身の価値について。

「正直、七英雄なんてどうでもいいんです、私。ただ私は、あなたのために生きたかったから」

世界の平和だとか、命運だとか。心底どうでもよかった。
私の世界の全てが私の隣にある。私はこの人の為であればなんだってできる。何にでもなれる。テレーズがここに居るから私もここに居る。
きっかけは与えられた役割からだったかもしれないけれど。今はもう、そんな義務感では立っていない。

「テレーズが陛下と良くあればいいとは思いましたが。それはテレーズの幸せを願うからであって。
 陛下のことだけを考えた場合も。やはり、本音を言ってしまえばどうでもいい」

帝国への忠誠心がない、とはよく言われたものだ。テレーズがしっかりと忠誠を誓うから、自分も間接的に誓っているようなもの。周囲からの言葉には否定を示さず、それどころか開き直っていた。
こんなことを言えば、普通なら怒られそうなものだけれども。この人にとっては今更の話。同じように船の進路を眺めていて、かと思いきや私を労うように片手でぽんぽん、と肩を叩いた。
寸前まで暖かい飲み物を支えていた手は、存外に熱かった。

サファイア。あなたは本当によく頑張ったわよ」
「そりゃあ勿論! めちゃくちゃ頑張りましたわ。おかげで訓練兵時代は苦い思い出でいっぱいです」

周囲に比べられ、欲しくなかった才能にばかり目を向けられて。自分のアイデンティティが揺らいで、宮廷魔術士としての道を見失いそうになった。
ざあざあと、波をかき分けて船が進む。氷の塊が視界を横切って、遠ざかっていく。眩しさを奪われた白は、こんな暗闇にもよく馴染んでいる。

「知ってる。私のために、って言うんだろうけど。サファイア自身が、自分のアイデンティティを守るために頑張ったって。私はちゃんと分かってる」

―― 先代のルビーと自分を比べてきた。優秀な先代より劣っている自分が嫌いで、編成候補に組み込まれるために血がにじむような努力をしてきた。

その努力を、私は他人には見せなかった、つもりだ。飄々とした性格は、天才気質の先入観を与えた。いつも余裕の表情で振る舞って、心の奥底に積み重ねてきた劣等感と不安を誰にも見せてこなかった。
どれだけ他人には隠せたとしても、いつも傍に居るこの人にだけは知られていた。

「テレーズ。ちょっと違いますわ」

湯気の立つ熱いハーブティーを、舌の先が触れないように口をつける。どうにも枝が邪魔で飲みにくい。ほんの少し葉っぱを齧りつつ、嚥下した。口の中に少しだけスパイシーな、清涼感の強い香りが広がって鼻を抜けていく。
視線は空に。彼女は油断することなく、肌身離さずイロリナの星と星天弓を携えていて。彼女の持つ小剣や弓にあしらわれた『星』が、爛々と輝いている。

「月は太陽がなければ輝けない。それと同様です。コランダムは、不純物がなければ色付かない。
 無色透明なコランダムは、宝石としての価値が低いのですわ」

そうして、最愛の親友へと視線を向ける。
思わずへにゃりと気の抜けたような笑みが浮かんだ。暫くは意図が掴めなかったようで、目をぱちくりさせていた。やがてつられるように、私の一番星も面白おかしそうに笑った。

「ねぇ、やっぱり上手いことできすぎてない?」
「だって私たちの逢瀬は仕組まれていたのですよ? 全部全部、上手く行きますわ」

それは、これから先の未来も。

「私というサファイアは、星を宿して価値を得ましたから」

因縁の終わりの、その先も。

 

 


―― スターサファイア。別名、『運命の石』。

拝啓、皇帝陛下へ ―ジェラール帝―

―― 1代目皇帝 ジェラール様へ

 

 

始まりはクジンシーの襲撃。私たちの因果と運命は、あの日から始まった。皇帝陛下の兄上のヴィクトール様を失い、レオン様もオアイーブの話に乗って、己の命を未来のために賭けた。
あのときのジェラール様の慟哭が、今でも耳の奥底で時折響く。部屋の外まで聞こえてきたそれで、ベアとジェイムズも、覚悟を決めた。私はきっとそんなことがなくても、伝承法などなかったとしても。変わらず仕え命をかけてお守りしたと思う。
幼い頃から兵団に属して、若くして猟兵隊長へと上り詰めた。レオン様の遠征に同行し、ジェラール様とも幼い頃から関わることが多かった。一緒に読書をしたり、食事をしたり。息抜きに帝国の中を歩いたりもした。まるで弟のようで、私もつい世話を焼いてしまった。

「ジェラール、この本面白かったわよ。次読んでみる?」
「いいのかい? ……因みにどういう話?」
「利口な狼とそれを仕留めようとする人間の話よ。それはそれは大きくて狡猾な狼を捕まえるために、あの手この手で追い詰めようとするの。この駆け引きが面白くって」
「猟兵の血が騒いでない? 私たちはもう一線を引いてるんだよ」

交易の要衝を邪魔している連中がいた。それを片付けた数年後、私とジェラール様は婚約することになった。国に貢献した成果を認められて、の事だったので、身を焦がすような熱情がそこにあったわけではない。だからといって、そこに『恋』が無かったかと言えば、そうでもない。お互いにお互いを穏やかに想い合い、束縛しすぎず寄り添い合う。柔く背を押される春風のような関係で、お互い充分だった。
皇帝と兵の関係から、夫婦になって。2人きりのときには敬う振る舞いはなしで、と約束された。最初は呼び捨てにすることも敬語を無くすことも違和感があったけれど、随分と慣れたものだな、と思う。

「そ、そんなことないわよ。もしこんな狼が相手だったらいい技も閃けそうだな、とか、仕留め甲斐がありそうだな、とか……」
「騒いでるよ、猟兵の血」

なんてこったい。
ジェラールがくすりと笑えば、羊にも似たちょっとくせ毛のある柔らかな金赤の髪がふわふわと揺れる。私が推薦した本を拝借してから、向き直るように椅子に座った。

「テレーズってさ。『狩る』って行為が好きだよね」
「そう……かしら……?」
「無自覚なんだよなぁ。どうして? って聞きたかったんだけど、自覚がないなら分かんないかぁ」

どうして。ジェラールは戦うことが苦手で、好戦的な私が不思議に見える……ということだろうか。いや、戦うことは別に好き、というわけではない、と思う。確かに、弓を引いて得物を仕留めることは好きだった。今は遠征を行わなくなって帝国猟兵の育成係に携わっているけど、正直ちょっと退屈だ。
ここに来たのは弓の才能を見出した両親が連れてきたからで。そもそも何で弓の才能を見出されたんだ? 普通に生きてたらそんなことなくない? 30になってから昔のことを考えるなんて。弓を握ったきっかけは、確か……

「……あ」

思い出した。
そうだ。大分、しょーもない理由だ。

「何か思い当たる節が?」
「きっかけを思い出したんだけど。あの。笑わない?」
「笑わないよ。だからできれば教えてほしいな」

これがただの好奇心だったら適当にはぐらかすところだけど。目の前の人は、最後まで戦いが好きになれなくて、どうすれば好きで弓を扱えたのか、本気で聞きたがっている。そんな人間に明かす理由が、これだ。

「……しそう、だったから」
「え?」
「…………ウサギが、美味しそうだったから……」
「美味しそうだったから」
「モンスターも……あれを仕留めてステーキにしたら美味しそうだなぁって……いっつも、思って相手してました……はい……」
「…………」

流石に無機物系とかアンデッド系とか、明らかに美味しそうじゃないやつはそんなことない。獣っぽいのは……はい……美味しそうだと……

「……んっふ、」
「あ! 笑った! 笑わないって言ったのに!」
「や、笑ってな、笑ってな……っふふふ、っははははは!」
「せめて隠し通してよ! はぐらかす努力を見せられたら微妙に怒りづらいじゃない!」

完全に言って損した。やっぱり適当にはぐらかしておけばよかった。笑いのツボを突く気なんてなかったのに、ミミックばりに笑ってくる。搦め手が効かない相手はただでさえ苦手だというのに!

「―― けれど、そのおかげで私は今こうしてここにいる」

涙を浮かべるほど笑っておいて。
いつの間にかこの人は目の前に立っていて、私の手を取る。弓と小剣を握り続けて、すっかり皮が硬くなった掌が暖かい両手で包まれる。彼も掌もまた、剣を振るい続けた影響で同じように硬くなっていた。

「ずっとこの手で私を守ってくれて、ありがとう」
「……は、」

真正面から感謝を述べられてしまえば、何も言い返せなくなる。
小さな小さな、消え入りそうな声で。どういたしまして、と口にするのがやっとだった。


因果の始まり。背負わされた重責。
覚悟を、次の代へと託して。


→(書くか?続き……?)

『茜色に染まる誰そ彼』

ロマサガ2(リベサガ)の二次創作です
※2週目プレイで辿った物語からの捏造なので、他の捏造と歴史が異なっております(1周目は人魚イベントを起こせなかった)
※会瀬同様にテレーズには前世の記憶があります


マーメイドには人魚伝説がある。
マーメイドの踊り子に惚れた皇帝が全てを投げ捨てて一緒に遠い地に旅立っていった、という内容だ。実際にあった話なのかと皇帝に尋ねたら、苦笑を浮かべながら凡そ正解だと答えた。
海へと身を投げた皇帝はシティシーフのピジョン帝だった。元々女性が好きで女タラシで、それでも全てを放り投げられるほどの覚悟を決めた恋だけは、彼にとっては本物だったのだろう。最も、次の代に皇帝となったホーリーオーダーのガートルード帝は誠に遺憾だとご立腹だったらしい。その怒りを彼らの子孫ではないか? と推測されている踊り子に向けていやらしい仕打ち(龍神の戦闘において敵からの狙い撃ちに合うように仕向けた。マタドールで返り討ちにしていた)をし、挙句にヤウダに八つ当たりしワグナスの元に腕力で辿り着いてしばいたとか、珍妙な話が皇帝から出てきたときは正気を疑った。

この話を聞いたのは、皇帝と共にマーメイドにやってきた際に伝説を聞き、当事者の記憶を持つ彼女に好奇心で聞いたからだ。現在マーメイドに足を運んだ理由は、アバロンの軍師が、当時よりも月日が流れ、何代か代替わりしたであろう踊り子にその後の話を聞きたかったらしい。つまり我々は彼の護衛だ。
軍師の用事が終わるまでは自由行動を与えられ、実質的に私たちには休暇を与えられたような状態だ。せっかくだからと仲間に海を見に行こうと誘われ、今は人魚を追うために皇帝が海に飛び込んでいったと言われる海岸へと2人で歩いてきていた。
夕暮れの海に日が落ちて辺りは黄金色に染まり、少しずつ少しずつその明るさが失われようとしていた。

「それで、テレーズはこの伝説を聞いてどう思いました?」

私を誘い出したのは、宮廷魔術師のサファイアだ。幼い頃から兵団に入り、共に皇帝の側近として各地を旅している。上品な言葉遣いは表面上だけ。自由奔放で陽気で気まま、それでいて空気が読めて性格としては柔和で穏やかな人間。一言で言えば変な人だ。
ざぁ、と海が寄せては引いていく。決して大きくはなかったが、波に攫われないよく通って聞き取りやすい声をしていた。

「ガートルード帝のインパクトが大きすぎて、そっちに全部持っていかれた」
「あちゃあ。流石、アト王を今すぐにぶった切ろうとした暴君の逸話のファイナルストライク、ですわ」
「それはインパクトが大きい、って意味で合ってる?」

妙な記憶に妙な言い回しが付け足され、いよいよロマンチックさが海の藻屑となってしまった。まあまあ、なんてにっこにこで宥めてくるけれど、何も宥められていない。

「……宮廷魔術師の、ずーっと先代のトパーズ様は……人魚伝説を研究したのです」
「え、女タラシ皇帝に職務を放り投げるなって、海の底まで追いかけようとしたの?」
「違いますって。むしろそうであって欲しかったとちょっと思っているレベルですが」

身体の前で両手の指先を絡め、組んでいる。この会話の流れから真面目な話が語られるとは思わず、彼女の意図に反して茶化してしまった。へにゃりと笑ってから、俯き気味に海へと視線を落とした。

「人魚薬、というものが存在しています。人魚薬は祠の魔女が作り、3回飲むと魔女になる。そのお話は知っていますよね?」
「えぇ。ばっちり3回飲んでピジョン帝は駆け落ちしたわけよね」
「はい。ここでトパーズ様はこんな疑問を抱きました」

―― どうしてその薬は『人魚薬』と名付けられた?

「水中で息ができるだけであれば、遊泳薬とか、水中探査薬とか、そういった名前で良かったはずです。ですが、当時存在が伝説とされていた人魚の2文字を、魔女は薬につけた」

静かに海が波打っている。泡と水の境界線の先の水底は、地上からは分からない。
人の眼では認識できない世界を覗き見るように、蒼玉は語る。

「あれは、人魚を生み出す薬なんじゃないか、と」

人魚とは、人魚に惚れた男を追いかけ、身投げした女のことなのではないか、と。

「……誰かピジョン帝を追いかけて身投げしたの?」
「帝国猟兵のキャサリンが、ピジョン帝が海へと身を投げた後、行方不明になったと聞いております」
「トパーズはそれを知っているの?」
「はい。トバまで帰るところは一緒だったらしいのですが、そこで一泊した後、キャサリンがいなくなったのだと」
「職務怠慢しすぎでしょ。どうなっているのよその代」

人魚薬は数があった。3回飲めば陸には戻れなくなる。今も皇帝の手元にはまだ使用できる人魚薬がある。
つまりは、魔女が与えた人魚薬は3回分ではない。夜の内に数回分をくすねてマーメイド行きの船に乗り、身投げをしたのであれば。

「……失恋した人間の成れの果てが、人魚ってこと?」
「あくまでトパーズ様の考察ですけど。私は、そうじゃないかなぁって思っていますわ」
「ふーん……」

珍しい反応だな、と思った。
サファイアという人間はかなりのロマンチストだ。私と皇帝の邂逅を運命だと語り、私が過去の『テレーズ』という猟兵の記憶を思い出したことにも目を輝かせていた。人魚伝説や皇帝の駆け落ちといった話は、むしろロマンチックだと嬉々として語るタイプだ。
しかしながら、今こうして夢物語を語る彼女は眉尻を下げ、思いつめた表情をしていた。話す声のトーンも重く、微かに震えている。実に、彼女らしくない。

「それで」
「それで、とは?」
「この話のオチよ。何かあるんでしょう?」
「え、いえ……これで終わり、ですが」

歯切れは悪い。何よりこちらをちらりと見て、バツが悪そうにまた海へと視線を移す。
海はただ、流れて引いてを繰り返すだけ。時折大波がやってきて、私たちの足元まで飛沫が到達する。濡れるほどではなく、ただ少しだけ靴に水滴が付着する程度だった。

「じゃあ質問を変えるわ。サファイアはその伝承を聞いて、どう思ったの?」

私はサファイアという人物をよく知っている。よく笑ってよくはしゃいで、子供のような人で。私のためであれば、彼女は全てを捧げてどんな理不尽もねじ伏せる。
その奥に潜む怖がりな心を、よく知っている。得体の知れない恐怖に敏感で、不可解を人一倍恐れる。ほら、今も手をきゅっと強く握って、俯いたままだ。

「……トパーズ様は、この人魚薬の考察を、とても面白がっていた……ん、です。日記を、読んで。キャサリンのことも、面白い、って」
サファイアは?」
「…………私は。ただただ、怖い」

吐きだされた言葉は、弱々しかった。
編成メンバーで一番最年長の彼女は、最も子供っぽい。それは私という存在を妄信するからこその無謀さと、視野の狭さから来ているのだろうと推測している。
その妄信する者が失われたとしたら。テレーズというたった一人のために生きてきた人間が、そのたった一人を失った場合どうなるのだろうか。

サファイア

呼びかけて、その手を両の手で優しく包む。
茜色に染まる誰そ彼。すぐに触れられる距離で、名前とは正反対の瞳を捉える。

「良かったわ。あなたも私も、陸に足をつけている」
「…………あ、」

一際大きな波が来て、足元まで水が寄せて、引いていく。
それでも私たちは、海になど還ることはなく地上にいる。それが何よりもの答えで、疑う必要のない事実だ。

「私たちには薬なんて最初から必要ないの。だから、この話は他人事で『めでたしめでたし』でいいのよ」

推測も、伝承も、事実も。そのどれもが、私たちの関係からすれば無関係だ。
ならば、そのいずれにだって感化される必要はない。私たちが紡いでいる物語をこれからも綴ればよいだけの話だ。

「……ふふ、そうでした。
 私たちは地上の人間で、アバロン帝国に所属する帝国兵で、お目付け役と託された者で――」
「――かけがえのない、たった一人の親友」

水平線から届いていた光も落ちて、水面の輝きも消えていく。戻りましょうか、と手を引いて、二人でマーメイドの空を見上げた。
そこには決して見失うことのない、眩い一番星が爛々と瞬いていた。

天威無縫 20話「命灯」

←前

 

人においても獣においても、アルビノ個体は古来より存在が確認されていた。同時にアルビノ個体が必ずしも短命ではないことも研究から分かっている。野生動物の場合、仲間からの迫害や目立つ体色が故に捕食されやすい要因から『短命』とされている。そこにアルビノ個体特融の視覚や聴覚異常があれば、自然界で生きていくことの厳しさは容易に想像できるだろう。
人においては太陽光の影響によって発症する、重大な皮膚がんのリスクから短命だとされている。その理由から『短命』であると印象付けられている部分があり、対策を怠らなければ一般人と同じ程度に生きられるとされている。
しかし、それはあくまでも過去の話。モンスターや野性などが存在しなかった時代の話であり、今は異なる。本来とは異なる姿や要素を持つ野性を『変異種』と定め、野性カルテにはαの文字が付けられるようになった。他にも親の遺伝ではなく、祖先から受け継いだ野性が発現する、通称『先祖返り』ではβ、薬などで野性が変異した場合にはγの記号が付けられる。これらを『特異記号』と定め、特異記号で示される野性を『特異種』と呼んでいる。
そして、特異種はγを除き遺伝子異常から成立するため、短命で子を成すことができない場合が多い。表面上だけ見れば何も異常が見受けられないが、宿している野性が酷く不安定で暴走しやすい。加えて過ぎた力であることも多く、身を滅ぼしやすいといった危険性も孕んでいる。故に、強力な野性を羨み恵まれていると評価する者と、命の脆さや異常性から可哀そうだと評価する者の2つに分れた。

「―― 以上が特異種についての一般論だ。
 まさか、何も知らないまま変異種の人間とつるんでいたとはな」

茜色の異彩が二人を見下ろす。ウサギをすり抜け、その奥にいる白いカラスをも見透かしているようであった。
何も知らなかったウサギは、頭をハンマーで殴られたような鈍い痛みを覚えた。下唇を嚙みながら、恐る恐る後ろを振り返る。白いカラスは小さく口を開けて、それだけだった。
自分だけが動揺している。再び院長へと向き直れど、感じるものは錯覚の威圧感のみだった。

「……せめて、今言うことなかっただろ。
 本人が弱ってるときに、言うことじゃないだろ」

辛うじて声に出た言葉がそれだった。隠しきれていない動揺が震えとなって声に表れていた。威嚇にも似た低い声に、やはり男は飄々とした様子で肩を竦めていた。

「その様子だと、クレアの方は知っていたようだな。
 アルテのやつ、必要のない気遣いを押し付けたか?」
「……いえ、あの人ではなくて。
 ……村の書物で読んで知りました。変異種という野性も、それらが短命であることも。元々私は、知っていました」
「となると、あいつの計らいか。あいつのやり方らしい」
「……? ウルナヤのどなたかとお知り合いですか?」

まずい、と咄嗟に思った。ウルナヤの追っ手から逃げるためにカルザニアに来たのだから、ウルナヤの者と繋がりがあるのであれば居場所がバレてしまう。フィリアの勧めはレナータでありこの者ではない。この者がウルナヤの者と繋がっていることを知らない可能性だって考えられる。
そして、もう一つの可能性が同時に生まれる。アルテもここの者を自分たちに推薦しようとした。連絡を入れた相手はシーランへ、ということは必然的にアルテとシーランには繋がりがあるということになる。ウルナヤとの繋がりがあるというのに、あえてここを選んだ理由を考えたならば。

「あいにくだが、今お前が考えている悪い推測は何一つとして機能していない。
 繋がりといっても、お前に読み書きを勧めたあいつだ。居ただろう?」
「……アーラのこと、ですね」
「あぁ、あいつはウルナヤにこそ在住しているが、ウルナヤ出身ではない。変異種についての理解があるからお前を迫害しなかったであろう?」
「……助けてもくれませんでしたが」
「性格が終わっていることは認めよう」

しかし、もし男が言う事が真である場合、辻褄は合う。
読み書きを勧め、本を融通させた。もし村に変異種について書かれた書物があるのであれば、少なくとも白いカラスを迫害する因習があることに違和感が出てくる。ウルナヤの識字率は低いが、全ての人間が文字を読み書きできないわけではない。変異種についての書物があるのであれば、変異種に対しての理解があり因習もなくなっているだろう。
あるいは。その理解があった上で因習が残っている可能性を考えた場合でも、不可解な点があった。変異種について書かれた書物があるというのに、読み書きを勧めれば不都合が生じることは誰でも分かるはずだ。忌み子だと言い聞かせ、変異種という存在を知らせない方がずっとコントロールしやすい。利用するならば、読み書きも必要ない。それどころか知識をつければ『自身の村で行われていることはおかしい』と、反抗心を産む材料に充分成り得る。

「それよりも、だ。
 お前が今考えるべきは、連れのことではないか? 何故今まで短命であることを黙っていた? 変異種の症例が希少だということを知らないはずがないだろうに。少年が知っていると思っていたのか?」

長考に入ったクレアの思考の首根っこを掴み、ララテアへと差し出した。図書館にて聞いた者のことなど二の次で、焦燥感にやられた頭では第三者の話など入ってこなかった。
その理由を、きっと何一つ理解していなかったのだろう。

「何故、って。
 私が短命であることに、そこまで問題がありますか?」
「ッ……!」

カラスは心底不思議そうに、疑問符を口にした。
悲観や自虐など一切なく、理解が及ばないと。気だるげな表情からは、何の感情も伺えなかった。

「少なくとも少年にはありそうだが?
 お前はもう少し視野を広げた方がいい。広い世界に出たのだから、価値観も相応に交錯するものだ」

話したいことは全て話し、満足したのだろう。後は2人で話し合いたまえ、と軽く手を振って退散していった。
空気が張り詰めたまま、静寂に包まれる。広い敷地の一室には、ペリド区の井戸端会議も聞こえてこない。誰も話さなければ、しんと静まり返っている。
かける言葉をお互いに探していた。何も思いつかなくて、かけることができなくて、何度も何度も時計の長針がぐるりと回っていく。
10周は回っただろうか。先に口を開いたのはララテアだった。

「……なあ。クレアは本当に、それでいいのかよ」

いいも、悪いも、短命種の寿命など誰かの手でどうにかできる話ではない。自然の決めた理を歪める術がどこかにあったとしても、人はそれをまだ見つけられていない。
病一つ、治療法を見つけるために何十年、何百年とかかる世界で。遺伝子異常によるタイムリミットを覆す術など、誰も神秘としても夢見やしない。人が永遠に生きられないことのように、受け入れられる。

「俺は……納得、いかないよ……」
「それは、」

そういうものだからしょうがない。
ウサギは、どうしてもその一言で片づけられなかった。

「何で、何で……クレアばっかり、こんな酷い話になるんだよ! 何で全部全部、こんな仕打ちばっかりなんだよ!!」
「ララテア、あなた……泣いているのですか?」

深紅の瞳が丸く見開かれて、その様子を上体を起こしたままじっと見ていた。
嗚咽を漏らして、ぼろぼろと涙をこぼし、床に雫の跡を作っていく。理不尽なことがあれば、怒りを露にしてくれる人だとはクレアも知っていた。しかし、これが理不尽で、これほど感情的になるものだと思いもしなかった。
短命であることは、この者にとって不幸で理不尽なこと、らしい。

「…………ララテア、どうして?」

分からない。
羽を毟られることは痛くて苦しい。暴言を浴びせられることも、監禁されて監視されることも、辛いことだった。己の扱いを振り返っても、あの日々は理不尽だったとはっきりと言う。
されど、遺伝子異常による寿命の短さは、生まれながらに定められた時間であるが故に。命の長さは平等ではなく、野性や引き起こされる病の種類を見ても様々。自然の定めに背くことの方が生命の冒涜だとカラスは考える。

「………………」

答えは返ってこない。俯いて、声を上げて子供のように泣きじゃくっている。
クレアは気付けば胸元で、右手を強く握りしめていた。病に侵されて上手く力が入らないというのに、紅の宝石がある部分が酷く傷んで、無視できない。

「ララテア」

はっきりともう一度名前を呼んで、両腕を伸ばす。彼がベッドから離れた位置に座っていなくてよかった。ここからなら両手で涙に触れられる。

「私は、命が短くてもそれでいいと思っているのです。私は、例え刹那の命であったとしても、その命が終わりを迎えるときに幸せだったと言えれば、この上ない贅沢だと。ですが、あなたはそうではないのですね」

鳥かごの中に押し込められたカラスは、人に飼われて食いつぶされ、死する日をただただ黙って待っていた。逃げた先で自分を見つけてくれた人は、自分の知らない世界を見せてくれて、鳥かごの中に閉じ込めることなど決して行わなかった。オナガドリのように止め箱に縛りつけられることもなく、いつでも逃げだせる状態にしていてくれた。
だというのに空高く羽ばたいて行くことなく、今も隣で翼を休めているのだから。
白い翼が弱弱しく、されど力強く一度、はためいた。いたずらに、ずる賢い笑みを浮かべて、頬に触れたまま親指で涙を掬う。

「では、私が寿命を迎えるとき、めいいっぱい後悔できるように頑張ってください。案外ララテアが一緒だったなら、死ぬのが嫌だって駄々をこねてしぶとく生き延びるかもしれませんよ?」

触れられたまま、ウサギはばっ、と顔を上げる。小さく口を開けて、大きく目を見開いて、息を詰まらせながら白を見ていた。
無言の問いかけを投げかけられている。聞こえない言葉にしっかりと耳を傾けて、返事に小さく頷いて見せた。
やがてまたくしゃりと顔を歪めて、しゃくり声が上がる。喉につっかえていた言葉が辛うじて外れて、まともな音になって形作られた。

「……絶対、後悔させてやるからな……絶対、だからな……!」
「ふふ、楽しみにしていますよ」

そのまま暫く、カラスはウサギが泣き止むまで、両手で温かな頬を包んでいた。午後の診療所に穏やかな時間が訪れる。

 


誰が飾ったのか、病室の端に透明な花瓶が置かれていた。そこに飾られたカランコエが、二人を見守るように静かに揺れていた。



「―― という話をしておいた」
「カス」

一方診察室。院長に対して薬師のドストレート罵倒。これで主従関係が成立するのだから驚きだ。
シーランが2人と会話したことをレナータに報告しに来ていた。午後の診療は今のところ患者がいないため、白いカラスの調査に集中できる。この診療所は広さに対してあまりにも閑散としていた。

「なんです? 口説いていらんこと言って満足して帰ってきたんですか? どの面下げて院長していらっしゃる?」
「私の顔は美しいが? 院長に相応しいであろう?」
「前言撤回です、院長に相応しい真心と頭を搭載して来てください」

それはそれは大きなため息をついて、テーブルの上へと突っ伏す。薬師の心労などお構いなしに、シーランはレナータが取ったデータのメモをひょいとつまみ上げ、ざっくりと目を通す。やはりな、と零れ落ちた呟きはレナータにも届いていた。

「やはり安定しているな」
「そうですよ。変異種特融の野性の不安定さが見受けられません。遺伝子異常どころか、そういう種とすら言い切れてしまうような……ですから、寿命のお話は杞憂の可能性が……、……」

……やはり?

「ちょっと待て、察しておられました?」
「あぁ。私のやり方で確認してきた」
「その上で寿命のお話をしてきたのです?」
「変異種は寿命が短いという話をしてきた。嘘は言っていない」
「アホボケカス。患者の不安を故意に煽るな」

薬師の訴えには涼しい顔。この場合一番の被害者はもれなく炎のウサギだっただろう。現在進行形で特異種の性質を知りボロボロ泣いて、カラスによしよしされている。
もう一度大きなため息をついて、顔を上げる。一般人は見慣れない、30センチ四方程度の大きさの機械に工学的な光で示された数値や記号を確認する。それをシーランの持っていった紙とは別の紙に記入した。

「仮説ですが。彼女はアルビノ種でも変異種でもなく、『白いカラス』という動物なのではないでしょうか」
「神話ではアポロンの使いであったか。神話とは、人が未知を納得させるための空想だとされているが」
「……もしも、過去にそのような生き物が本当にいたとしたならば」

仮説に、更に仮説を重ねる。真偽の程は不明だがな、とシーランは腕を組んだ。
身体変化が起きた際、実際の動物の色が正確に表れるとは限らない。特にウサギやイヌといった、大本の種類の体毛パターンが様々な種類であれば、自身の髪の色に変化後の体毛の色が引っ張られる傾向にある。ランクが高いほど、本来の獣としての色が現れることが多い。
一方で野性によって身体特徴に現れない色というものも存在する。有名なものは、カラスの野性を持つ者が白い翼を持つことはないといった特徴が挙げられる。もし現れた場合、今まで観測されてきた限りはアルビノの変異種の野性だ。クレアが真っ先にアルビノの変異種だと考えられた理由もこれである。
勿論これらも傾向の話であり、全ての人間に当てはまるわけではない。その例外に、かの白いカラスが当てはまっている可能性に2人は目星をつけ始めた。
引き続き解析を行うようにと指示をし、紙を元の場所へ置く。その横に置かれた別のいくつかのメモを見て。その内の1枚に目を通したときに、おや、と声を上げた。

「あのイヌ、事前申告は?」
「ありませんでしたよ。ここの項目の部分のお話ですよね?」
「あぁ。名乗った野性カルテは?」
「P4 W-Dog。+記号は任意ですし、内密にする方も多いのでそういうものだと思ったのですが」
「……いや」

微かに眉間に皺を寄せて、断言する。

「あいつは恐らく、P4 W-γ Dogだ」


→次(未定)