海の欠片

わんころがCWのリプレイ置いたり設定置いたりするところです。

リプレイ外伝_1『知らぬが仏』

※終始シリアス

※ロゼちゃん目線で話が進みます

 

 

―― これは、カモメの翼が結成される前のお話

 

「……そうですか。息子の家出は駆け落ちではなく農民一揆の義務兵になるためだと。
 そして……既に、戦死していたと……」
「…………」

 

カモメの翼が結成される、半年ほど前の出来事。ロゼはこの頃は一人で冒険者業を営んでいた。
とはいえ、簡単な依頼をこなしてお金を稼ぎ、それを海竜の呪いの情報を調べるために費やしていた。金銭面もだが、何よりも時間が必要だった。場所が場所のせいであまり情報がなく、難航していたのだった。
今回はある依頼をこなし、依頼人に報告しているところだ。

 

「あなたには感謝しています。息子の行方をしっかりと突き止めてくださったのですから。
 でも……できれば、こんな残酷な事実は知りたくありませんでした。」

 

知ってます?知らぬが仏という言葉が東方には存在するそうですよ。
依頼人は、酷く悲し気な表情で、そうロゼに話した。

 

―― そんなことはない

知らぬが仏ですって?真実を知らないまま目を瞑る方がよっぽど残酷よ。
呪いの解明。依頼人の言うように、もしかしたら、この呪いにだって知るべきではない何かが隠されているのかもしれない。
だとしても、それを全て解き明かし真理にたどり着いたとき、自分はこの忌々しい代償から逃れることができるようになる。
無関心。人に、ものに対する興味を、呪いによって奪われた。失われていく感情。知りたい、感じたい、そんな、人にある当たり前の精神がボロボロと崩れ落ちる感覚。苦しくはないのに、自分が自分でなくなるような恐怖。気が狂いそうになればまだよかったのに。恐怖はしっかりと残るくせに、その恐怖さえどうでもいい、なんて思ってしまいそうなあたしがいた。

呪いの解明は、今じゃあたしがあたしで居るための命綱だ。
皮肉でしょう?だって、あたしという存在が殺されたそれに、あたしという存在を繋ぎとめてもらっているのだから。
いつかあたしを取り戻す。そんな、作り上げた思いが崩れ去ったあたしをあたしとして、なんとか形を成して残ってくれる。
それが崩れるまでは、きっとあたしはあたしだと言い張れる。
もし呪いが解けたなら、そこに作り上げたあたしは居なくて、本当のあたしがそこに居るのだから。

 

だから ――……

 

  ・
  ・

 

「連続殺人事件?」

 

家出人探しの依頼を終え、ビエールカから海鳴亭に帰還したばかりのあたしに、息つく間もなく次の依頼の話が降ってきた。依頼を持ってきた、いや、あたしに依頼を回してきたのは別の宿の冒険者だ。
あたしは立て続けに依頼を受けることは滅多にない。冒険をしたくて冒険者をしているのではなく、呪いの解明のために冒険者をしている。収入があるとその収入が消えるまでの間、呪いについて何か情報がないかを探し回る。そのため、冒険者になってからは長いものの、冒険をした回数はそこまで多いわけではない。
別に名声なんてどうでもよかったし、自由を求めて旅立つなんてのも柄じゃなかった。……後者に関しては、呪いによって関心が奪われていたからというのもあるのかもしれない。
そういった理由から、基本的に依頼を立て続けに受けることはしない。しかし今回に関しては、なぜかあたしに受けてもらいたいらしい。何か裏があるのかもしれないけれど……しょうがない、とりあえず内容だけ聞いてみよう。
依頼内容は、リューンに点在するスラムの一つ、イヌホオズキ通りというところで発生している連続殺人事件の調査、そして解決だ。イヌホオズキ通りは元から治安が悪く、殺人もさして珍しいことではなかった。余程、今回の事件は常軌を逸しているらしい。

 

「ふぅん……ねぇ、ラドワは居る?」
「ラドワ?あの草色の髪の毛したけっこー最近ここに入ってきた子だったよね。うちのリーダーと見た目がそっくりだったから印象に残ってんだよね。」

 

性格もちょっと似てるから間違えそうになるわ、と肩を竦める。依頼を持ってきたついでに、親父さんエール一つ、と銀貨を置いて酒をたかった。
彼女はメヌエット。15歳くらいの年齢で、子供と若者の狭間くらいの少女だ。天使の調べ亭のソナチネ、という冒険者だったか。結構名の知れたチームで、盗賊をやっている彼女はあたしに色々冒険者としての流儀や立ち振る舞いなんかを教えてくれた。年齢ではあたしの方が上だけど、冒険者としては彼女の方が先輩だ。

 

「今日は居ないみたいね。結構仲良しなんだっけ?」
「仲良しというか、たまに一緒に依頼を受けてるっていうか。ほんと、たまにだけどね。」

 

ラドワは比較的最近冒険者になった女性のことだ。おとなしくどんなときでも冷静に物事を考えるが、意外と自由奔放で人をからかうのが好きな性格の、ちょっと困った人だった。結構気が合ったし、こっちは盗賊業で向こうは魔術師。一時的とはいえ、チームを組むとしても相性が良かった。

 

「もし居たら一緒に受けようって思ったんだけど……居ないんならいいわ、あたしが一人で受ける。」
「おっけー、じゃあ詳細を伝えてくから耳をかっぽじってよーく聞くのよ。」

 

依頼の詳細は以下の通りだった。
一か月程から、イヌホオズキ通りで身体を鋭利な刃物で切り裂かれた惨殺死体が頻繁に見つかるようになった。犯行が行われるのは夜と推測される。死体が見つかるのはいつも朝だからだ。
被害者にこれといった共通点は見当たらない。……治安の悪いスラムにたむろするような人種であるという点を除いての話だが。
今のところ、イヌホオズキ通りでしか連続殺人事件は発生していないが、これが他の、例えばリューンのメインストリートとも言える木の葉通りなどに広まったら、大惨事となるだろう。

 

「……つまり、社会的地位や経済力のある人間が犠牲になる前に事件を収拾したい、ってこと。」
「そーなるね。今のとこ全部スラム街で死んでも何も変わんないようなやつらばっかりが犠牲になってるけど、いつ大事になるか分からないからね。」

 

子供だと言うのに、メヌエットはかなりドライな性格だ。死んでも何も変わらない、と冷酷にばっさり言ってのけるくらいには人に対する情が薄かった。
それが彼女の性格なのだけれど、あたしはこうはなりたくないと思った。今はまだ、自分は死んでいい悪い人間の線引きをあたし達でやっていいものじゃない、と思える。思っていられる。大丈夫、まだあたしの感情は死んでなんかいない。
こうして、あたしはあたしの感情を時折実感して、まだあたしで居られていることを確認した。油断すると、全てが崩れ去っているような気がするから。自分の知らない自分になっているような気がするから。

 

「スラム街での殺人は珍しくともなんともないんだけどね。やっぱし死体が異様な殺され方してんのと、あんまりにも回数が多いからあっこれはやべーなって目をつけられたんでしょうね。死体、刃物で切り刻まれてるのよ。どんだけ恨みを込めたらあんなことになるのかしら。」
「でも、無差別殺人なんでしょ?私恨、って線は薄そうよね。」
「あるいは、人間に恨みを持ってる何か、だったりしてね。」

 

なんてね、と冗談げに笑ってみせた。性格のせいで彼女が言うとあまり冗談には聞こえない。
さて、話を続けてもらうと、死体が見つかる前の晩に女らしき不審な人影が数回目撃されているらしい。その人影はイヌホオズキ通りから走り去り、そこで姿を消したのだという。
あまりにも人物像の情報がなく、人物を特定することは不可能だ。スラムの住民ではない。優れた隠密の技、あるいは転移術、透明化術など人目を晦ます術を身に着けている。無理やり捻りだしてもこの程度か。
しいて言えば、メヌエットがあたしに仕事を持ってきた、という点に何か意味があるのだろうとも考えられる。彼女はあたしの実力を知っているから、どのくらいまでの依頼ならこなせるか、ということを分かっている。今回持ってきた依頼はあたしが受けて問題ない。そう判断している、ということは。

 

「……あんた、ある程度人物像が分かってんじゃなの?」
「さあ、どうだろうね?ま、分かってないと言えば嘘になるけど、ロゼのスキルアップのためにも教えるつもりはないよ?」

 

あぁ、この顔は間違いない。すでに目星がついている。
教えてくれそうにはないが、あたしが受けても問題ない技量の相手と見ていいのだろう。やれやれと一つ、ため息をついた。
今回の依頼の報酬は、犯人の捕縛あるいは討伐で800sp。もし犯人を取り逃がした場合でも事件が一週間再発しなければ400sp。取り逃がした場合でも報酬の半分貰えるのはありがたい。

 

「……おーけー、この依頼受けるわ。」
「お、やった、ありがとー。そんじゃこの依頼、ロゼに任せたからね。しっかりやってくんのよ。」

 

ごちそうさま、とエールを飲み干して代金をカウンターに置いていく。いい知らせ待ってるからねー、と手を振って帰っていった。
さて、犯行は夜に行われる。今は仮眠を取り、夜の行動に支障が出ないようにしておこう。

 

  ・
  ・

 

夜が更けるのを待ち、イヌホオズキ通りに足を踏み入れる。連続殺人の影響か、人の姿はない。
あたしはいつものように足音を殺し、息を潜めて犯人を捜す。明かりをつけるわけにはいかないので、完全に気配や視覚以外の感覚を頼りに探していくことになった。
歩く。静かに、音一つ立てずに歩く。泥と汚物と血の匂いを立ち込める通りを誰にも見つからぬように。

…………。

 

(……って、血の匂い!?)

 

弾かれたようにあたしは走り出した。海竜の呪いはあたしに凄まじい機敏性を与えてくれる。人が一歩駆ける間に、あたしは二歩駆けることができた。
レンジャーとして、盗賊として培った探索スキルをめいいっぱい働かせる。連続殺人事件の新たな犠牲者が、そして犯人が、近くにいる―― !

 

「…………っ!!」

 

あまりの惨劇に、血の匂いに、思わず口と鼻を覆った。
塗料をブチ撒けたかのように赤く染まった路地裏。狂い咲く、鉄の匂いをまき散らす紅の花。
死体の傍らに、その人影は立っていた。短剣を握りしめた人影が、そこに立っていた。

 

(弓で狙うには暗くて精度に自信がない、なら―― !)

 

先手必勝。あたしはもう一つの武器、短剣で犯人らしい人影に飛び掛かった。
まっすぐに、犯人を狙う。獣のように素早い一撃にも関わらず、それを読んでいたかのように犯人はひらり、身を翻してあたしの攻撃を躱した。

 

「―――― は……!?」

 

素性を、晒した。
その親しき素顔を、あたしに晒した。
草色の髪に、琥珀色の瞳。これを、あたしは知っている。

 

「ら、ラドワ……!?どうしてっ……!?」
「穏やかじゃないわね、ロゼちゃん。私でなければ死んでいたわよ?」

 

表情に、悲観的なものはない。むしろ歓喜や狂喜といった、どこまでも純粋な『楽しい』という感情がそこにはあった。くすくすと笑うラドワは無邪気な笑顔ではない。コカでもキメたかのような、頭のおかしくなってしまったかのような笑顔だった。
手に持っている短剣も、全身を染める返り血も隠そうとしない。よく見るとコートはいつも着ているものとは違う。真っ黒な、闇に溶けるかのような外套を今日は羽織っていた。

 

「ねぇ、ロゼちゃん。ロゼちゃんも、『こちら側』の人間なのでしょう?あなたはその偉大なる力を受け入れないのかしら?その偉大なる力の意志を満たさないのかしら?」
「は……?なに、を、」
「背中。同じもの、持ってるんでしょう?」

 

あたしもなのよ、と、ラドワは持っている短剣で服を割き、胸元を露わにした。
蒼色にぼんやりと輝いている。紅の花とは対照的な、されどどこまでも不気味なその光に、あたしは覚えがあった。

 

「あんた、海竜の呪い持ち――!」
「そう。私は海竜の呪いで魔族にも匹敵する程の魔力を手に入れたわ。だから、あなたが持ってる呪いの魔力も感知できたの。
 代償に、何でもかんでも殺したくなっちゃうらしいけれど……それの何が問題なのかしら?」

 

こんなに楽しいのに。
あはははは、と。楽しそうな声を上げた。どこまでもどこまでも、殺戮を心から楽しむ声だった。
ラドワは呪いの代償を完全に受け入れている。されど、その代償に飲まれてもいない。場は弁えるが、楽しい狩りの快楽に抗う気もないのだろう。
呪いに、いいようにされる。
もしかしたら元より彼女はそれをよしとしていたのかもしれない。あたしには関係ないことなのかもしれない。その恐ろしい感情に、なんの恐怖もないのかもしれない。
それでも、だとしても。

 

「……あら?やめなさいとでも言うのかしら?残念だけれど、呪いがなかったとしても好きなんだもの、こればっかりはやめられないわ。それとも……強引にでもやめさせるつもり?」
「……いいえ。無理にやめろ、なんて言わないわ。」

 

あたしは呪いのせいで感情的になることができない。
人に対しての感情は、全部全部、まがい物だ。無理やりにでも興味を持って、触れようとして、笑顔を作って、誘って。そうして一つ一つ不安定で脆いながらも繋いだあたしの数だけ、あたしという存在を守ってくれた。
だというのに、これは。理不尽だと、訴えている。嫌悪感を、抱いている。悔しい。悔しくて悔しくて、たまらない。この感情は、あの日……仲間に裏切られ、呪いを刻まれる直前に、あたしとしての最期に覚えた感情。

 

「……ねぇ。一つ、賭け事をしましょう?あたしはあんたを止めて見せる。殺すことが怖いと言わせてみせる。海竜の呪いの精神干渉を受け入れることに後悔させてみせる。絶対に、あたしを殺すことが怖いと泣きつかせてみせる。賭け事というより、一種の意思表示、かしら?」
「へぇ、面白いこと言うわね?けどそれが何?それ、あなたに何のメリットがあるの?そもそも賭け事なのに互いに何も賭けてないじゃない?」
「そうね、だから一種の意思表示。だけれど、あたしはこれを賭け事だと言う。」

 

裏切られてから、屈服させられることに強い悔しさを覚えるようになった。
それは自分に対しても、誰かに対しても。誰かが大きな力を前に屈しそうになっていれば手を貸そうと思うし、大きな力があたしに牙を剥こうものなら、絶対にあたしはそれに屈しない。
嘲笑、侮蔑。仲間があたしに向けた歓喜の声の数々を、あたしは忘れない。あたしは同じことを繰り返さない。もう決して何にも負けてやるつもりなどない。
この、なけなしの正義が。関心と感情を奪われてもなお残るあたし自身の悔しさが。
それが、あたしを繋ぎ止めるから。

 

「あたしが勝ったら、あんたは海竜の精神干渉と嫌でも戦ってもらうわ。むしろ、嫌だって言わせるのだから当然の未来よね。」
「そうね、もし言わせられたらね。じゃあロゼちゃん。もし私が勝ったら?抗う気もなくなって、私にやっぱり無理でしたって頭を下げることになったら?」
「そのときはね――」

 

風が、吹いた。
力強く、翼をはためかせるための風が。

 

「―― あたしを殺してもいいって言うわ。
「…………あは。」

 

まっすぐ、ただまっすぐラドワを見た。
その表情から決して目を逸らさなかった。

 

「あっはははははははは!!あなた、ほんっとに面白いわね……!!
 はは、あっははははは……はぁ、なぁにあなた、あなたは正義に取りつかれる代償でも持ってるのかしら?」
「いいえ、あたしの代償は無関心と無感情よ。そうなる気がさらさらないだけで。」
「はは、あはははは!!これで無関心に無感情ですって!?むしろどこまで正義のヒーロー気どりのお人よしなのかと思ったわ。何でそこまでして抗うのよ、ただ苦しいだけでしょ?」

 

確かに、抗う気がないラドワから見れば、あたしは滑稽そのものなのだろう。
だとしても。あたしは。

 

「えぇ、苦しいわよ。いつもあたしがいつあたしでなくなるか怖くて仕方ないし、感情らしい感情を確認してはまだあたしで居られてるって安心して、またしばらく後に確認して、その繰り返しよ。
 けどねぇ、あたしはねぇ!奪われたあたしをあたしなんて言い張りたくないの!虐げられていいようにされるのはもうごめんなの!誰かが力に振り回されるのを見て見ぬふりをするのも耐えられない!
 ―― この感情は、あたしが抱いた感情だから!この感情に嘘をついた、そのときが!あたしの、終わりなのよ!!

 

叫ぶ。目の前の友人に、思いをぶつける。
少し威圧されたのか、笑顔が少しだけ剥がれていた。それでもやはり、まだ分からないと言いたげな表情だったけれど。

 

「……いいわ、面白いから乗ってあげる。それから、もしあなたが本気で海竜の呪いの解呪を願うなら、あなたとチームを組んでこの呪いの解明にも力を貸してあげる。ただし、あたしがこの呪いを解呪したいって思うかどうかは別だけれどね?」

 

最も、自由を求めて冒険者になったのじゃなく、呪いの解呪方法を求めて冒険者になるという人が残り4人も見つかるなんて思わないけれど、と肩を竦める。
それもそうだ。冒険者となることが、今回はツールである。あちこちに足を運んで呪いに関する情報を調べるのに、たまたまこの上なく向いている職業なのだ。つまり、冒険者をやりたくて冒険者をしているような仲間だと、間違いなく自分の目的は達成されない。
それを、あたしもラドワも、気が付いている。

 

「……やってみせるわよ。それに、言質、取ったからね?覚えてなさいよ?」
「えぇ、憶えてるわ。それじゃあまた、海鳴亭でね、ロゼ。」

 

そう言って、ひらり、身を翻してラドワはその場を去っていった。

 

 

犯人が誰だったかはとても報告できなかった。結局あたしは連続殺人事件の犯人は取り逃がしてしまったと嘘の報告を行った。
メヌエットは最初から、連続殺人事件の犯人が海鳴亭の誰かだと知っていたのだ。いや、きっと彼女は……ラドワが犯人だということを知りながらあたしに依頼を回してきた。

知らぬが仏。ビエールカの家出人探しの依頼人の言葉が脳裏にじんわりと広がっていく。

 

が。

あたしは、知ってよかったと思っている。きっと知らないままであれば、ラドワに対してここまで入れ込むこともなければ、カモメの翼も結成されなかったと思っている。今もまだ、一人で依頼をこなして金を稼ぎ、その金で呪いについて調べる日々を送り、最悪解呪できないまま死んでいったかもしれない。
それに。その賭けは、あたしがあたしであるために、あたしを一番繋ぎ止めてくれる縁だ。無理やり作り上げた興味や感情でもなく、強き者に決して屈しないという意志でもなく。

ラドワという、同じ呪いを持ちながらも決して相容れない見解の友人がいる。

その見解に反感を覚え、胸を苦しめる悔しさを噛み締めるこの感情が。今一番、あたしを繋ぎ止めてくれる『呪い』そのものだ。

 


☆あとがき
知らぬが仏、初回プレイはうちよそ宿でしたね。うちの子が人狼クーポンで人間バリムシャアしちゃったの。実際人を食う種族だし何も問題なかったんだけどな!
今回はチーム結成前の物語としてこのリプレイを書かせていただきました。ロゼちゃんのこれはクソ重感情なのかな……多分ちょっと違うよな、違うよなぁこれは……
以前のリプレイで何度か出た『賭け事』はこれのことです。この賭け事に勝つため、ロゼちゃんはラドワさんを大分気にかけてます。たまにこれからも垣間見えることがあると思いますので、出てきたらおっと思ってくれると私が喜びます!
そうそう、今回出てきたメヌエットちゃんは私が太古に作った子です。もうかれこれ10年くらいは前の子ですね……なんかせっかくだったので、時を超えて共演させてみました。因みにソナチネのリーダーことプレリュードはラドワさんと同じ素材を使わせていただいたんですよ。なので似ている、ということにしました。まあ。あっちは知力慎重が白でこっちは知力狡猾が白なんだけどな!!

 

☆その他
所持金 700sp→1400sp(過去話だけど所持金増やすね)

 

☆出典

ほしみ様 『知らぬが仏』より