海の欠片

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リプレイ_7話『翼掠める背鰭』(3/3)

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次の日。朝になってもラドワは起きてこない。
ロゼの容態は思ったより良くないのかもしれない。このまま起きなければ……そんなことを考えて、アルザスは首を横に振った。
ノックして、部屋に入る。朝食を届けろとは聞いていないが、部屋から出てこないということはそういうことだろうと考え。届けるために、部屋に入って、

 

「あっ、アルザス、おはよう。」

 

ロゼが、起きてて、返事をした。

 

「……ろ、ろ、ロゼ、おまっ、おま
「しーーー!大声出したらラドワが起きちゃうでしょ!静かに!」

 

静かな声で気持ち怒鳴りつける。あっごめん、とアルザスは首をこくこく縦に振ってそーっと部屋に入った。
ラドワは昨日からずっと傍についてたのだろう。今はロゼの寝ていたベッドに倒れ、穏やかな表情で眠っている。ロゼは意外と元気そうだが、痛みはまだ残っているし、無理な運動はできない状態だ。もうしばらく安静にしている必要がありそうだ。

 

「しかし、あのラドワがこんなに人の心を持った行動を取ってると、こう……槍でも振ってきそうで怖いな……」
「奇遇ね、あたしもよ。しかも寝ちゃうまで傍についてるってよっぽどよ。それも、あんたがアスティに対してとかその逆だったら分かるんだけど……あのラドワがよ?」
「そうなんだよな。ラドワが、なんだよな。」

 

酷い言われようである。日頃の行い的に仕方のないことだが。

 

「それじゃあお前の分の料理も運んでおくから、ラドワが起きて食べたら俺たちを呼んでくれ。そしたら昨日のことの情報整理と行こう。」
「了解。そのときはラドワに呼びに行かせるわ。」

 

アルザスは部屋を出て、もう一人分の料理を持ってくると再び外に出た。それをロゼは見送り、それからため息を一つついた。
……昨日のことを思い出す。震えている。胸を締め付けられるような思いがする。
恐怖だ。怯えている。あのおぞましい狂人に対して、畏怖を抱いている。
感情に疎い今で、作り物ではなく確かな恐怖を抱くということは、よほど強い恐怖心をあれに覚えているということになる。自然な感情を覚えることはロゼにとって嬉しいことではあるが、流石に今回に関しては素直に喜べなかった。

 

「……ん……ぅ……あっ、あれ、朝……?」
「あ、おはよ、ラドワ。」
「……。……ロゼ……ロゼ!?起きてたの!?」
「うん。ちょっと前に。」

 

起こそうかとも考えたんだけどね、と苦い顔をしながら笑った。しばらく驚いた表情のまま固まっていたが、はぁーーーと大きなため息をついて座りなおした。

 

「馬鹿……今回は本気で心配したわよ……」
「えっ、あんたが心配って……うわこれ絶対明日槍が降るじゃない。今日はやっと晴れたって思ってるのにどうしてくれんのよ。」
「心配して悪い?私だってねぇ、それなりに親しい人が目を覚まさないってなったら不安になるのよ。」
「……へぇーーー?」

 

めっちゃにやにやした顔を浮かべている。
性格が悪そうな、むしろラドワの十八番と言える表情をロゼがしている。

 

「な、なによその顔。」
「べっつにぃ???ラドワも随分と人間になったなぁって???」
「元々人間よ私は!あーもうっ、あなためちゃくちゃ元気じゃない、心配して損したわ!」

 

再び大きなため息をつく。それをロゼは面白おかしそうに笑った。
溶けていく。恐怖を抱いた感情が。どろり、消えていく。
安堵の方が強くなったから。目の前で自分が庇った者が傍に居てくれて、なんなら心配したとまで言ってくれた。
独りではない。そう実感して……ロゼは、自然な笑みを浮かべていた。

 

「……ラドワ、ありがと。あんたが生きてくれたから、あたしはまだ、あたしで居られるわ。」
「はあ、どういたしまして、かしら?ってそうよ、ロゼ。あなた、何であのとき庇ったのよ。わざわざあなたが大怪我する必要なかったでしょ。」
「え、めっちゃあるんだけど。」
「えっ。」

 

アルザスの持ってきていた朝食を手渡す。元気そうだということで、ロゼもラドワと同じものが振舞われていた。トーストに目玉焼きにサラダ、それからスープ。基本的な食事だ。

 

「クレマンのやり方をあたし知ってるのよ。クレマンは暗殺を得意としてる。呪いの目と爪の賜物、なんでしょうけど……人の、確実に殺せるポイントを目の呪いで暴いて、そこを爪の呪いで確実に抉ってくる。あんまりにも鮮やかなもんだから、『白銀の死神』なんて言われてたのよ。吸血鬼になってもやり方は変わってなかった。
 あんたをどかせる時間はなかったから、あたしが急所から逸れた位置に刃を受けた。翼の呪いで機敏性が上がってるから、あんたの前に出ることは簡単なのよ。」

 

アルザスと違い、自分が死なない前提の身を挺した行動だった。最善の結果を得ようとしたらこうするしかなかった、が正しいだろう。
だとしても、ラドワは腑に落ちなかった。確かに自分はロゼを特別な人だと認識している。だとしても、自分がどう思われているかは、ラドワには分からない。

 

「……別に庇わないで、私が殺されていればそれでよかったんじゃないの?運が悪かった、面倒なやつに目をつけられた、庇う理由がやっぱり見えてこないのよ。それこそ
「ラドワ。それ以上、自分が殺されていたら、なんて言うな。
「っ、」

 

自虐から来ているものではない。純粋に、論理的に考えてラドワは納得がいかない。それは、分かっている。
人から向けられる感情を、ラドワは知らない。だから家出をして家族がどう思っているか、という話を振ってもラドワは分からないし、カモメの翼からラドワが居なくなると皆が悲しむ、ということも理解できない。
分かっていても、ロゼは怒らずにはいられなかった。ロゼにとっても、ラドワは特別な人だから。

 

「……ごめんなさい。」
「分かればよろしい。多分分かってないんだろうけど。」

 

追々分かればいいわ、とまだ怒りを孕んだ言葉をラドワに投げつける。
怒られた理由は、ロゼの思った通りラドワは分からなかった。最も、それを含めてロゼは分からせてやる気でいるのだが。
やがて朝食を食べ終え、ご馳走様と手を合わせる。互いに食べ終わると、ラドワは皆を呼ぶついでに皿を返しに一度部屋を出た。待っているとカモメの翼が集まり、ロゼを囲んでよかったよかったとやいやいした。

 

「無事でよかったです……私を攫った人と戦って大怪我をされたって聞いて驚きました。」
「アスティも、大した怪我はなさそうでよかったわ。……アルザスがアスティを見つけた、でいいのよね。」
「あぁ、それも含めて……全員が昨日出会った人物と事象を教えてほしい。」

 

病み上がりにすまない、と先にアルザスはロゼに誤る。気にしないで、調子は大分戻ってきたからとロゼは返した。
事が起きた時系列から話していく。まずはロゼが、クレマンについて話し始めた。

 

「あたしとラドワが会ったのは、クレマンって吸血鬼。あたしの元仲間。……あんなやつ、元仲間っても思いたくないんだけどね。
 呪いは目と爪。目はあらゆる者の情報を見抜き、爪は急所を的確に抉る器用さを授ける。代償までは分からないわ。ただ、目で敵の弱点を見抜いて、一点そこを抉れば殺せるってところを確実に爪の呪いを使って抉ってくるの。武器は吸血鬼なのに、銀でできた短剣。」


「吸血鬼、だけれど一般的な吸血鬼とは違うようね。呪いの影響か、それとも別の理由かは分からないけれど、流水と銀は効果がないみたいよ。なんなら雨の日にアスティを攫っていったもの。」

 

海竜の呪いの影響で水に強くなった、というのは何となく分かるような話ではある。ただし銀に強くなる理由に関してはよく分からなかった。また、ロゼが知り合った頃は吸血鬼ではなかったそうなので、吸血鬼になって長くて5年といったところだそうだ。
その割には随分と力を使いこなしていたような気もする。更には吸血鬼が苦手とするものをいくつか克服しているようなので、ことさら凶悪な相手と言えるだろう。

 

「しかし、皆呪いを2つずつ持っているんだな。精神代償も倍にならないのだろうか。」
「そこまでは分かんないけど……でも、人間の心をしてるっては言いづらくない?って考えたら、呪い2つ分の代償は受けてんのかもしんないよ。」

 

ミュスカデおばあちゃんを見た感想と、話を聞いてる限りの人物像からの推測だけどね、とカペラは肩を竦める。精神に関して見抜く術を誰も持たないので、これに関しては推測の域を出なかった。
ただし、確実に規格外となりうる強さを得る。これだけは確かだ。

 

「クレマンが直接攻撃してきたのは、多分あたしに用があったから。あたしを、あっちのパーティ……オルカの背鰭に引き込むためね。理由は理解したくないんだけど、あたしが好きだからって言ってたわ。」
「……念のため聞いておくが、向こうに付く気は?」
「一種の拷問に思える程度には付きたくないわ。」

 

だろうな、と苦い顔を浮かべる。
なかなかの狂愛ぷりで、サイコパスな元人間だったと聞く。ラドワから詳細を聞いたが、ラドワ以上にやばい人だとこっそり思っていた。
意思疎通ができなければ自分の欲に忠実に動く。それで人の人生を歪め、一切の罪悪感を抱かないのだから恐ろしい。

 

「じゃー次僕たちだね。僕はミュスカデおばあちゃんに会ったよ。必要以上に敵対する意志はなさそーだったけど、オルカの背鰭のリーダーに服従をキメてたね。ただ、こう……なんて言ったらいーんだろ。空っぽ?なんだよね。なんか、成り行きでそーなったっていうか、付きたくて付いてるよーに見えないっていうか……」
「呪いは角と声。角は不老に、声は強力な精神干渉ができるぜ。ただ、カペラは言霊で無理やり命令を下してて、あのババアのは歌でさまざまな影響をもたらす、って感じか。」

 

カペラが言霊の力であれば、ミュスカデは声に術を込めるのだという。どちらも抵抗するには精神力が必要で、並大抵の精神だと敵わないそうだ。
現状、カペラはミュスカデには勝てない。それは、彼が精神干渉を受けたことで身を持って知っている。

 

「おばあちゃんは痣を持って生まれて、神に選ばれた子だって旅に出されたんだ。あ、海竜の呪いとは別。ほんとに生まれ持って変な痣があったんだって。
 それで、僕のお母さんを産んで、結婚を見届けてまた旅に出たって。そっからは、僕は知らない。」
「……そーいやなんか、歌が上手ぇばーさんが村を出るとかなんとかあったよーな気はすっけど……なんせ、10年以上も前のことであんま覚えてねぇよ。でも、もっと心の篭った歌を歌ってたよーに思うんだけどな。あたいの思い違いか?」
「いや、多分そのときは本当に歌に心があったんだと思うよ。今のおばあちゃんの歌にはそれがない。……ただの、人を操るための呪文だよ、あんなんじゃ。」

 

吐き捨てるように言う。一日経ったカペラの言葉には、昨日はあった憂いがなくなっていた。
強固な意志となり、止めてみせるという想いが伝わってきた。それは血縁関係であっても変わらない。

 

「じゃあ、最後に俺。俺はゼクトというオルカの尾鰭のリーダーに会った。クレマンにアスティを連れ攫うように言ったやつで、ミュスカデの主人だ。俺と同じ、ウィズィーラの生き残りの人間だという。真偽は分からないが、竜災害で海竜を見て、憎悪と殺意に満ち溢れたあの海竜に惹かれて、それを果たそうとしているらしい。」
「……でも、それにどうして私が必要なのでしょうか。私は確かに、元ウィズィーラの浜辺で倒れていましたが……それ以上は、何もありません。だというのに、どうして……」

 

ゼクトはアスティに強い執着を見せた。アルザスはそれが、一種の崇拝のように思えた。
まるで海竜を信仰し、自分のその全てを捧げると。そのためにアスティが利用されるのであれば、それは絶対に阻止しなくてはならない。ぎゅっと、無意識のうちにアルザスは握りこぶしを作っていた。

 

「アスティは、海竜と何か関係がある。これは間違いないんでしょうね。それが何かは分からないけど……どう?何か思い出したことはある?」
「いいえ、何も……ただ、いくつか変わったことはありました。一つは、水を生成して打ち付ける、ということができるみたいです。意図してやったものではなく、まだものにはしていないのですが……」

 

ロゼの言葉に、首を横に振る。ただし、進展が何もないわけではなかった。
高圧の水弾を生成し、発射させる。治癒作用のある水を生成することは以前から可能だったが、こちらは純粋な水を生成し、敵に発射するというものだった。

 

「あともう一つは、アルザスに助けを求めたらアルザスが来ました。」
「俺も……アスティが助けを求めてる声が聞こえたんだ。だから、助けに行くことができた。」
「これだけ聞いたらとんだバカップルなんだけどそこんところどうなのかしら。」

 

ラドワの言葉に、2人ともぶっと噴き出す。突然緊張感がなくなるのはいつものカモメの翼だ。

 

「ちょ、あの、あ、あ、あの、ら、らど、らららラドワさん???あの、俺たちそんな関係じゃないから、そういうんじゃないから。」
「もう実質付き合ってるようなものでしょうが。ってか早くくっつきなさいよ、もう両想いでしょこんなのあーはいはいお砂糖ご馳走様で?それはほんとにバカップルのあれそれじゃないのね?再現性はあるの?」
「この人容赦ない!こほん……えーと、多分、違うと思うの、ですが……」
「てか今ここでやってみたら?はいじゃあなんちゃって伝言ゲーム。」

 

ロゼがなんか言い出した。
えぇーーーと思いながら、ロゼはラドワからペンと紙を借りてがりがり何か書く。それをアスティにだけ見せると……アスティはまたぶっ、と噴き出した。

 

「はい頑張れ。」
「だから何でそんな鬼畜な仕様にするんですかもーーー!!別の!別の内容にしてください!!」
「えぇー傑作だったのに。しょうがないわねぇ、ハードル落としてあげるわよ。」

 

書き直して再度アスティに見せる。だから何でこうなるんですかと文句を漏らしたが、先ほどよりはずっと言いやすくなったらしい。なんて書かれてあったんだろう、と他の4人は気にはなったが、とりあえず今は黙っておくことにした。
目を瞑り、アルザスに呼びかけるように強く念じる。それからロゼの書いた内容をそのまま心の中で復唱した。

 

「……。……えーと。アルザスの……プリンを食べたのは……カペラ……?」
「えっ」
「お前か!あのとき俺のプリン食ったの!」
「えええ何で知ってんのアルアル!?え、いや、この場合アスアス……?いやロゼロゼか!」
「やー、こないだつい見ちゃって。」

 

一週間ほど前、アルザスが全員分にプリンを作っておいたら、なぜか自分の分だけなくなっていたという事件が発生した。どうやら冷やしている間にカペラがアルザスの分をひょいパクしてしまい、仕方ないのでアルザスは仲間にプリンを譲ったのだという。献身的だなぁ、いい話だなぁ。

 

「カペラって大食いだもんなー。あとアルザスの料理、めちゃくちゃうめぇもんな。」
「そーそー!だからアルアルの手料理だって聞いてつい食べちゃったんだよね。てへぺろ。」
「もう時効だから許すけども!許すけども次やったら一週間おやつ抜きだからな!」
「あんたはオカンか。」

 

本題が完全にねじ曲がっている。はっと気が付いて、アルザスは話題を元に戻した。

 

「……とりあえず、アスティから俺に言いたいことを伝える力はある、みたいだな。あと何となくお前が呼んでいる場所が分かる。」
「これ、逆は成立するのかしら。アルザス君、ちょっとやってみてくれない?あ、内容はこれで。」

 

すでに準備してたなこのラドワって女。
ロクな内容じゃない気がする、と思いながら紙を受け取り……それから顔を真っ赤にしながら

 

「言えるかぁ!!」

 

と、一喝した。

 

「言えるかぁ!!こんなこっぱずかしいこと誰が言えるか!!こっちで内容決める!却下!これは却下!いーな!!」
「あんたはあんたで何を書いたの。」

 

ロクなことじゃないことは確かだな、と思いながらロゼはラドワに尋ねる。べっつにー、と、大変楽しそうな笑顔を浮かべた。
調子を乱されながらも、アルザスはアスティを呼びかけるように念じる。本当に名前を呼ぶだけの、そんな念ではあるが。

 

「……うーん。私には聞こえません。」
「となると……アルザスの愛が重たすぎた?」
「えっ。え、いや、えっ、そ、そんなことない、と、思うんだけど……え、俺重い?」
「実際、アスティからアルザスを呼ぶときは魔力の流れのようなものがあったわ。精神的に一時的に繋がってるような状態に近いかも。精神関係は専門外だから私ではここまでしか分からないけど。」
「いや結構分かってないかこれ?」

 

その後、いくらか実験を繰り返して次のことが判明した。
アスティからアルザスに声を飛ばすことができ、更にアスティが居る場所を何となく把握することができる。その逆は成立しない。また、他のメンバーでも成立はしないので、アスティからアルザスに対してのみ、ということになる。
その際、アスティとアルザスに小さな魔力の流れが発生しており、恐らくは精神面で一時的に繋がりが生まれ、このようなやり取りが可能なのだとラドワは推測した。ヒロインのピンチにかけつける主人公がご都合主義ではなく成立する、ということがこうして判明した。

 

「ますますわけわかんねぇことんなったな、アスティ。あと、ある意味アルザスも、か?」
「無関係ってはもう言えないもんねぇ。でもなんでアルアルだけに聞こえるんだろーね。」
「そもそも、アルザスの魔力もアスティの魔力も私たちの呪いも、全部同質も魔力なのよ。この理由も、出身や発生がウィズィーラだから、で片付けられないような気はするの。何か、深い理由があるんじゃないかなって。」

 

うーんと考えて、やはり結論づけられるのはこれ以上は何も分からないということだ。オルカの背鰭は恐らくこちらよりも保有している情報は多い。むしろ、彼らとの接触があったことにより進展した、ともいえる。
……この時点で、ゼクトと交戦したときの、海竜の呪いがアルザスに現れたことは忘れていた。というよりも、アルザスもアスティも気が付いておらず、触れることができなかったのだ。

 

「ひとまずはこのくらいか。……後は、今後の方針だが。
 オルカの背鰭は、俺たちと因果関係が何かとある冒険者だ。今後、接触してくることもあるだろう。俺たちは……強くならないといけない。あいつらに負けないように、力をつけないと。」
「……そう、ね。その点でも、今は依頼を受けて、経験を積んで。彼らに追いつくことが急がれるわ。けど、焦りは禁物よ。ましては、呪いに呑まれるなんて絶対にあっちゃいけないことだから。それだけは、肝に銘じておいて。」
「……気を付けるわ。」

 

オルカの背鰭。
彼らの接触は、カモメの翼に様々な変化をもたらせた。
深い爪痕を残した出来事だったが……彼らにとって、大きな成長に繋がったと言えるだろう。
今は仲間の回復を待ち、次はせめて、互角に戦える程度には。
呪いの解明、アスティの記憶捜索に加えて、新たな冒険者を続ける理由が生まれた。

 

 

 


☆あとがき
オリジナル回でした。「そろそろ呪いについて大きな動きを見せたい」ということで入れたんですけど……いや、その、重たいな……?え、やだ何この重たい話……えぇ……?
ぜっくんがあまりにも気持ち悪いしなんかギリギリラインを書いているせいで、私は一体何を書いているんだ……?と、真顔になったのもいい思い出です。NTRじゃないか、って叫び始めたよわんころさん。
あとこれ、書いてて2回文章が消えました。1回目はロゼラドがクレマンとぶつかるところ、2回目はゼクトがアスティちゃんを襲うところです。やめて???そこで消えないで???そこ書いててめちゃくちゃしんどいのやめて???となりながら、泣く泣く書き直しました。2回もNTR未遂シーン書きたくなかった……
(なんならこの話公開する週にリプレイ書く用のPCが壊れましたよね)

 

さて、敵対する呪い持ちのメンバーが出てきました。以前ツイッターの方でなんだこいつら、と紹介したあのやばい人たちです。ミュスカデさん以外は偶然の産物なんですけどね!この適正4つ白持ちの今後の活躍に……私は素直に期待したくないです!!やだぁ!!ぜっくんがひたすらにキモイのぉ!!!!
あ、クレマンさまはやべー人なんですけど、動かしてて勝手にセリフぽんぽんくれるので楽です。動かしやすいです。ミュスカデおばあちゃんは……これ6人居たら絶対に空気になるな、と思いながら動かしてました。これ動かしてあげないと動いてくれないやつだ。

しかし。ラドワさん。あなた、人の心を持ち始めましたね……?

 

☆その他
何もないよ