海の欠片

わんころがCWのリプレイ置いたり設定置いたりするところです。

運命の天啓亭 8~14

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8.ゆずきち様作『幸せの日記帳』

 

 

 

長い時間、随分と眠っていたらしい。
目を覚ましたときの、心から安堵し喜んでくれたエナンの顔も、凄く泣きわめいて抱きしめてくれたトゥリアとテセラの顔も、よく覚えている。

すっかり鈍ってしまった身体は本調子とはいえず、少しでも感覚を取り戻そうと思って簡単な依頼を探して。

 

そして。
この、幸せの日記帳という、胡散臭そうな依頼(正直ちょっと期待してた)を見つけた。

結果的には、身体を軽くする魔法がかかっていて一ヶ月で効果が切れるという代物だったけど。
助けてもらえた、ということでいいのかな。

 

エナンから貰ったお礼は、今でも大切に持っている。

 

……本当に、目を覚まさないままにならなくてよかった。
私はまだ、こうやってみんなと一緒にいたい。

 

 

―― 著者『ファディ』

――――――――――――――――――――

 

9.ask様作『賢者の選択』

 

依頼を終えて帰ろうとして、騎士に声をかけられて。
助けなきゃ、と彼に連れられ、村について、デュマデュオの罠に嵌められた。

洞窟に閉じ込められ、老人と出会い、デュマデュオを殺すよう命令され、地上に戻された。

そして、デュマデュオに眠らされ……そこからは、覚えていない。
それどころか、目が覚めた時には馬車の中で、倒れていたところを助けられた。村について聞いても、村などなかったと告げられた。

 

夢だった、のだろうか。
いいや、そんなことはない。

 

アンデッドに追われ、仲間が傷つき、癒し、襲われ、いつしか魔力も法力も尽きて、一人、一人と意識を失っていく。
このままだと、皆帰ってこなくなる。いなくなる。失ってしまう。俺も、例外ではなく。
は、突然理不尽に訪れる。

 

……俺は、あの恐怖を、鮮明に覚えている。

 


―― 著者『エナン』

――――――――――――――――――――

 

10.ask様作『墓守の苦悩』

 

これは喜ぶべきかどうかわかんねぇけど。
トゥリアが些細なことじゃ怯えなくなってきた。
流石に墓からゾンビがうぞうぞ出てきたときは数歩引いたけど、そんだけだった。

 

冒険者になる前なら、嫌だ怖い、帰ろう、わたしには無理だよ、そう泣き言を言っていたのに。
今ではトゥリアが凄く逞しく見える。おれたちはあいつの魔法に支えられている。

 

きみは役立たずなんかじゃない。ずっとずっと、すげぇんだ。そう喜ぶ気持ちが半分。
過酷な冒険が続き、嫌でも慣れてしまい感覚がおかしくなってしまってんじゃ、と恐怖が半分。

 

……おかしくなってしまわねぇよーに。
俺はずっと、これからも、トゥレラの傍で、繋ぎ止めよう。

 


なんて。

そんなおれも。
やっぱり死体くれぇじゃ嫌悪感程度に収まっちまうんだから、壊れかけてんのかもしれねぇな。

 

 

―― 著者『テセラ』

――――――――――――――――――――

 

- ask様作『旧き沼の大蛇』

 

- 発狂道化師様作『夢は南海を駆ける

 

――――――――――――――――――――

 

11.夜月様作『凍える森のファシア』

 

ファシアという男性が森で暮らしていて、かつて森を守るために猛吹雪を起こし、街の者は彼に吹雪を止めてもらうために生贄を捧げた。

 

ファシアは生贄を哀れみ、吹雪を止め森で生贄と生きるようになった。
そのうちに生贄のことが好きになったが、寿命が違うためいつか別れは訪れる。彼は失わないために、彼女を氷漬けにして永遠を共にしようとした。
けれど、ファシアの魔力が限界を迎え、氷が解け始めていた。

 


エナンの言葉を隣で聞いていた。
生贄……ソフィアが消えるときを受け入れる日が来たと。
共に生きる時間が違う。永遠に共にはいられない。

そう語るエナンは、とても苦し気な表情をしていた。

 


私が目を覚まさなくなったとき。
私の立場になったときのことを考えたのだろう。
こんな状態であれば死んでいると同じだから、いっそ殺してくれと。
ソフィアの口にした、何もできないことが悔しいと。
会話しかできないこと、表情が作れないこと、動物や妖精を頼らなければ何もできないことが、悔しくて無力さを思い知らされるのだと。

 


彼は、優しいからソフィアの意見を尊重した。
本当は、ファシア側の意見だったろうに。

 


―― 著者『ファディ』

――――――――――――――――――――

 

12.大根おろし炒め様作『ホーム・スイート・ホーム』

 

ゴミ屋敷に足を踏み入れた清掃局の者が帰ってこない。
魔術師は幻術の使い手で、自身に幻術をかけ夢に逃げたというのが大筋だ。

 

どれだけ夢で取り繕うても、現実ではあのあり様だ。
ああはなりたくないものである。冒険者である以上綺麗な終わりにはならぬだろうが、せめて民のため、仲間のため、死力を尽くしてからこの世とお別れしたいものだな。

術者の魔力のせいでエヌの具合がよくなかったが、よく働いてくれた。術を解いたのもエヌであった。
帰ったとき、随分と疲れた様子であった。ゆっくり休んでほしいと思う。

ところですまぬな、鼻栓売りの男よ。余は強く生きる。
いつかこの借り(100sp+鼻栓)は返すからな。

 


ああそうそう、またうちに新入りが増えたのだ。
姉弟で前線を共にしてきたセヴェンタとヴェレンノ、シスターのティカに、トレジャーハンターのルジェ。
彼らの冒険にも、幸があらんことを。

 


―― 著者『オクエット』

――――――――――――――――――――

 

13.藤四郎様作『深山の帝王』

 

村が、燃えた。
村を、救えなかった。

 

黄昏時と夜は危険だから、何かあったときに対処できるよう全員で見張りをして、活動時間ではない朝に休もう。
……活動時間ではない時間も、警戒すべきだった。
何人か見張りをさせていればこうはならなかった。

 

ファディは、首を横に振った。

 

「全員が疲れていました。あなたの判断で、皆さんを休ませてくれたから。
もし、無理をしていたら、ミーシャを討てなかったかもしれません。誰かが死んでいたかもしれません。」

 

そう落ち込むのは結果論ですよ、と笑った。
震えていて、無理にでも作った笑みだって嫌でも伝わって。
たった一言だけ、ごめん、としか言えなくなった。

 


俺は、ただ、困ってる人の力になりたくて冒険者になったのに。
俺は、また、何も助けれなかった。
自分の無力さだけを思い知らされる。

 

初めて受けた依頼も、魔術師が居たあの村も、ファシアたちも、そうして今回のことも。
それから……ティオールも、エクシスも。

 


剣が、やけに重く感じた。

 


―― 著者『エナン』

――――――――――――――――――――

 

14.藤四郎様作『マールの火竜』

 

今にも死にそうな竜だったとはいえ、僕たちは竜殺しの称号を得ることになった。
王国は竜との約束を破った。では、いずれ竜は我々に牙を剥くかもしれない。あまり乗り気ではないが、討伐することにして。

 

子竜がいた。傷つけられ、ボロボロになった子竜だ。恐らく国が子竜を攫い、竜の血を得る道具とした。そして、親竜はそれを助けるために国に攻め込んだのだ。

あまりにも可哀想だ。リーダーは子竜を見逃そうとして……オクエットが待ったをかけた。

 


「ここで殺してやらぬか?
ここで、村人に見つけられてみろ。また同じように血を得る道具にされる。反抗する力も残されておらぬ。

もう……この子竜を、楽にしてやらぬか。」

 


東方の薬は、竜との戦いに使ってしまっていた。
オクエッタにそれを預けていた。竜との戦いは壮絶で、トゥレラもファディも立ち上がれなくなり、使わなければ死ぬと判断し、使った。

―― もし、薬が残っていたならば

 

 

宿に帰って、彼女の部屋に入ろうとして。
……泣いていた。助けられなくてごめんねと、こんなことしかできなくてごめんねと、ボロボロと泣いていた。

 

ああ、あの人も泣くんだな、と思った。
そういえば、いつか竜に乗ってみたい、竜と仲良くなりたい、でも戦ってもみたい、なんて言っていたっけ。
そもそも。……そもそもオクエッタは、まだ8歳の子供だ。あの振る舞いから忘れそうになるが、トゥリアたちよりもまだ幼いのだ。
決して弱音を吐かない人だと知っている。それを許さない人だと知っている。だから、ここで僕が部屋に入ればその言葉を飲み込んでしまう。

 


そっと、部屋を後にした。
あの日の助けてくれたお礼をすることすら僕には叶わない。
……僕には、そんな資格はないのだと言われているようだった。

 


―― 著者『エヌ』

 

 

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運命の天啓亭 幕間1

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ネムリヒメ(春野りこ様作)内でのお話です

 

 

ファディが目を覚まさなくなり10日が経った。
報酬が安くともリューンから離れたくない。リューン近郊での依頼を中心に受けてばかりでロクな収入はなかった。
明日食うに困る、ということはないが、新たな武器や道具の調達ができない、といった状態だ。

 

「……ファディお姉ちゃん……このまま、起きないのかな……」
「馬鹿、そんなこと言うなよ。死んでねぇんだ、ぜってー目ぇ覚ますから。」

 

ティオールとエクシスが帰ってこない。未だに死んだという知らせは入ってこない。
だから、ファディもこのまま。すぐに悪い方向に考えてしまうトゥリアを励ますテセラの姿を見るのも何度目だろうか。

 

「でも、だって……ティオールさんたちは、帰ってこなかったから……」
「どっかで遊びふらしてんだろ、あいつらのことなんだから。いっちゃんこっちの世界を知ってるやつらだったろ。だから大丈夫だって。」

 

―― 分かっている。もう2人は戻ってこない。きっとどこかで死んだのだろうと。
それでもあきらめきれなくて、きっとどこかで生きている。あり得ないと分かっているのに、そんな希望を捨てきれずにいた。

 

「ただいま。」

空が赤色になれば、エナンが戻ってきた。
戻ってくれば、決まってトゥリアが起きた?と泣きそうな顔でエナンに尋ねる。それを、きっと明日になったら目を覚ますさと伝えて頭をなでてやる。
それが、いつもの流れだった。

 

 

 

「なあ、エナンよ。」

 

夕食を終えれば、くいっとオクエッタがエナンの服の袖を引いた。
少しだけ余と話してくれぬか、と相談を持ち掛ける。晩酌にはエールとホットミルク。余はまだ子供故酒は飲めぬからなと笑った。
田舎育ちで動物が好きな彼女は寝る前にはよく飲んでいたそうだ。

 

「待つ側というものは。何もできないというのは。辛いな。」

 

同情か、それとも。
オクエットはエヌと共に後からパーティに入ったため、ファディとの面識は浅い。故に依頼も落ち着いてこなせたし、人をまとめる力があるため何度か代わりにリーダーを務めてもらった。
だから、同情の、慰めの言葉だと思った。

 

「……でも、いつか絶対起きるから。だから何の心配もないしへっちゃらだぞ。オクエットもいつもありがとうな。」

 

と、エナンは笑った。
オクエットは笑っていなかった。

 

「余は、辛かったぞ。」

 

ここで、あっとエナンは気が付いた。
ファディが目を覚まさなくなる少し前。エヌが魔法生物に寄生され、酷く痛めつけられ衰弱することになった一件があった。
オクエッタが違和感に気が付いたから助けることができたが、気が付かなければ今頃彼はこのパーティにはいなかっただろう。
ずっと傍に付き添っていた。
大丈夫、じきに回復する。オクエッタはエナンたちにそう振る舞っていた。

 

「…………あぁ、」

 

分かったら。
止められなかった。

 

「辛いよ……」

 

生きている。
ちゃんと、生きている。分かっている。
けれど、俺が助けたあの人が恩返しにと冒険者として支えに来てくれて。
癒しの力で怪我を治療し、パーティを支えてくれて。

何よりも。

 

優しく、いつも笑ってくれた、あの人が。
目を覚まさなくて、笑ってくれなくて、名前を呼んでくれなくて、それに対して待つことしかできなくて。

 

「あいつ、トゥリアも、テセラも、心配してるって……ゎかって、ないだろ……なぁ……皆待ってるのに……俺だって、ずっとずっと、待って、て、起きてこいって、言ってんのに……
 なあ……んで、起きてきて、くれないんだよ……ファディっ……!!」

 

こらえきれなくなって。
泣いて、涙をこぼして、弱音を吐いた。
オクエットは隣で、その言葉を聞いていた。
うむ、と何度も首を縦に振るそれは、同情というよりは。

 

つい最近得た同じ辛さを、自分だって辛かったのだと。
弱音を吐けない分、照らし合わせて吐き出しているようだった。

 

 

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運命の天啓亭 1~7

☆はじめに

ツイッターでのプレイ実況と、ほんのちょっとだけリプレイにしたまとめです。

適当な部分でまとめるようにします。

 

 

1.かがち様作『迷い花』

 

 

 

―― 初めて受ける依頼がこれだった。
村の植物を駆除する。この依頼を受けたほかの冒険者は帰ってこなかった。

 

捨て駒にでもされているのだろうか、なんて思ったけど、手におえなければ帰ってくればいいか。それに、たかが植物だ、危険はそれほどないだろう。

……なんて、酷く甘い考えだったと思う。

「そもそも植物を駆除する依頼というものが不自然なのよね。
 いい?何か魔法的な効果か、猛毒を持っているものがあるかもしれない。植物を見かけても、理由が分かるまでは触れちゃだめよ。」

相変わらず頭が固いな、ってティオールを笑い飛ばしたけれど。
ティオールがもし事前にその忠告をしていなければ。

誰かが、『アレ』になっていた。


アレを踏み潰した感触を今でも覚えている。
村での惨事が今でも夢に出てくる。
確かに、収入は多かったけれど。

俺は、俺達は……冒険者というものが、いかに危険と隣り合わせか。
そして、このようなおぞましいものと対峙することもあるのだと。
この依頼で、思い知らされた。
暫く誰も、依頼を受ける気になれなかった。
暫く誰も、植物を見ることもできなかった。

 

 

- ask様作『遺跡に咲く花』

 

 

 

 

―― 著者『エナン』

――――――――――――――――――――

 

2.空冥様作『真昼の星』

 

「お前は必要なかった」

依頼主に、そう言われた。
テセラは本当によくできた弟で。
私が泣いていても、困っていても、いつでも傍に居てくれて私を助けてくれる。
私なんて、いない方がよかったんだ。

ごめんなさい、ごめんなさい。
何度も何度も口にして。

飽きれたように、テセラは私を引っ張っていってくれた。



「俺は太陽なんかじゃねぇよ。
 ちゃんと、星は見えてる。在るって知ってる。」


そう言って笑うテセラが。
暗いこの帰り道で、道しるべのように輝いていた。


―― 著者『トゥリア』

――――――――――――――――――――

 

3.ふゆこ様作『夢を見る塔』

 

仲間が2人、帰ってこない。
さほど難しい依頼ではなかったはずだ。しかも、帰ってこないのはこの宿では多少戦いや魔法の心得がある2人で。

何かあったのだろうか。
事件に巻き込まれたのだろうか。

分からない。
足取りがつかめない。
何の情報も入ってこない。
そもそも駆け出し冒険者の生死など宿に入ってくるものなのか。

……いや、きっと帰ってくる。
だから、信じて待っていよう。


2人、冒険者志願の者がやってきた。
変わった人たちだったが、彼女たちが戻ってくるまで共に仲間になってもらおう。


―― 著者『エナン』
―― ティオール、エクシス、キャラロスト

――――――――――――――――――――

 

4.ゆずきち様作『_6が幻覚見てる』



初めての、冒険者としての依頼。
冒険者とはこのような修羅場をいくつも潜り抜けていかなくてはならないのか。

いくつもいくつも罠をかいくぐり、敵を葬り。
そうして待っていたのは。

―― コカの葉の幻覚症状を患った状態での、意見を合わせる、ゲームだった

 

……僕から言えることは。
疲れた。



―― 著者『エヌ』

――――――――――――――――――――

 

5.花子さんとかの人(罪深い赤薔薇の人)様作『悪魔憑き』

 

……これが、噂には聞いていた……
痴呆という名の、老害、という、やつですか……


最近こういう依頼ばっかりじゃないですか?気のせいですか?
とりあえず、手に入った手紙を届けてあげました。

酷い依頼だった。
こうとしか、書けません……



―― 著者『ファディ』
――――――――――――――――――――

 

6.みん様作『https://twitter.com/wankoro1563/status/1507985018853142530?s=20&t=aRpj9Q-E-Fhn_FaXSqXOlg『日記』』

 

エヌが、引退する者から日記を貰った。餞別だと。
しかしそれは、匂いで人間の身体に潜りこむ魔法生物が込められたものだった。

余が甘かった。
余がもっとしっかりしていれば。
もっと早く気が付いていれば。
エヌは、あのようなことにはならなかった。

ボロボロになったその身体に触れる。
酷く弄られたものだ。

どうして。
この者が一体何をしたというのだ。
何故この者がこのような仕打ちを受けなければならない。



……依頼は、少し待ってもらおう。
せめて、エヌが回復するまで。

……神よ、どうか。
この者に、清き道をお示しくだされ。

 

- がじろー様作『花を巡りて…』



―― 著者『オクエット』

――――――――――――――――――――

 

7.春野りこ様作『ネムリヒメ』


ファディが崖から落ちて目を覚まさなくなった。
一か月、ロクに依頼を受けず仲間に任せてしまうことになった。
……2人が帰ってこない。
また、失うかもしれない。
植物駆除の依頼は、ただただ運がよかっただけだった。

もう、これ以上失いたくない。
何度も何度も話しかけて、道に咲いていた花を飾って。
……やっぱりまだ、植物は苦手意識がある。
けれど、あんまりにもその花が、仲良く咲いているように見えて。
俺達も、また共に咲きたいと思ったから。


……母さんから何度も聞いた、御伽噺。
目を覚まさなくなったお姫様のお話。

ダメ元で試したのだけど。


なあ、ファディ。
何で……あの時、あんな顔をしたんだ?



その理由は分からなかったけれど。
俺達のお話は、無事めでたしめでたしになった。

―― 著者『エナン』

 

 

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→まとめ8~14

運命の天啓亭(通称幸薄宿) ―― キャラ設定

※キャラデザ、イラストはルルクスさんによる有償依頼です。デザインコンセプトの言葉と共に掲載許可はいただいています、感謝!!無断転載は禁止だぞ!!

 

全体のモチーフ:タロットカードの大アルカナ
運命の天啓亭の由来:なんかタロットっぽくない?あとダイスで決める辺り運だから

 

 

 

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Ⅰ.エナン
男/若者/勇将
年齢:19
身長:173cm
一人称:俺
二人称:お前
技能傾向:片手剣
名前の由来:ギリシャ語の1「エナ」+英語「ワン」
モチーフ:魔術師


性格:
典型的とでも言うべきお人よしリーダー。損得よりも誰かが困ってたら動いちゃうタイプ。頭がそこまでよくないが、無鉄砲というわけではない。
大変鈍感。恋愛関係わからんちんなやつ。そのせいでファディが可哀想なことになってる。
ファティールとは仲はいいんだけどソリが合わずよく言い合いになる。ずっと喧嘩してるというよりかは部分部分で発火してばちばちする。
過去に村にゴブリンが出たときに冒険者が解決し、彼らに憧れて将来は冒険者になるんだ!皆のためになるんだ!と冒険者の道を志す。親には止められたけど、何言っても聞かなかったのであきらめた。

 

関係性:
ティオール ―― 犬猿関係
ファディ ―― 片想われ

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ル「魔術師、「新しいスタートに対する前向きな意思」みたいな感じなとこあり、どうみても主人公なのでわんころさんが好きそうな正統派な活発主人公っぽめにしました。あの人前髪ぱっくりインテーク大好きなので。」

 

 

 

 

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Ⅱ.ティオール
女/大人/策士
年齢:28
身長:178cm
一人称:私
二人称:あなた
技能傾向:水と氷と光属性の魔法
名前の由来:ギリシャ語の2「ズィオ」+英語「トゥー」
モチーフ:女教皇


性格:
典型的とでも言うべき苦労人参謀。冷静沈着でドライな方、なのについあれこれ考えすぎてぐるぐるしちゃって余計なことに首を突っ込んじゃうタイプ。人生損してる。リーダーが無茶な依頼に手を出そうとしたら全力でマテをさせる。そしてくそでか溜息をついた0.3秒後には喧嘩に発展する。
思ってる以上に頭が悪い。頭が悪いというか、残念。
自分は辛党で、恋人のエクシスは甘党なので食べるものが全然かみ合わない。エクシスは気にしてないけどティオールは割と気にしてる。
あだ名が『取っ手が取れそうな名前』。この世界にもあるのかもしれない。
元々賢者の塔に所属していたが、とある魔法の研究に使用した触媒が盗品であったため追放。研究成果がかなり益になるものだったため、追放だけで済んだらしい。
その盗品とはエクシスが持ってきたもの。本人も察した上で使ったし、追放にならなくても賢者の塔を去って冒険者になる予定だったと語っている。

 

関係性:
エナン ―― 犬猿関係
エクシス ―― 両想い(受け)

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ル「女教皇。知性や二元性のバランスとの事なので、無難に参謀や魔術師できそうなツラ。わんころ性癖意識より解釈優先で手癖寄りに描いたのになんか刺さってたからよかったなと思いました。」

 

 

 

 

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Ⅲ.トゥリア
女/子供/知将
年齢:10歳
身長:138cm
一人称:わたし
二人称:あなた
技能傾向:風と光と星の属性中心
名前の由来:ギリシャ語の3「トゥリア」
モチーフ:女帝


性格:
気弱で引っ込み思案。臆病。基本的に双子の弟のテセラの後ろに引っ込んでる。あまり顔を見せたがらないが、何か見られて困るというものはなく、単純に恥ずかしいから。
元々大人しかったが、親に捨てられてから気弱さに拍車がかかった。自分が両親の期待に応えられる子だったら、と自分を責めることも多く、しっかりしなきゃと思う反面ダメな子でごめんなさい、とすぐふえぇってなる。
本人たちは知らないが、「生まれる子が魔力を持った身体になる実験」を経て生まれた子供。双子だったため本来の魔力量が2人に分散され、結果的に捨てられることになった。
人間ではあるが、身体が魔力に依存する作りになっているため、魔力が切れると強い疲労感に襲われる。まだ魔力の使い方も上手くない。

 

関係性:
テセラ ―― 姉弟(姉)

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ル「女帝。愛情、包容力、繁栄。なるほど〜なんか植物系魔法のドルイドって感じがいいかなぁ〜って考え。おっとり系の顔とフードが好きだろうなと思ってああなりました。」

 

 

 

 

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Ⅳ.テセラ
男/子供/豪傑
年齢:10歳
身長:134cm
一人称:おれ
二人称:きみ
技能傾向:体術
名前の由来:ギリシャ語の4「テッセラ」
モチーフ:皇帝


性格:
口が悪いが口が悪いだけで、しっかり者のできる弟。それが故になんだかパーティのツッコミ担当になってる気がするが気のせい。
姉の分までしっかりしなきゃ、と頑張る健気弟。大事な姉なんだ、だからおれはずっと一緒がいいんだ、とか笑顔で言えちゃうタイプ。
こちらは魔法が得意ではないが、肉体が魔力を帯びて活性化し人一倍力が強い。こちらも魔力に依存する身体になっているため、魔力が切れると強い疲労感に襲われる。
姉が親に捨てられたことで自分を傷つけてることを知ってるし、深く傷つけられたことも知ってるので、少しでも自分が傷を埋められるように、と寄り添おうとしている。今の性格も、姉に気遣いさせず、心強く思ってもらえるための強がりなのかもしれない。


関係性:
トゥリア ―― 姉弟(弟)

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ル「皇帝。理性的で勇敢、自分の直感を信じて突き進むパワフルさ。なんかわんころさんが好きそうな文字列だな…………。いまいちイメージが固まらなかったから逆位置からも拾って、横暴、勝手、無責任……なるほど、ショタだな!!ってショタにした。あのひと髪くくるの好きなので髪結んどいた」

 

 

 

 

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Ⅴ.ファディ
女/若者/標準
年齢:18歳
身長:163cm
一人称:私
二人称:あなた
技能傾向:神聖魔法
名前の由来:ギリシャ語の5「ペンデ」+英語「ファイヴ」
モチーフ:法王


性格:
心穏やかで優しい。人が良く、困ってる人がいるのであれば可能な限り助けてあげたい。でも博愛ではなく、全てを助けることができないということも理解している。
生まれてすぐに教会の孤児院に預けられ、神父の手伝いができるようにと神の教えを学ぶ。大きくなっても孤児院から出ず、ここでお手伝いしますと神官を務めながら孤児院で子どもたちの面倒を見ていた。トゥリアやテセラも同じ孤児院所属。2人にとってはお姉さん的存在。
本人は自覚がないし別に食べなくても問題ないけど大食い。たくさん食べる。出たら出るだけ食べる。たくさん出ると嬉しい。でも孤児院育ちで分けてあげることが多い。
街に買い出しに行った際、チンピラに絡まれてるところをエナンに助けてもらい、これから冒険者になると言ってたし何か力になれないかなぁ、でも孤児院があるからなあ、と悩んでいたところ、行っておいでと神父さんに背を押されて冒険者に。トゥリアとテセラもついてきた。
両親のことは恨んでいない。というかいない同然なので分からない。孤児院の皆が家族だし……


関係性:
エナン ―― 片想い

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ル「法皇(教皇)。社会性、道徳的、秩序。優しそうで穏やかそうな物腰柔らかな大人描くならここだよな!!!
真ん中分け前髪と一つくくりを肩で前に出すのと色素の薄い髪、好きだろ?って描きました。あとは司祭系キャラが居なかったのでこちらに積んだ。」

 

 

 

 

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Ⅵ.エクシス
女/若者/万能
年齢:22歳
身長:172cm
一人称:あたし
二人称:あんた
技能傾向:武器問わず、『猫』モチーフの技能
ギリシャ語の6「エクスィ」+英語「シックス」
モチーフ:恋人


性格:
明るく自由奔放。楽観的でなんとかなるでしょー、というノリで生きてる。しかし捨てられ、浮浪者として生きてきたからか、心の奥底では強い残忍性を持っている。人を信頼しているようで誰も信頼していない、へらへら飄々としていてつかみどころがない、けれど本当に心を開いた人には別、といった猫のような人。とてもお酒に強い。
自分が可愛いことを自覚しており、男を引っ掛けてご飯食べさせてもらって必要なら盗んで、という暮らしをしていた。ごはんに誘い奢ってもらい、連れ込まれそうになったら逃げる。あっちもいい思いしたんだし問題ないよねー、とへらり。
そんな暮らしをしてたところ、えっ男に連れ込まれてない?大丈夫?うわ大丈夫だった返り討ちにしてるし、と、通りすがりのティオールに一部始終を盗み見され、そこから時々ご飯を奢ってもらう関係に。そのまま部屋を貸したり好きな時に使っていいから、なんて言ってたら気が付いたら恋仲になってた。
ティオールは初めて自分のことを気にかけてくれた人で、恋人以上に特別視している……が、その辺はティオールといるときにしか出ない。


関係性:
ティオール ―― 両想い(攻め)

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ル「恋人。デザインいっぱい悩みました。ひとりで恋人モチーフるのムズいって。調和、協調性、チャンス。なんかある種の野心的なものや狡猾性をふんわり感じたので、そんな感じを考えながら描きました。あとわんころさんは八重歯が好き。」

 

 

 

 

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Ⅶ.セヴェンタ
女/大人/豪傑
年齢:26歳
身長:185cm
一人称:私
二人称:お前
技能傾向:槍
名前:ギリシャ語の7「エプタ」+英語「セブン」
モチーフ:戦車


性格:
クールで口数が少ないかっこいい戦士。というのは外見印象。
時に天然ボケをぶちかまし、時によく分からない行動をやってのけるマイペース自由人。本人は大変真面目に行動しているつもり。
戦闘中はスイッチが入り敵陣へと果敢に切り込んでゆく。かっこいい。戦闘中はまとも。楽しそう。生き生きしてる。
ご飯もたくさん食べる。いっぱい食べる。めちゃくちゃ食べる。おなかがすくと悲しくなる。
街で騎士を務めて名を上げていたけど、だんだん退屈になってきちゃって弟を連れてリューンに来た。街に名を馳せるだけじゃつまらん、もっと名を広めるぞ、そして強者と戦うぞくくく弟よ、って感じで。弟は姉と街で強いタッグだって知られてたらよかったんだけど見事連れていかれました。
弟のことはとても大事。共に隣に立って、共に同じ道を志してくれる(と思ってる)よきパートナーだと思っている。


関係性:
ヴェレンノ ―― 姉弟(姉)

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ル「戦車。実行力、強い意志、勝利、負けず嫌い。なんだこの蛮族カード?わんころさんが好きそう。
無難にポニテで強そうな女描くか〜〜〜!ってポニテで強そうな女を描きました。眼帯つけたら似合った。」

 

 

 

 

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Ⅷ.オクエット
女/子供/勇将
年齢:8歳
身長:121cm
一人称:余
二人称:汝
技能傾向:ビーストテイマー、片手剣
名前:ギリシャ語の8「オクト」+英語「エイト」
モチーフ:力


性格:
尊大ロリ。くそつよ意志の系譜。自分に絶対の自信を持ち、仲間にも絶対の自信を持つ。上に立つ者として、自分の弱音や泣き言を決して許さず、仲間のそれは大らかに受け止める。
小さな村の領主の娘。領主だが貧しい村であった上、民のことを第一に考えるいい領主だったため、他の領主と比べると質素な暮らし。女であったが次の領主を務めるため、そして自身もそのようになると自覚があったため常に上に立つ者としての意識がある。
エヌが狼憑きにより後天性の人狼となり、村で力を暴走させていたところ自身のビーストテイマーの力を使ってそれを止める。彼によって大事な村の者らと両親を殺されることになったが、苦しんだのは彼の方だからと、むしろ思い詰めて村を出ていく彼についていくまでした。なお、村が壊滅状態になったのでちゃんと別の村に統合してもらえるように頑張ったりもした。できるロリ。
彼女のビーストテイマーの力は魔力によるものではなく、言霊と彼女の持つ威厳によるもの。獣、および獣の『概念』を持つ者に強く作用する。


関係性:
エヌ ―― 主従(主人)

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ル「力。強い意志、理性と自制、勇気、実行力。
力と文字列を見て「まあ強そうな男じゃないか……?」と思ったけどカード眺めてたら柔らかめな女性が獅子を手懐けてる絵柄なんだよなということで、力を〝制御する〟のがこのカードなんだなと思ったので、なにかを使役する感じのロリ〜って思ってロリ」


 

 

 

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Ⅸ.エヌ
男/大人/策士
年齢:29歳
身長:186cm
一人称:僕
二人称:君
技能傾向:人狼技能、闇と無属性の魔法
名前:ギリシャ語の9「エニャ」
モチーフ:隠者


性格:
無口でぼそぼそ喋る。人と関わろうとはせず、常に一線置いた距離感になろうとする。が、オクエットはぐいぐい来る。許さん馴染めと言わんばかりにぐいぐい来る。頼むから静かに本を読ませてくれ。
悲観的で物事を悪い方向にしか考えられない。自嘲的で根暗。下戸。
元々人付き合いが苦手なだけだったが、狼憑きのせいで人狼となり、自虐的になってしまった。人間を襲いたくないし食べたくもないし美味しそうにも見たくなくて距離を置く。人狼の力は使いこなせてはおらず、変身すると身に余る力で暴走してしまう。オクエットのビーストテイマーの力を借りればコントロールすることが可能。
元々住んでいた村で人狼化してしまい、多くの人間を殺してしまった。止めてくれたオクエットを含めて強く罪悪感を抱き、とても村にはいられないと去っていった。彼女に黙って去るつもりだったが、汝の考えなどお見通しよとついてきた。
共に居る限りは彼女の力になろう、せめてこれ以上何も失わないように、と考えるが、それ以上にいつかこの人狼の力で彼女を殺してしまうのではないかと怯えている。


関係性:
オクエット ―― 主従(従者)

f:id:sechia:20220327193049p:plainル「隠者。探究、高い精神性、思慮深さ。
実はここらへんでキャラデザ思いつかなくなって来て、そろそろわんころさんのヘキ刺せなそうだな〜って思いながら無難に参謀あたり〜って気持ちで配信で見せながらデザインこねてたらなんか刺さってた。黒髪青眼好きでしょ。」

 

 

 

 

Ⅹ.ティカ
女/若者/万能
年齢:21
身長:165cm
一人称:私
二人称:あなた
技能傾向:短剣やナイフ
名前の由来:ギリシャ語の10「デカ」+英語「テン」
モチーフ:運命の輪


性格:
のほほんとしてて優しそうなシスター……というのは見た目だけ。実態はフリーの暗殺者。教会に勤めており、懺悔の中で仕事になりそう、あるいは助けを求められた際に手を伸ばす。「うふふ~、憎い人が居るんですねぇ。では~、殺してしまいましょうか~。え?殺生は神様の禁忌に触れる?私は別に神様なぁんてどうでもいいので~……それよりも~、目の前にいる人間に、助けてもらいたくありません……?」って、にっこりと依頼を受ける。
殺人が趣味であるため、報酬が安くても引き受ける。でも気に入らない依頼の場合は断るし依頼主を殺す場合もある。
決して自分が何者か、どういった者なのかを語らない。盗賊ギルドでも暗殺者やってるシスターとしか分かっていない。ただ分かっていることは、彼女にとって命の価値が等しく平等であり、性別や年齢によってもそれは揺るがず、死すべきときは死すものであり、生きるべきときは生きるものだと説いている。

 
関係性:
親友 ―― テラート

ル「運命の輪。
聖職者にするしかなくない?ない。
三つ編みおさげのおっとり顔の女の子好きそうだなって思ったからそんな感じにしました。」

 

 

 

 

ⅩⅠ.ヴェレンノ
男/若者/勇将
年齢:23
身長:176cm
一人称:俺
二人称:あんた
技能傾向:斧
名前の由来:ギリシャ語の接頭語つく1「モノ」+英語11「イレヴェン」
モチーフ:正義


性格:
常識人。姉の突拍子もない行いに振り回される人。冒険者もなるつもりなかったのに姉のせいでなっちゃった。真面目で何でも真剣に向き合ういいひと。人のこともちゃんと見れるため、リーダーの素質がある。そうして皆が面白がって玩具にし始めるんだ。
姉の戦う姿が好きで、自分も姉と共に戦えたら、とずっと思っている。同時に姉にはどうしても力で勝てず、劣等感を抱いている。妬みはない。
ルジェとは完全に酒飲み関係。常識人同士よく愚痴を言い合っている。
街では結構有名な騎士だった。あの2人が前線に立てばまるで嵐のように敵がなぎ倒されていくと。実はかなりが姉の戦果だが、2人共に立つためかヴェレンノも共に評価されていた。本人としては自分には見合っていない、過大評価だと納得できていなかったようだ。

 
関係性:
セヴェンタ ―― 姉弟(弟)

ル「正義。均衡、正当性、公平さ。
そろそろ男キャラにしないとなー何が刺さるかなーと悩み、わんころさんって言ったら姉弟恋愛だよなぁと思って戦車(力)と正義か……と思いながら7とシンパシーありそうな見た目に。あとわんころさん片目隠れ好きなのでそうしました。服装とか姉に寄せた感をイメージ」


 

 

 

ⅩⅡ.ルジェ
女/若者/万能
年齢:20
身長:171cm
一人称:あたし
二人称:あんた
技能傾向:盗賊技能全般
名前の由来:ギリシャ語の2「ジ」+英語12「トゥエルヴ」
モチーフ:吊るされた男


性格:
常識人その2。びっくりするくらい感性が一般人のトレジャーハンター。しかしいかんせん善性の心が捨てられず、いまいち成果が上げられずにいる。やっていけないから冒険者になるかーと、運命の天啓亭でアルカーヌムに仲間入りしたけど、ここの人達皆キャラが濃くて馴染める気がしないと胃をキリキリさせている。同じ苦労人のヴェレンノとは酒飲み仲間。
ティカに対して劣等感を抱いている。努力してきたはずなのに、彼女に何一つ技術が追い付かない。対するティカはこの人可愛いなーって見ている。
親が盗賊なので、自分も盗賊になるように育てられた。けれど善性が捨てられずにいてなんだか中途半端な技術になってしまった。
トレジャーハンターならまだ人に迷惑がかからないかな、と思ったけれど、遺跡に一人で入るのちょっとなあ……そもそも遺跡のもの勝手に持っていくのもなあ……と、やっぱり乗り気にはなれず。もう冒険者で盗賊代理として雇ってくれーーー!!みたいな駆け込み寺としてやってきた。そしたら皆キャラが濃かった。助けてくれ。

 
関係性:
なし

ル「吊るされた男。試練、奉仕、使命感。
多分お人好しめのひとになるよなぁ、と思ってお人好しそうな顔面にしました。思えばわんころさんの確定で好きな青髪を全然やってなかったのでそれをやり、あと前髪7:3好きって見たのでそうして、わりとロゼちゃんを踏襲しつつデザイン。好きそ〜」

 

 

 

 

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ⅩⅢ.トリサ
女/若者/知将
年齢:16
身長:141cm
一人称:私
二人称:あんた
技能傾向:知力属性鎌
名前の由来:ギリシャ語の3「トリ」+英語13「サーティーン」
モチーフ:死神


性格:
表情の変化が乏しく、冷酷で残忍な、まさに死神のような人。
……を、目指しているだけであり、その実態はドジでおっちょこちょいで、失敗したらすぐ涙目になりつつ泣いてないもんと強がりを言うまだ幼さが残る女の子。
教会裏社会4人集の1人。この中では一番人の心が人の心してるかもしれないが、誰かを殺すことには躊躇はない。でもお化けは怖い。死神なのに。
リューンから3日ほどの街の出身。親に虐待を受け、何とか逃げ出し路上に迷い、衰弱して死にそうなときにテラートに拾われた。命の恩人であり、彼女らの方針をある程度飲み込み同じ道を歩むことにする。
やり方に賛同しているというよりかは、死に際に助けられた上、初めて受けた優しさだったためテラートに何があってもついて行こう、この人になら自分を捧げても構わないという崇拝意識から。それが転じて恋愛感情になっている。やばそうに聞こえるけど、本人がピュアなので問題なさそう。


 関係性:
テラート ―― 片思い

ル「死神。
デザイン悩んだけど、ゆ〜たくんさんに投げた4番目のひとがわんころさんにも刺さってたしフードキャラもう1人ぐらいほしいよなと思って無難に死神という文字列からの連想でキャラデザイン。クール系なのがポンコツなの好きでしょ

 

 

 

 

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ⅩⅣ.テラート
女/若者/知将
年齢:19
身長:157cm
一人称:私
二人称:あなた
技能傾向:神聖技能
名前の由来:ギリシャ語の4「テトラ」+英語14「フォーティーン」
モチーフ:節制

性格:
ふんわりおしとやかな、修道服を着ていないシスター。改まらない方が教会に皆来やすいと思うの、ということで村娘のような服装でいる。トリサらのいる教会で暮らしている。
更に遠い街のいいところのお嬢様……だったけど、教会に置き去りにされた。お母様とお父様はいつ帰ってくるのかしら、とずっと待っていたけれど帰ってくることはなかった。教会の人は捨てられた子だと分かっているんだけど、本人は分かっていないから伝えづらい。
ある日本人は気が付いた。「そう!ここで迷える者たちに、私の描く世界を説けばいいのだわ!」と。どうしてこうなった。全くめげずに逞しく成長し、今に至る。
教会裏社会4人集の1人であり実質ドン。ティカも含め、教会裏社会は彼女の手によって集められたと囁かれているが真偽は不明。
『あらゆる命の価値は平等』だと信じており、老若男女問わず命の重さを平等に見る。故に死すべきものであれば死に、生きるべきものは生きる。その価値を作るのは、人間の感情であると説いている。
けどあくまで教会裏社会の話なので、普段は教会でふわふわお姉さんとして存在している。

 
関係性:
トリサ ―― 片思われ
ティカ ―― 親友

ル「節制。調和、柔軟、平和的解決、仲介。
12人描き上げた時に「敬語真面目健気をイメージした子くるかと思ったけどこなかった。」って言われたのでそのつもりで描いたけど普通にふわふわな子の顔になりましたね。でも好きでしょ」


 

 

 

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ⅩⅤ.ペテン
男/大人/勇将
年齢:28
身長:195cm
一人称:俺
二人称:あんた
技能傾向:メイスorハンマー
名前の由来:ギリシャ語の5「ペンタ」+英語15「フィフティーン」
モチーフ:悪魔


性格:
気さくでいい人。性格も明るく真面目で人の愚痴とか相談とか親身に聞いてくれる人。しかし顔が怖いせいで人生損している。
子供が好きなのに子供には十中八九泣かれる。トゥリアには絶対泣かれる。テセラでも突然顔見るとびっくりするレベル。オクエットは肩ポンポンしてくれる。ついでにトリサも泣く。
趣味は道案内と人助け。人の役にたったら嬉しいので。でも優しくしようとすると大抵怖がられる。悲しいなあ。
幸薄連中の中で珍しく別に暗い過去がない。もし冒険者として名が知られたらもうちょっと生きやすくなるんじゃないか?という発想から冒険者志願した。

 

やべえこいつ書くことねぇ。


 
関係性:
なし

ル「悪魔。 こいつの外見はわんころさんの性癖では無いけど「外見が凶悪だから敬遠されるけど実は優しい」とか好きだろうなと思ってそういうのにした。顔面を凶悪にする口実がつけやすかったから悪魔にしたけどカードの意味はあまり拾えてない。

 

 

 

 

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ⅩⅥ.ヘキサス
女/若者/策士
年齢:23
身長:174cm
一人称:俺
二人称:てめぇ
技能傾向:闇、雷、死霊術系の魔法技能
名前の由来:ギリシャ語の6「ヘキサ」+英語16「シックスティーン」
モチーフ:塔


性格:
カス。人の不幸を指さしてぎゃはは!!と笑う。人の不幸で飯が美味いし人を不幸にするのも美味い。人の命乞い大好き。人の悲鳴大好き。人の罵倒大好き。とんでもねぇやつだな。
教会裏社会4人集の1人。一番の新人。2年ほど前に来た。
昔はまだいい子だった。不気味な笑い方で、周囲からはドン引きされ、距離を置かれたしロクな扱いをされなかった。結果、恵まれた人が妬ましく、人の不幸を望むようになった……が、当初は自分が人の不幸を笑ってしまうことを嫌悪しており、正しく生きなきゃと更に自分を追いつめていた。
教会に懺悔に来たところ、テラートの目に入る。「あなたは人を罰したいと、罰されて然るべき者を見る目がある。それって凄いことじゃない。あなたの力を貸してほしいの。……え?顔?とっても素敵な女性だと思うわ!」なんて言われてしまったので堕ちた。
裏社会に属していながらどこまでも美しく綺麗なティカが気に入らなくてついついかみつく。テラート「仲良しねー」 トリサ「本気で言ってるのか……?」
今は人の不幸を願うことをなんとも思っていないし開き直っている。ただし、テラートには頭が上がらないし、この人は不幸になってほしくねぇなぁって思ってる。多分ツンデレ


関係性:
犬猿 ―― ティカ

ル「塔。災害、転機、混乱。 クッソ難産だったキャラデザ。もうわんころさんの性癖のキャラデザするの諦めようかとふわふわと描いてたらなんか刺さった。なるほど、目つき悪い属性そういえばいたな。悪の方の聖職者だなと思ったので10の子と憎まれ口叩きあって欲しい〜って気持ちになってる

 

 

 

 

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ⅩⅦ.セタ
女/若者/万能
年齢:16
身長:145cm
一人称:あたし
二人称:あなた
技能傾向:舞踏
名前の由来:ギリシャ語の7「ヘプタ」+英語17「セブンティーン」
モチーフ:星


性格:
明るく天真爛漫なおてんば娘。後先を基本考えず、今を生きることに全力。楽しいことしかしない。楽しくないことはしない。ちょっと黒い一面もある。
路上に捨てられた孤児。ノクターンとは孤児時代からずっと力を合わせて共に生きてきた。お互いかけがえのない親友であるが、セタから向いたノクターンの好意の感情がめちゃくちゃでかい。ノクターン大好き人間。どう見ても行き過ぎている。でもそれをノクターンは真っ向から受け止めている。強い。
生きていくためにお金を稼ぐにも、売るものもないしどうしよう、じゃあ特に道具を必要としないし互いに綺麗な顔してるんだから踊って歌って食ってこう!ということで踊り子になった。身なりはどうしても汚らしかったが、技術と顔で食いつなぐことはできたらしい。
ある日イナンナに見つけられノクターンと共に気に入られ、連れ帰られ厄介になる。「どうかこのままうちでその踊りと歌を披露してくれないか」と頼まれ、一回は承諾するも3日で飽きた。安定した暮らしはつまらないからやっぱり出ていく、と申しでる。諦めきれなかったイナンナは、じゃあ私も行こう、とついてきた。
ノクターンはイナンナのことが気に入っているが、セタとしてはノクターンが大好きなのでついてこないでほしかった。


関係性:
ノクターン ―― 親友

ル「星。希望、可能性、才能。
キラキラした意味だし元気めのキャラにしたいし、その後の月と太陽にも関係性つけたいよな〜と思って芸術方面、踊り子のつもりで描きました。あとわんころさんの性癖額飾りを回収したかった。ひらひらした布持ってひらひら〜ってする感じの踊り子。」

 

 

 

 

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ⅩⅧ.ノクターン
女/若者/標準
年齢:19
身長:162cm
一人称:私
二人称:あなた
技能傾向:呪歌
名前の由来:ギリシャ語の8「オクタ」+英語18「エイティーン」
モチーフ:月


性格:
穏やかでおとなしい、おっとりおだやかさん。考え方や精神性は案外楽観的で、苦難を苦難とはあまり思わないタイプ。まあ生きていれば色々あるわよね、くらいで済ませちゃう。だからセタにくそ重感情を向けられても潰れることなく受け止めれてるところある。
過去事情はセタのところ参考。イナンナのことはセタと違い友好的に見ている。恩人という考えは実はそこまでないため、対等の友人の感覚が大きい。
セタの踊るための音楽を歌ってきた。魔力を用いた呪歌を歌うこともでき、人の精神を揺さぶる歌も、魔法的な現象を引き起こす歌も歌える。魔力は外部魔力に依存していて、額の魔法石を利用している。


関係性:
セタ ―― 親友

ル「月。不安、用心、秘密。
星の子と幼なじみとか親友とかそういう感じのイメージで描いてた、多分音楽系の子。容姿は全然違うけど要所要所に同じようなアクセサリーだったり髪型だったりにして仲良し感を出してます。おそろい額飾りにおそろいハーフアップ〜」

 

 

 

 

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ⅩⅨ.イナンナ
女/大人/万能
年齢:27
身長:172cm
一人称:僕
二人称:君
技能傾向:楽器(メインは竪琴)
名前の由来:ギリシャ語の9「ノナ」+英語19「ナインティーン」
モチーフ:太陽


性格:
真面目な女たらし。どういうことかって?真面目な女たらしなんだよ。
仕事には誠実だけど、気に入った人ができると一線を越えない範疇でたぶらかしちゃう。路上で歌と踊りを披露していたセタとノクターンの二人が本気で好きになっちゃって、お家に連れて帰る。永住してずっとその歌と踊りを披露してほしいと頼んで、一回は承諾されたけど3日後にやっぱりお断りしますと出て行かれる。諦めきれず、君たちについていくと貴族のお家を抜け出して結局三人皆で冒険者になるまでした。行動力の塊。
貴族の生まれで幼いときから楽器を演奏していた。そのため演奏スキルはかなりのもの。特に竪琴の演奏が得意。
セタとノクターン、どっちが好きとかじゃなくてどっちも好きで、2人セットじゃなければ意味がない。恋愛的見解だったら間違いなく二股。


関係性:
(クーポン的には)なし

ル「太陽。幸福、成果、解決。
ショタにしようかと思ってたしなんならそれで描いたけどわんころさんに刺さるショタが思いつかなくて違うのにした。20を描いてる時に「これ審判より太陽だな……」って思って横にスライドさせてもらいました。わんころ性癖リサーチしてたらこの髪型がヒットしたのでそう」

 

 

 

 

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ⅩⅩ.コンティトゥ
男/若者/豪傑
年齢:23
身長:192cm
一人称:僕
二人称:お前
技能傾向:刀
名前の由来:ギリシャ語の20「イーコシ」+英語20「トゥウェンティ」
モチーフ:審判


性格:
表情の起伏が少なく、傲慢で生意気な態度を取る。人を小馬鹿にするし嘲笑ったりもする。
しかし「なんかいい人オーラ」が出ているのだろう、そして本人も気質としては善人。困っている人がいればついつい助けるし子供には懐かれるし何故か人は寄ってくるしで、等の本人が「なんでだよ!!」と言いながら世話を焼く。
凡そシィーンがべったりしてるせいな気がする。恋仲らしいが本人からの反応は大変ドライ。べたべたされても軽くあしらう。が、大切な人には変わりないので、危機に陥れば何が何でも助ける。……なんかこっちが助けられてること多い気もする。
東方からやってきた人が築いた、山奥でひっそりと暮らしている民族の1人。なのでどことなく衣装が東の文化を彷彿とさせる。
幼少期に崖から落ちて大けがし、村に帰れず死ぬしかないか、と思っていたところ、神であるシィーンに助けられる。たまたま壊れた祠の近くに落ちたそうで、力が届いたのだそう。ご本人は異界の神様で、その神様はこの世界の監視のために多数の監視点を作っている。決まった形はないとのこと。
副作用として微かに神性が生まれ、神族が分かるようになったり、卓越した腕力を取得した。また、助けられたことに恩義を感じて祠を直し、一人一途に信仰し続けた。
最終的にはこちらの世界にやってきたシィーンと共に村を出て、旅をすることとなった。


関係性:
シィーン ―― 両想い

ル「審判。変革、才能。
実は1番難産したのここ。5回ぐらい描き直し、そのうちの1つを月に、そのうちの1つを愚者にした。本当に思いつかなくてわんころさんに直接「何欲しい?」って訊いたら「刀系」と言われ「洋っぽい和」とのことなのでそのように。何か知らんがめちゃくちゃ刺さった」

 

 

 

 

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ⅩⅩⅠ.シィーン
女/若者/豪傑
年齢:-(見た目25くらい)
身長:173cm
一人称:あたし
二人称:あなた
技能傾向:拳
名前の由来:ギリシャ語の21「イーコシ エナ」
モチーフ:世界


性格:
ふわふわして大人しいかと思わせておいて、言動がかなり蛮。あ、大人しそうな子だな、と近寄ると、思っている以上にぐいぐい来るのでびっくりされると本人談。ロマンチストで恋バナ大好き。愛に生きる。意志レベルは低め。
実態はなんと、世界郡を管理する神様たちの、一番低い位にいる神様。世界を監視し、何かあったら上に報告する。世界の干渉権は持たされていないが、監視点近くであれば干渉可能である(干渉は禁忌なのでやっちゃだめ。でもやったとしても大ごとにならなければバレない)。人がいいわけではなく、「助けれる力があるんだったら助けない?川のほとりでぴちぴちしてる魚がいたら、そのまま川に投げるでしょ?」と、不思議そうに語る。
本人としてはそれで終わるつもりだったのに、めちゃくちゃ感謝されてずっと祠に来ちゃうから興味が沸いちゃった。と同時に、ただ監視だけする仕事は退屈だった上寂しさもあったため、我慢できずにこっちにやってきた。
ただし、様々な制約があるため本来の力はほぼ出せず、渡った世界で死ぬと存在を『作り変えられる』ので、本人は本人なりに慎重になってる。


関係性:
コンティトゥ ―― 両想

ル「世界。
これはどちらかというと意味より単語のイメージから。あとわんころさんふわふわおっとり系のキャラが物理に訴えかけてくるの好きだからそういう感じに。本当はポニテにしようかと思ったけど普通に殴りかかりそうな蛮族に見えたし普通に下ろすと殴りかかるのに邪魔そうなのでくくった」

 

 

 

 

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0.ミデン
男/子供/勇将
年齢:12
身長:145cm
一人称:俺
二人称:あんた
技能傾向:剣
名前の由来:ギリシャ語の0「ミデン」
モチーフ:愚者


性格:
明るく陽気で自由奔放なお人よし。あんまり頭はおよろしくなさそう。目の前に困ってる人が居たら見返りなしに助けちゃうタイプ。そして、恐ろしく鈍感!
子供にしては剣の扱いが上手。身のこなしもよく、なんとなく戦い慣れてる、といった印象を受ける。
ある日突然宿に現れた子供。本当はまだ生まれてないんだー、と笑っているが真偽は不明。なんか勝手にアルカーナムに入ってきた。
死んでも元の時間軸に戻るだけなので、この中では唯一死んでも死なない人。本人も遊びに来たって感じだしね。


関係性:

ル「愚者。冒険心、好奇心、可能性。
審判の副産物で出来たけど悪くないと思います。
けも耳っぽい跳ね髪、好きかもな〜とおもってそのように。相対的にこどもが減ってきたのでこどもにしました。意味的にもこどものが似合うしね。カラーリングが誰かに似てますね、誰でしょうね」

運命の天啓亭(通称幸薄宿) ―― レギュレーション等

ある人が言いました。

 

「冒険の途中に理不尽に襲われて全滅してほしさがある。ゴブリン退治だと思ってたらかがちさんの六風に不運にも遭遇しちゃうとかさ。だって貼紙から対象レベルとか注意わかるのってプレイヤーだし、これって神の視点じゃないですか?だから普通はわからんよなって。でもでも死んでほしいけど死んでほしくないんだ~~~

 

じゃあ徹底的にメタを排除するため依頼をダイスで決めてロードなしでやってやろうじゃないかと、自分の首を絞めることに定評のあるわんころがこの上なく首を絞めるプレイを思いついたようです。

 

というわけで、『がっちがちに設定を固め、愛着の沸いたPCたちがもしかしたら理不尽に死ぬかもしれない』カードワースをやることにしました。
もうこんな風にレギュをまとめたりキャラ設定をまとめたりしようとしている時点でアホだと思ってるし、私は自PCに超愛着が沸くタイプなので、死んだら多分一週間くらい引きずるし寝込んだりするんちゃうかな…………

やる前から怖いやりたくない嫌だと言ってます。さあ、彼らの命運はどっちだ!!

嫌だ!!殺したくない死んでほしくない!!やめろ!!バカ!!!!
(因みに、依頼が「冒険者の厳しさを教える」ため、ダイス表の依頼が大体ほの暗かったり巻き込まれたりする系です。幸薄宿はほぼ高確率で死が見えてる以外にもそういった理由から来ています。末尾ぞろ目と2桁ぞろ目は平和な依頼になります)

 

 

 

~レギュレーション~

 

■基本
・ロードなし
・全滅等して、シナリオ内でやり直しが可能でもやり直し不可能(例外あり)
・技能重複なし アイテムは消費アイテムならOK
・『高難易度戦闘に持ち込みがちな技能やアイテム』は禁止(私の場合聖地巡礼の睦月や夜の太陽、ポートリオンのエルフィなど)
・↑ただしシナリオ内で入手できる技能やアイテムはその限りではない
・ダイスの振り直しはなし
・帰還の法やそれに準ずるアイテム・技能・付帯の禁止
・済印が付いた依頼はリストから除外し、予備からシナリオを持ってくる。予備リストから任意で追加してよい
・↑ゾロ目、末尾0の依頼なら平和依頼リストから補充する

 

■一連の流れ
突入キャラを選ぶ→技能や所持金を決める→ダイスを振る→(必要なら人数調整)→依頼終了→任意の街シナ一か所(行かなくてもよい)
上記の一連の順番を変えてはならない(死ぬ依頼を見てから技能置いていくとかできてしまうため)

 

■ダイス表

 

■例外や補足
・1回目の依頼前は必ずリューンに行く(他の店シナリオ禁止)。買い物しないはあり
・依頼「ツケを払え!」の潜入依頼のみやり直しOK
(悲壮感がない以上に、死ぬ描写はないしあれで1人死ぬなら分かるけど皆が死ぬのが不自然すぎる)
・設定上不都合がある依頼を引いた場合(「リナリアの慟哭」や「とろけたはなし」など)、突入前に編成調整を行う。該当キャラがいない場合ダイスを振りなおす
・「穴底の日記帳」「局外者」は人間PCを突入させる
・「葬列の跡」は必ず自PCから犠牲者を出す
・「ネムリヒメ」でPCが起きなかった場合手動で引退させる

リプレイ_24話『答え合わせ』(2/2)

←前

 

「…………、」

 

あまり、驚いた様子はなかった。
むしろ、やはりそうだったのかとどこか諦めたような、けれども嘘だと言ってほしかったと悲しいような、そんな複雑な表情。
自分が海竜だ、それだけならいい。
自分が、北海地方を、多くの人を海に還した存在ならば。

 

「正確に言えば、海竜の『抜け殻』と言った方がいいかしら。」
「……、……え?待ってください、ぬ、抜け殻、ですか!?」

 

おおっとそこは予想外といったリアクション。
どういうことだ?と、アルザスが一番にラドワに問いかけた。

 

「ここは推測が強いけれども、アスティちゃんは海竜だけれども、厳密にはウィズィーラを襲った海竜『そのもの』ではない。最後はウィズィーラの人々が海竜を討った、とあるけれども……そう都合よく、海竜を討伐するだけの魔法がウィズィーラに伝わっていると思う?」
「そ、それは……でも俺は確かにこの目で、ウィズィーラの奴らの生き残りが海竜を討つところを見た!術は、よくわからなかったけど……俺は、魔法が扱えないから……」
「その魔法。ウィズィーラに伝わるものではなく、『第三者によるもの』だとすれば?
「……!?」

 

ウィズィーラの人間もシーエルフも、誰も生き残りはいないとされている。
だって、生き残りどころか。

 

アルザス君。仲間を、『海には流した』?」
「い、いいや、仲間は全員海に還った……死体は残っていなかった、全部海に飲まれていった……と、思う。」
「思う、ということは『死体は残っていなかった』、ということね。」
「…………」

 

ゆっくりと、頷く。
雪は、考えた。そういえばウィズィーラには埋葬の文化はなく、死したものは全て海葬するのだと。墓を立てるという文化も恐らくはない。
……2つ、違和感。1つは誰も『海葬した』とは言っていないこと。更には、誰もウィズィーラの犠牲者を見ていないということ。アルザスは死んだと同時に『いなくなった』と称している。それが、比喩ではないのであれば?
それからもう1つは。

 

「死霊の気配もない。これほどたくさんの犠牲が出たのであれば、ウィスプの気配の1つくらいあってもいいものなのに、ここにはそれがない。なら、きっと答えはこう。
 ―― ウィズィーラの人そのものが、魔力の触媒にされた。魂ごと、ね。
「…………は?」

 

話を飲み込めていない仲間をよそに、ラドワが推論を構わず続ける。
竜災害がそもそも意図的に、人為的に引き起こされたもの。竜は海底遺跡に封印されており、それを解いた者がいる。竜災害を引き起こし、ウィズィーラの人間とシーエルフを使い、大規模な魔術を用いて海竜を討伐した。
アスティは討伐された海竜の『抜け殻』で、海竜の呪いはその『中身』。アスティを肉体、海竜の呪いを精神と考えればわかりやすいか。

 

「あの、ごめんラドワ、あんたのことを疑ってんじゃないんだけど……突拍子もなさすぎて、呑み込めないっていうか……根拠はあるの?」
「えぇ、さっきも言った、街の人の死体がなかった、というのもあるけれども。
 アスティちゃんが、ウィズィーラの記憶や文化を持っている、というところよ。」

 

読み書きの不自由はなく、会話も問題なく行える。それどころか宗教観点はウィズィーラのものが多く、竜だと考えれば共にウィズィーラで過ごさない限りあり得ないことだ。
だが、もし魔術により犠牲になった者らの記憶が海竜にあるとすれば。何らかの原因で、記憶が受け継がれたとしたのならば。

 

「そ、そんなことあるの?」
「そもそもそんな禁術じみた事例が少ないから、死霊術観点による推測にしかならないけれども……ない、とは言い切れないはずよ。
 例えば犠牲になった人々の魂と海竜の魂が混ざった、だとか。海竜が死ぬ際に再生能力を働かせて周囲の人間を実は取り込んでいた、だとか。最も、行使された術がどのような術が分からない以上、可能性としてあり得る、としか話せないわ。」

 

ウィズィーラに伝わる法ではないことは確かだと、ラドワは言う。
北方領土で使われる術であるのならば、セリニィ家には必ず伝わっているはずだと説明する。特に海竜一体を葬る禁術が野放しにされているとは思えない。必ず『そのような術が存在する』とは伝わっているはずだと。

 

「これも予想だけど、そこまで筋道を立てて、ゼクトの話を推測するのなら、封印を解いた者はロマネになるのでしょうね。私とオルカの共通の敵であり、術師であり、アスティちゃんを狙う。最も、ロマネの関係者という可能性もないわけだけだけれどもね。」

 

纏めるとこうなるわ、と淡々と話を纏め、一本の物語へと仕立て上げていく。

 

今から10年前、ウィズィーラの禁止区域には海竜が封印されていた。
その封印を何者か(恐らく、ロマネ)が封印を解除。
ウィズィーラを中心に海竜は暴れ回り、最後はウィズィーラの死者を触媒にし海竜の討伐。
結果、海竜の肉体面はアスティとなり、精神面は竜の力と共に雨となり降り注ぎ、海竜の呪いとなった。

 

「けれど、これでもまだ分からないことは多いわ。
 結局、ロマネは何がしたかったのか。そもそもロマネがやったことなのか。10年の差が開いた理由はなんなのか。」
「ロマネは竜の力を欲した。だから、『海竜の魂を細かく分割する』術を発動させた。そして、重要な部分の力のみを自身が回収し、残りは捨てた。それが、雨となった。
 信仰のあった竜だったからな、神格化していたも同然。神にとって、肉体は捨てられるが精神は捨てられない。幽霊のようなもの、あるいは人形という入れ物に精神が宿った存在。中身が無くなれば、肉体の維持も不可能。
 その中で、イレギュラーが起きた。行使された術や触媒として利用された人間やシーエルフの魂、土着信仰、魔力……それら色んなものが文字通り『海に還り』、新たな海竜を生み出した。よくある話だろう?神が力を使い果たして眠りにつき、やがて信仰から力を取り戻して復活する。あれと仕組みは同じだ。」

 

どこから聞いていたのだろうか。戻ってきていたガゥワィエが、疑問点を補足するように答える。
よくそこまで調べ上げたな、と小さな拍手も添えて。

 

「……そこまで、あなたはアスティちゃんから読み取ったのね。」
「まあ、な。最初から告げてしまえば、お前たちが冒険者をする理由がなくなる。経験を積まなければ、未来はない。そう判断して、真実を見つけるまでは黙っておくつもりだったんだ。」

 

この人狼は人の『物語』を読み取る力を持っている。
例えば、どのような過去があり、どのような人物像であるか。過去視だけではなく、正体を暴露する力も所持している。はっきりいって、破格の力である。
どれだけ正体を偽ろうが、己が知らない記憶だろうが。彼女は全て見抜き、理解してしまうのだ。

 

「……余計なお世話ね。」
「ロゼの言い分も最もだ。しかし、私が黙っていなければ、今頃オルカに嬲り殺されていたかもしれない。それに……お前たちは、すでに一つの物語に組み込まれている。アスティが何者であるか。ウィズィーラで真に何が起きたのかを理解する、これは過程にしか過ぎない。」

 

オルカは本気でアスティを狙っている。そのためであれば手段は選ばない。
そして、共通の敵が存在する。今は水面下にその姿を潜ませているが、いつ姿を現し、牙を剥くか。
そこまでは、まだ綴られていない物語。幻想存在の人狼にも分からない。

 

「…………」

 

癒し手が……海の竜が、窓の外を見てぽつり、言葉を漏らす。

 

「ここには、街があった。
 ……私が、滅ぼした。数多のシーエルフを、人間を、殺して。それだけではなく、呪いという形でも、皆さんを苦しめるきっかけになった。」
「……アスティ、それは、」
「それだけではありません。こうして、オルカの背鰭に皆さんが命を狙われることもなかった。必要のない因縁に巻き込まれることもなかった。……全部、私が居たから、」
「―― !」

 

ダンッ、と音を立てて一つの身が跳ねた。
エメラルドグリーンの髪が揺れたかと思えば、姿が消えた。ドアが開いていると気が付くには数秒有した。
そうだ、ロゼは呪いのせいで無感情になった。呪いを解くためにこうして冒険者になった。恨んでいて当然だろう。

 

「―― ロゼ!」

 

それを一番に追いかけたのはアルザスだった。傷は完治していないというのに、無理やりにでも身体を動かす。
ここで動かなければ、永遠に帰ってこないような、そんな気がして。
……それは。誰が?

 

「……やれやれ。」

 

それを見送ったラドワは、一つあからさまにため息をついた。それから人差し指を口元に当てて、まあ何とかなるでしょうと呟いてから、アスティの方へ向く。

 

「アスティちゃん、いくつか誤解しているようだから言わせてもらうわ。
 私は呪いを自分から手にしたし、むしろ楽しいから勝手に苦しんでいることにしないでちょうだい。」
「……、……は?」

 

うーーーんど安定の屑の言葉ーーーーー
自ら呪いを手にしたことは知っている。この屑は一切隠してないから皆知ってる。困っていないことも知ってる。むしろ楽しそうにしてるよね。分かってる。分かってるけど、間抜けな声が出ちゃった。

 

「私にとってこの呪いはね、家を出るきっかけになってくれた大切なものなのよ。迷惑どころか感謝すらしているわ。だから、全員が不幸だと決めつけないでくれる?不愉快よ。」
「不愉快とまで言いますか!?めちゃくちゃ申し訳なくて心痛いんですよ私!?ここまで容赦のない言葉あります!?」
「え、慰めてほしかったの?おーよしよしーかわいそーにー」
「全く心が籠ってない!慰めや肯定の言葉を求めたわけじゃないですけど!」

 

シリアスな空気?屑がいるのにシリアスになると思う?シリアス担当は出て行っちゃったよ?
部屋に残されたカペラとゲイルは顔を見合わせて……ふ、と笑って、2人もアスティの方を見た。

 

『僕も 困らされた記憶はない むしろこうして皆と冒険者やって楽しいよ』
「あたいも、カペラと同意見だぜ。ま、あたいはちぃと困らされたこともあったけど……でも、この呪いのお陰で今があんだ。謝られる必要はねぇよ。」
「……カペラ……ゲイル……、」

 

3人は、こうして肯定してくれている。
一切の嫌悪感も恐怖もなく、変わらず『アスティ』として見てくれている。
けれど、先ほどこの部屋を出て行った者らは違う。一人は呪いのせいで感情を失いそれに抗おうとしていて、一人は自分のせいで故郷や親しい人たち全てを失ってしまった。
3人のように自分を肯定することは難しいとは、よくわかっている。

 

「……記憶を取り戻す……いえ。己自身の真実を、知るとは……
 ……思っていた以上に……辛いですね……」

 

いつかの村での出来事、とやかく言えないな、と。
自分を蔑むかのように、力なく笑った。

 

  ・
  ・

 

機動力において、翼の呪いを持つ彼女の右に出るものはいない。
目を離せばもうそこにはいない。追うことができない。そんなことを考える暇もなく走り出したが、考えていても杞憂だった。
鼻を突く、鉄のにおい。異質な香りが更に不安を掻き立てる。案外それは遠く離れておらず、すぐ見つけることができた。
ロゼと、顔も知らない死体が一つ。彼女の手には短剣が握られており、真っ赤な血の花が咲いていた。ぽたりぽたり滴り落ちる血を気にもせず、アルザスの姿に気が付けばそちらを向いた。

 

「……思ったより冷静そうね。」

 

無表情で告げられた言葉が、あまりにも不気味だった。
八つ当たりで人を殺した?そんな馬鹿なことをするやつではない。ではなぜ人が死んでいる?言葉がまとまらず、何かを紡ごうとして。

 

「……、……お前、アスティが竜だったからって、呪いの発端だったからって、そんな、どこのやつか分からないやつに八つ当たり、なんか、」

 

嫌になるくらいに綺麗ごとだ。
彼女がウィズィーラを滅ぼした竜だとは考えたくなかった。きっと、この辺りに住む人間で、特別な力を持っているだけだとか、シーエルフと人間が交わった者だとか、そのように考えたかった。
どう言えばいい、と唇を噛みしめる。俺がリーダーなのだから、竜への恨み言は受け止めなければ。
しかし、返って来た言葉は予想外のものだった。首を傾げながら、じぃと太陽の瞳を見る。

 

「あたしは呪いの暴走を起こした者の始末に来ただけよ。変な気配があったから外に出た。呪いの場所は腹部。
 初めてここに来たときもそうだけど、アスティは呪いの力を強くする力があるのかもしれないわね。」

 

元々アスティの魂の破片なのだから、器の元へ戻ろうとしてこうなるのかもしれないわね、と淡々と推測を語る。そうなると自分たちはどうなるのか、という疑問は、魔力には身体や精神的に相性があり、適正があり呪いが馴染んでいると考える。だから、適正がある者は暴走は起きないのだろう、と後でラドワが答えた。
雨が降ったときに、魔力への耐性がない者は惨い死に方をした。魔力に耐えきれず、身体が崩壊、あるいは発狂による死。耐性や適正がある者、雨から逃れられた者は影響はなかった。

 

「……八つ当たりで人を殺した、じゃない?」
「誰がそんなことするのよ。ラドワじゃあるまいし。あたしは無益な人殺しはしないのよ。」

 

そう口にするロゼからは、感情は受け取れなかった。
怒りも、恨みも何もなく、冷たく、鋭い瞳だとアルザスは思った。

 

「で。あんたは、アスティをそう考えるわけ。」

 

その一言が、何故かあまりにも鋭利で痛くて。
たったその一言だけで、強く殴りつけられたような痛みを覚えて。
やめてくれ、と叫んだ。そう考えるのはお前だろ、と言いたかった。
見透かされた、とすら気づけずに。意味が分からないまま、狼狽えながら答える。

 

「……何言ってるんだ?アスティは大事な仲間だろ、例え竜だって、なんだって、仲間に変わりないだろ?」
「反吐がでそうになるくらいに綺麗ごとね。模範的な回答ご苦労様。
 あたしは別に、それでも仕方ないと思うけど。こっちの考えは別だけどね。」

 

何でもないもののように。
呪いで感情がないから、こんなことが言えるのだろうか。
紡がれた言葉は、先ほどまで感じていた無機質なものとは違うかった。確かな意志が、そこには込められていて。不気味さは、何もなかった。

 

「やったのは、『アスティ』じゃないでしょ。北海地方に大きな爪痕を残した竜がやったこと。
 そこに、『アスティ』自身の感情も意志も何もないでしょ。ただ、アスティが生まれたという事実があるだけ。アスティを責める方が、八つ当たりだと思うけど。」

 

翼は話を聞いて、海竜とアスティをイコールでは結ばなかった。
竜が利用され、結果的にアスティが生まれた。もし竜が滅ぼす意志を持って北海地方を襲ったのだとしても、それは今自分たちが知る彼女の人格が行ったものではない。
感情的になれないからこそ、落ち着いて事実を見据えることができる。己が忌々しく思う呪いに助けられているのだから、皮肉にもほどがあるが。

 

「もしアスティが、竜だとして。街を滅ぼせるほどの力を持っているだとして。
 あんたは。アスティが、自分から街を滅ぼしに行くやつだって考えれる?」
「…………あ、」

 

あぁ、なんだそういうことか。
動かなければ永遠に帰ってこない気がした。それは、ロゼではなく、アスティが、だ。
一番辛い立場にあるのは彼女だと、無理やり言い聞かせて恐怖から目を逸らそうとした。気づかないフリをしようとした。

 

ただ、俺は。
街を滅ぼしかねない存在だと、恐れたんだ。一度、あの光景を見てしまったから。

 

「……っ!」

 

また、すぐに身が動いた。
怖くない、と言えば嘘になる。いくら当時の力はないとはいえ、あの海竜から生まれた存在である。同一の力を持っていても何もおかしくはない。
でも。だとしても。

 

「アスティ!」

 

守ると決めて。彼女を好きになって。
俺が、信じられなくてどうする。

 

強大な力に、人は畏怖するものだ。
理解できないものに、人は恐怖を覚えるものだ。
一つ疑問があった。
あの竜を、恨むことはできなかった。なんとなくだが、悲しそうな、悲鳴を上げているような、そんな姿にさえ思えた。
あれはきっと、気のせいや間違いではない。
封印されていたのならば、遺跡に恐怖心を抱くことに辻褄が合う。
実は最初から敵意はなく、助けを求めていただけだったのではないか。
ただこちらが一方的に、海竜を悪だと決めつけ、襲ったと表現しているだけではないのか。

 


「……昔話をしようか。」

 

アルザスの家に残された者に向けて、幻想の狼は語り始める。
調べても、この過去を知る者はもういない。どこにもこの真実は残っていない。ならば、私しか語ることはできない。
埋もれてしまった物語を見つけることも、この能力者の仕事だと、幻想はゆらり、髪を揺らした。

 

昔、ここにはシーエルフの集落があり、海竜を守り神として崇め奉っていた。
シーエルフは海竜を信仰し、海竜は彼らを守り静かに海の中で暮らしていた。
しかしある日、一人の魔術師がその集落へやってきた。竜の力を欲した強欲な魔術師だった。
彼は竜の力を得ようとしたが、一人では太刀打ちできない。そこで、海竜を信仰するシーエルフたちを欺いた。

 

『その海竜は諸悪そのものだ。お前たちが栄えた頃に全て喰らいつくし、己の糧とする。そのために今守り繁栄の手助けを行っている。』

 

信じたシーエルフは一部だけだった。
その魔術師は、逆らう者に暗示をかけた。今の言葉を信じ込ませるための魔術を行使した。
そうして神として祀られていた海竜は信じた者らに裏切られ、その手で一度討伐された。それ以降、海竜を信仰することはなくなり、陸に近しい場所へ移り、魔術師と彼らを慕う者らで2つの種族が暮らす都市を作り上げた。

 

それが、ウィズィーラである。

 

海竜は死すことはなかった。神性を持つそれは、教えが歪められたとしても海を重要視する信仰がある限り生き続けた。されど、討たれ、力を奪われた海竜は幼竜も同然であった。
竜の力を得た魔術師は、海竜を遺跡に封印した。元々は海竜を祭る場所であったが、彼の手により封印の場となり、北海地方ではそこを禁止区域に指定した。
そして、長い時が立ち、海竜は力を取り戻し……二度目の、力の搾取が行われた。
それが、北海地方を襲った事件である。

 


「……以上。これが、誰も海竜の存在を知らなかった理由であり、ロクに北海地方には伝承や古い書物が残っていない理由だ。
 『忌々しい海竜を信仰していた時代を残してはならない』と、シーエルフ達に暗示をかけた。それは子に受け継がれ、いつしか忘れ去られた。」

 

この場にいる者を見渡す。
辻褄や合点がいき、納得の顔をする雪。
あまりにも惨い話に俯く歌。
悔しそうに拳を握り、やり場のない怒りを仕舞えずにいる嵐。

 

「……あぁ、そっか、そうでした。」

 

記憶を取り戻したわけではないが、話を聞いて、己の中で渦巻く感情を理解した、竜。
断片的に過る。裏切られたことも、長く閉じ込められていたことも、酷く苦しくて暴れ回ったことも。
記憶の欠片が落ちていて、拾い上げる。信じていた者らが全て敵に回った。違う、そんなことはない、訴えても届かなかった。閉じ込められた。出して、ここから出して。気が狂うかと思った、断片的な記憶をいくつか見つけた。

 

「……私は……ただ、静かに、幸せに暮らしていた、それだけだった、はずで……」
「さっきの話は本当か?」

 

守り手と翼が戻っていた。どこから聞いたのかと問えば、殆ど初めからだと答えた。
こくり、人狼は首を縦に振る。そうか、とそれだけを口にした。
なあ、いくら知らなかったとは言えさ。
海竜は……アスティは、何も悪くないじゃないか。
なあ、昔の同朋よ。どうして、誰一人として彼女を信じてやれなかったんだ。
どうして……どうして、そんな魔術師の言葉を信じさせられたんだ。

 

「アスティ。」
「……アル、ザス。」

 

一歩、もう一歩、近づく。
海竜のすぐ前にまで寄れば……土下座をした。

 

「すまなかった。」

 

こんなことで、許されるとは思ってはいない。

 

「俺は、アスティが……怖くなった。街を滅ぼせる力があることに、あの海竜と同じことができることに……怖いと、思ってしまった。
 それから、俺の同朋が、お前のことを裏切った。傷つける、なんて生ぬるい……何もかも、全部奪っていった。日常だけじゃない。お前が幸せだと思っていた過去も、お前が望んだ平穏な未来も、全部、全部、奪っていった。
 ……ごめん。ここのシーエルフは、もう俺だけだからさ……俺のこと、好きにして、いいから。……お前が、それでちょっとでも、救われるならさ。」
「…………、」

 

あぁ、この人も。
私と同じように、苦しんでいる。

 

「……そんなつもりではなかったとはいえ、私はあなたの街を滅ぼしてしまった。」
「そんなつもりじゃなかったとはいえ、俺たちはお前を裏切り、殺してしまった。」
「平穏な日常があったはずだったんです。でもそれは、突然なくなってしまった。」
「平穏な日常があったはずだったんだ。けれどそれは、突然なくなってしまった。」
「信じていた者に裏切られてしまった。」
「信じていた海に裏切られてしまった。」
「でも、私は、知っているんです。たった一人だけ、最期まで寄り添ってくれた人がいることを。」
「でも、俺は、知っているんだ。それは滅ぼしたくてその街を滅ぼしたわけじゃないってことを。」
「だからでしょうか。私は、」
「だからなんだろう。俺は、」

 

どうしても。心から、恨むことができない、と。

 

「…………、」

 

顔を上げた。
太陽の瞳が、深紅の瞳を映した。
同じなんだ。何もかも。何もかもが。残酷なまでに。

 

「……ねぇ、アルザス
 私ね、好きにして、いいのでしたら……まだ、冒険者を、していたいです。このままの、関係で居て、欲しいです。ねぇ……お願い、聞いてくれませんか……?」

 

雫が、あふれ出す。
心からの本音の言葉。例え、過去に己を裏切った種族だったとしても、そのとき彼はそこにはいなかった。
その逆も、そうだ。海竜は街を滅ぼしたが……今ここに居る存在は、イコールではあるが、イコールではない。

 

「……俺も。許してくれるなら。
 まだまだ、ここに居てくれよ。俺たち、カモメの翼に居てくれよ。それで……ずっと、俺の傍に、居てくれ。お前を、今度こそ……今度こそ、守らせてくれよ。」

 

返事など、聞くまでもなくて。
そのまま、二人共こらえられなくなって。地面に蹲って、抱きしめ合って、泣きわめいた。
辛かったことも、苦しかったことも、全部全部、お互いが混ざり合ってしまうように。

 

  ・
  ・

 

あれから更に一週間が経った。もう皆いつでも復帰できる状態だ。
随分と休息期間が長くなってしまったが、立ち止まっている暇などない。

 

「当初の目的は達成されたが、新たな目的が生まれた。
 魔術師、ロマネ……きっと、いつか姿を現す日が来るだろう。それから、オルカの背鰭だってまたいつ襲ってくるか分からない。」

 

だから、強くなろう。
強くなって、呪いを根絶して、全ての始まりの因果を断ち切って、そうしてやっと、めでたしめでたしだ。
新たな目標と、覚悟ができた。冒険者としては、中堅と呼ばれる頃。もう駆け出しではない。

 

「それじゃあ、久しぶりに全員揃ってリューンに戻るわよ。
 シードルはここでお留守番よろしくね。何かあったら呼ぶから。」
「転移術を応用した召喚獣みたいだね。ぽんぽん使えちゃうのも、ラドラドの恐ろしいところだなあ。」

 

全員が集まり……アルザスが、窓の外を見る。

 

「……守ってみせるよ。俺の、海を。今度こそ。」

 

そうして、故郷に再び、別れを告げた。

 

 

 

☆あとがき
難産も難産でしたよ!!というか今までのフラグ全回収会なのに何で57KBとかあるんですか!?!?
というわけではい。実は悪い魔術師が居たし、アスティちゃん何も悪くなかった!!な答えです。まあ、竜であることは言っちゃってるようなものだったので。それにしてもガゥワィエって女は便利だなーーー
そんなこんなで目標チェンジです。強くなって魔術師に勝てるようになろうね!……と、ありますが。
3章はロゼラドの進展大作戦です。強くなろうなんて名義上の目標みたいなとこあります。わはは。

リプレイ_24話『答え合わせ』(1/2)

※総集編みたいな感じ

※1~23話全部見た上で読むことをお勧めする!

 

 

「……あら。」

 

必要物資を取りに、北海地方に向かってから3度目のリューン。
ラドワが夕方に海鳴亭へと戻ると、カウンターに見覚えのある男の姿があった。基本的に人の顔を覚えることがない彼女でも、覚える必要があると記憶した顔。

 

ゼクト。何のつもり。」

 

襲撃の際に居なかった、オルカの背鰭のリーダー。顔の右半分が火傷で爛れた醜悪な顔は、誰であってもそう忘れられないだろう。ラドワは臨戦態勢を取ろうと思ったが、すぐに『話しをしにきた』のだと理解する。
単独で来ている。こちらが『あいつがカモメの翼を傷つけた』と騒ぎ立てれば追い出すことが可能だろう。しかし、向こうは手慣れだ。この宿にある程度被害を出してから去って行くだろう。物損でもいいし、冒険者を殺してもいい。二度目の来訪の予定がないのであれば、向こうにさしてデメリットはない。
では、この場でラドワを殺すとなれば。この時間帯は人が多く、目撃者も出る。そもそも亭主の前で、そのようなことはできないだろう。

 

「君は理解が早くて助かる。
 なに。僕たちの仲間を無事退けたからね。報酬に、いくつか美味しい情報を渡しておこうと思って。」
「随分と上から目線ね。しかし、あなたが情報をこちらに渡すメリットはなに?あなたたち、別にそんな律儀なタイプでもないでしょうに。それに、嘘の情報とも限らないわ。」
「疑うのならば、お世話になってるガゥワィエにでも聞けばいいよ。彼、凄腕の魔術師らしいじゃないか。」
「彼女だ、彼女。殺されるぞ。」

 

親父さんからのツッコミ。間違えたら割と殺される。
あれ、そうだっけ?と首を傾げるゼクト。性別を間違える辺り、直接の接触はないだろう。

 

「さて、僕も長く話す気はないからさっさと本題に入るよ。
 君、ロマネを知ってるかい?」
「……いいえ。聞いたことないわ。」

 

だろうねぇ、とくつくつ笑う。イラっとなったので殴っていい?いや……ちょっとこいつ気持ち悪いし、触りたくないかな……と、なんとあの屑にブレーキがかかった。今夜は雪かな。

 

「メリットを訪ねてきたね。
 僕たちにとって、君たちにロマネを警戒してもらわないと困るんだよ。あれは極悪魔術師。今は隠れてるけど、いつか牙を剥いてくるよ。」
「あなたの敵をこちらに押し付けないでくれる?そこまで責任を持てないのだけれども?」
「やれやれ、僕たちを敵のように扱うね。これだから神様嫌いの不敬者は嫌いなんだ。」
「不敬で結構。神なんて皆死んでしまえ。
 ……さて。そんな風に警告してくるということは、『共通の敵』ということね。」

 

互いに仲良くする気はないが、互いに都合が悪い相手であるということだろう。
凡そ、アスティに関してか、あるいは海竜の呪いについてのどちらかの点で。予想では、前者。
彼らにとって、アスティはなんとしてでも手籠めにしたい存在だ。同じくアスティを狙う第三者がいるとすれば、なるほどロマネの思惑通りになることは避けたい。

「あともう一つ。……君の盗賊は、気づくべきことに気づいてないよ。間抜けだからさっさと気づいてもらって?」
「ロゼを侮辱する気?ロゼは私が誰よりも信頼する相棒でもあるのだけれども?」
「でも無能じゃん。クレマンのことを今一度思い出させるべきだね。」

 

用事はこれだけ。カウンター席から立ち上がると、次は今度こそ殺しにいくからね、と不気味な笑みを浮かべて去って行った。
ロゼのことを侮辱されたことはぶち殺してやりたいところだが、ロゼでなければ気づけない何かがあることは確かだ。クレマンのことを思い出させるべき、ということは過去に付随する何か。

 

「あ、ラドワ。さっきの男、揚げじゃがとエール代をラドワに請求しろと言っていたぞ。」
「…………」

 

あいついつか絶対殺す。
そう、殺意を新たに胸に抱いた。

 

 

 

オルカの襲撃から3日が経った。
アルザスとゲイルは未だ治療に専念するために寝床に縛り付けられているが、意識は取り戻し順調に回復していた。カペラは傷は癒えてきたが喉へのダメージが深刻で、もうしばらくは筆談で意思疎通を行うことになるだろう。ロゼは首に2つ痣が残っているが快調。アスティも今は落ち着いており、普通に生活できている。ラドワは心配要素なんかそもそもない。

 

「本当にラドワが居なければ、あの時点で俺たち皆殺されていたと思う。俺は、仲間を守れなかった。……リーダー、失格だな。」
「あたいだって……村を、守れなかった。ガストや皆が無事でよかったけど、何も助けられなかった……あたい、自分が強ぇって、思い上がってたんだなって……」
「…………」

 

すっかり意気消沈しているカモメたち。
死んでいてもおかしくなかった。殺されていたかもしれない。そんな事実が重く圧し掛かった。
結果的には全員助かった。村の者らは新たに村を再建して暮らすそうだが、中には自分たちを恨む者も居るだろう。
自分たちがやって来なければ、村は被害に遭うことはなかった。
自分たちが、帰ってこなければ。

 

「いい加減湿っぽい空気が鬱陶しくて仕方ないのだけれどもやめてくれないかしら。」

 

く、空気ーーー!!
空気を読まない屑の暴言ーーー!!

 

「ねぇシードル、そう思わない?もう終わったことを永遠にうじうじと悩まれて、ここをキノコの栽培地にでも変える気かしら。シイタケの原木を用意しなくてもシイタケは生えてくるというのに。」
「シイタケが何か分からないけど、私は皆の気持ちが分かるかな……仲間を殺して、一人自我を保って
「それはあなたが生きてめでたしめでたし。いいわね。」
「えぇーーー。」

 

シードル、と呼ばれたのはこの間泥になろうとした女の名前だ。
海で生まれた傀儡人形、海(see)で人形(doll)、それを縮めてシードルと名前を付けたそうだ。本人曰く安直な名前だそうだが、こいつは安直でなければとんでもない名前を付け始めるので、平和な名前で本当によかったと思う。
なお、同じ名前の後輩がいつの日か海鳴亭にやってくるが、それはまた別のお話。

 

「反省することはいいことだけれども、必要以上に自分を蔑んで事実を歪めることは感心しないわ。
 まず、相手は綿密な作戦を立てて私たちを『本格的に』殺しに来た。一切の容赦はない。アスティちゃんとロゼは生きたままお持ち帰りされることになったでしょうけれどもね。」
「……だから、負けてもおかしくなかったと?俺たちは殺されてたって仕方ないっていうのかお前は!」

 

アルザスの怒鳴る声。悔しそうに、向ける先のない矛を無理やりしまうように。
底から絞り出したような声は、とても低く、そして泣き出しそうであった。

 

「まあそうなるわね。」

 

おいこら。人の心。

 

「あくまでも事実を述べるのであれば、あーあと言わざるを得なかった。
 けれど、『自分に力がなかったから』と考えるのであれば、大違い。必要だったことは、『いかに相手の戦略を打ち砕くか』だったということ。そこを、はき違えないで。」

 

一切の同情はない。
こういったとき、とてもラドワは心強い。正しく事実を見据え、感情論で物事を話さない。いかなるときにも冷静で、論理的に情報を整理できる者が、どうしても一人は必要だ。
ロゼやカペラも論理的に語る方ではあるが、ラドワと比べると情がある。また、今回に関してはラドワ自身は死の運命から大きく外れていて、全員を助ける一手となったから、という点もあるだろう。
正論に、アルザスは何かを言い返そうとするが、言葉がまとまらない。くそ、と小さな声を漏らして項垂れていた。

 

「実際、実力だけで言うならあの村を襲ったやつ、気孔使いとゲイルならゲイルの方が強いわよ。シャトーとカペラ君をつけて2対2になっても、恐らくこちらが勝ったでしょう。
 そこに、あの狐。まず人数差でこちらが不利。特に、カペラ君とゲイルには魔術や妖術をどうこうする力はない。あちらに軍配が上がるのは当然ね。」

 

しかし、それでも確実にオルカ側が勝つ、とは言えなかっただろう。
だから彼らは村を焼いた。カペラとゲイルが、故郷の村で過ごすと考えて。

 

「あの3人には海竜の呪いはない。つまり、火に弱くはない。燃え盛る村の中で、海竜の呪いを持っていればそれはそれは不利でしょう?ただでさえ熱に弱くなっているところに燃え盛る火よ。太刀打ちできるわけないじゃない。
 更に、カペラ君は発声することで力を使う。煙を吸い込んで喉を傷めさせれば、ほら、無力化させたも同義よね。」

 

反論できないや、と困った顔で頷く。魔術師に限らず、言霊使いとしても発声を封じられることは無力化させられること。いくら優れた力を持っていても、発動できなければ意味がない。
けれど、それならば逃げればいいのでは?シードルが横から疑問点を口にしたが、ラドワは首を横に振った。

 

「あそこで逃げて、村の人が逃げた方へ3人が向かわない保証はなかった。だから、燃える村を捨てて逃げてアルザス君たちと合流、という手段が取れなかったのよ。
 例え、カペラ君とゲイルを殺すことが目的だとしても……あの3人なら、2人に強い罪悪感を残すために殺し回った可能性は、十分ある。」
「…………」

 

だから結果的には守れたようなもの。そう、ラドワは結論付ける。
逃げなかったことは、実は今回に関しては最良の判断だった。村から離れていれば、転移のための魔力の探知に失敗していた可能性が高い。ポータルから村の位置までを凡そ覚えていたため探知に成功したが、更に離れていればラドワは恐らく見落としていただろう。
見落としていれば、そこへ援軍を送ることができなかった。そうなっていれば、カペラとゲイルはここにいなかったかもしれない。

 

「それからアルザス君とアスティちゃん、ロゼも。アスティちゃんを連れて逃げたことは大正解。分かれていれば、きっとクレマンはアスティを攫ったでしょう。そして、一か所に固まってくれたから私も援軍を送ることができた。ミュスカデのエンチャントの可能性まで考慮に入っていれば完璧だったけれども。」

 

相手が自分の弱点を分からないやつではないでしょうしね、と。
クレマンとミュスカデという組み合わせは、恐らくオルカで最もたちの悪い組み合わせだろう。戦士と僧侶の安定したバランスに加え、盗賊の機敏さと魔術の心得がそれぞれ加わるのだ。一筋縄ではとてもではないが太刀打ちできない。
いつ死角から襲ってくるか分からない相手。ミュスカデを潰せば補助魔法こそ消えるが、クレマンとしては味方を考慮に入れなくなる分相手の動きを予測しやすくなる。暗殺者にとって、相手の動きを予測できるということは、殺し方を定められるということだ。

 

「まあ、それはどうでもいいのだけれども。」

 

よくないが?

 

「丁度動けない人も多いし。そろそろ、『答え合わせ』をすべきじゃないかしら、と私は提案させてもらうわね。」

 

まだ戻っていないガゥワィエとレンの2人を見てから、大き目のチョークボードを壁によいしょぉ!と打ち付ける。俺ん家!何してくれてんの!と、アルザスの元気なツッコミが聞こえてきたが、屑はそんなものお構いなしである。

 

「それだけ元気なツッコミができるのなら、もう何も心配いらないわね。」
「お前心配してたのか?」
「全く?」

 

やはり屑は屑であった。
チョークボードにコツコツとろう石を走らせる。整った文字で『第一回 カモメ会議 ~アスティの正体に迫る~』と、タイトルを綴った。
タイトルがすでに緊張感ないのだが。

 

「まず私たちがアスティちゃんと出会い、行ってきた依頼の順番に、アスティちゃんのことで分かったことを箇条書きにしていくわ。
 第一に。記憶喪失で元ウィズィーラの砂浜に打ち上げられていた。全裸で。」
「すいません聞いている私が恥ずかしすぎる上魚のような仕打ちをやめてください。」
「事実だから仕方ないわね。で、文字の読み書きや会話に不自由はない。
 次に、スティープルチェイス。ここで、アスティちゃんに水を操作する力が発覚する。」
「はい。それまでは治癒作用のある水を生み出すことくらいしかできませんでしたが……」

 

アスティの水の生成能力も、水の操作能力も、全ては『詠唱』を行わず、『能力』として行使していることが分かった。
能力は霊力や魔力、妖力を自分自身で使用することで効果を得られる力の総称だ。オーガの呪縛を解除する力やトロールの再生能力、吸血鬼の霧化などもこれに当たる。種族ごとの固有能力、と見てもいいだろうか。

 

「能力については、一回目のオルカの襲撃。ここで、夜目が効くことと、アルザス君に一方的に声を届けることができることが判明。更に、聖剣と魔王の騒動では、アルザス君の魔力が……いえ、『海竜の魔力とこの地域の海の魔力』に可逆性の属性がある、ということが分かった。」
「これに関しては、あたしは先にラドワから聞いてた。
 そして、狼神とのやりとりでも判明した。……そういえば、気になるといえばあの狼の言葉。」

 

中でも1人は特に私と近しい存在のようだな?5人は神の恩恵を受けている、ということだろうか。
変な話じゃない?と、ロゼは首を傾げる。

 

「これ、5人は神の恩恵を受けている、ってあるけど。消去法的に、アスティが神の恩恵を与える立場になるじゃない。同一魔力である、ってことでそれは分かるんだけど……何でここにアルザスも出てくるわけ?」

 

可逆性の魔力。正確には、光と闇の属性の可逆性。
普段はどちらの属性も持たないが、どちらかの属性と同じ属性に変化させられ、更に元に戻すことができるという性質。光と闇の可逆性は、霊力の陰陽の属性にも似ている。神と疫病神のようなもので、神霊が陽に、つまり光属性になれば神に、陰に、つまり闇属性になれば疫病神となる。
魔物が崇め奉られ、神に昇華した事例は稀ながらもある。丁度、狼神が住む村でもあったように。

 

「同一魔力を持ってるから?いや、そうなるとあたしたちがアスティから恩恵を貰ってるってなるのも変な話じゃない。人よりずっと早く走れるのも、力が強いのも……全部、海竜の呪いのせいでしょ?」
「そのあたりは後で推測しましょう。今は事実確認が先よ。といっても、後はこれだけだけれどもね。
 北海地方にはウィズィーラが禁止海域にしていた場所がある。そこへ、アルザス君とアスティちゃんが向かってくれた。……結局、何があったのかしら?」

 

推測しようにも、存在していたものが分からなければ何も考えられない。アスティがびくりと震えた様子が見えたが、ラドワはお構いなしだ。
代わりに、アルザスが答える。……あまり思い出させないように気を遣いながら。

 

「見つけたのは、海底遺跡だ。そこまで魚の棲家になってなかった辺り、倒壊はさほど過去のことではないと思う。それと……アスティにとっては、そこは思い出したくない場所みたいだ。」
「…………そこは、」

 

俯いて、声を震わせながら。ぎゅっと手を握りしめて、なんとか言葉にする。

 

「……怖くて、寂しかった。そんな、気がするんです。それから、なんだか裏切られたような……ここから、出られなかった、よう、な……っ」

 

頭を押さえ、泣きそうな声になる。アスティ、とすぐに名前を呼ぶアルザス。無理に思い出さなくていい、無理をしなくてもいいと必死に宥めた。

 

『慰めが悪いってわけじゃないけど。今やろうとしてることは、アスアスの正体をはっきりさせるってこと。記憶が戻る、って可能性だってある。
 そしたら、その嫌な思い出とは向き合わなきゃいけない。今のうちに、覚悟してた方がいいんじゃないかな。』
「…………そう、それはそう、なのですが……」

 

カペラが筆談で、個人用に手渡されたチョークボードに書き綴る。
あぁ、いつかの記憶喪失の少女もこんな思いだったのだろうか。
怖い思い出がある。思い出したい、けれども辛い記憶に引き裂かれそう。
けれど、逃げないと。思い出すと決めて、ここまで来たのだ。今更逃げ出すなどということはできない。そんなこと、自分が許せない。

 

「……いえ、取り乱し過ぎました。ありがとうございます、大丈夫です。」
「アスティ、本当に大丈夫か?ついこの前に辛い思いをしたんだ、今すぐってわけじゃなくても……、」

 

いや、と首を横に振る。
ここでブレーキをかけてしまうことを、アスティは望んでいない。自分が、辛い表情をする大切な人を見たくないだけだ。
一つ深呼吸。気持ちを落ち着かせ、アルザスも意を決する。

 

「……悪い、ラドワ、続けてくれ。
 そうだよな。無理はしなくていいけど、せっかく前に進むと決めた気持ちを、俺が邪魔しちゃだめだよな。俺が見たくないだけだもんな、これは。」
「分かればよろしい。それに、殆ど判明させるべきことは分かっていると思うの。一度枠組みを立てて、何が分からないかを明確にしておく必要がある。」

 

何でもいいから、とにかく手がかりを。
始めはそれでよかったが、今は情報が集まっている。重複する材料も出てくるはずだ。それなら、分からない疑問点を明確にしておき、今後はそれを調べればいい。

 

「で、海底遺跡の石をセリニィ家で解析してもらったわ。結果も聞いている。
 1つ、魔法が切れて約10年前後になる。
 1つ、私たちと同じ、北海の海の魔力の残骸が見つかる。光と闇の属性に関しては、強く闇に傾いていた。
 1つ、それ以外にも魔力の残骸が見つかる。」
「……は?それ以外の、魔力の残骸だって?」
「えぇ。内容は、封印。この海底遺跡には、何かを封印して出られなくするための術がかけられてあった。これも、10年前後前に解かれている。
 ―― そう、意図的にね。」
「…………?」

 

意図的に何かを封印し、誰かが解除した。
それは分かる。しかし一体誰が、何のために。

 

「もう一つ、先に確認しておきたいことがあるの。
 ロゼ、海竜の呪いについて、何か気が付くことはない?クレマンのことを知ってるあなたなら、何か分かることがあるだろうって話なのだけれども。」

 

誰の話?と問われたので、素直に宿でゼクトに会ったという話をする。
案の定ざわついたが、宿の中で衝突する意志はなかったことと、共通の敵がいることを教えてくれたと説明した。大変納得していない顔だ、そりゃあそう。

 

「あたしが?クレマンを見てるなら気づくこと?
 ……。……ごめん、何も思いつかないわ。クレマンを知ってるから、あたしが気づくこと?」
「何かあるらしいのだけれども……うーん……クレマンの呪いに関して何か知ってることってある?」

 

思い出したくもない過去だとは分かっている。しかし、思い出してもらわなければ。
感情は落ち着いているようで、触れても淡々としていた。これはこれで悔しいが、今は無感情の精神作用に感謝する。

 

「目の呪いと爪の呪い。目は相手の情報を全て見透かし、爪は的確に急所を抉る鋭さを持っている。精神異常までは分からないわ。
 最初は、目の呪いは持ってなかったはず。そういえば、いつから目の呪いを会得したのかしら。」
「ということは、出会った頃には爪の呪いは持っていたのね。……時系列的に、爪の呪いは竜災害直後に得たことになる。あなたが盗賊に入ったのは竜災害の一週間後、だったわよね。」
「えぇ、数え間違いをしてなきゃね。なんでも、盗賊の中に竜の呪いをゲットしちゃった人が居て、それで……、…………!」

 

トラウマに触れた表情、ではなく、何かに気が付いた表情。否、気が付いてしまった、というべきか。
自分が呪いを得た経緯が竜の魔力溜まりに触れたことだったことと、その話を聞いたときは、呪いを付与される寸前。しかも、はっきりと得た情報ではない。
クレマンが爪の呪いを得た経緯は、恐らくは呪いに飲まれた盗賊を殺したことが発端だった。呪いを持った者を殺せば、殺した者に呪いが宿る。そう直接聞いたわけではないが、確かにこう聞いた。

 

『実際居たんだよ、雨が上がったすぐ後で同じよーなもんを見つけたやつがうちに居た。そいつぁ精神異常に耐えられなくなり、うちの仲間の一人に殺された。酷かったぜ?クレマンのやつに迫って抱き着いて、まるで獣のように吠えまくんの。』
『気持ち悪くてぐっさりやっちゃったよね。まあ、悲しい事故だったってことだよ。』

 

呪いの部位まで聞いたわけではない。しかし、精神異常は似ていると考えられる。
クレマンに抱き着いた。そして、自分に対する執拗なまでの好意。もしこれが、精神異常だとすれば。

 

「……海竜の呪いを持つ者は、殺した者に引き継がれる。」
「……!?」

 

だが、それでは腑に落ちない。
アルザスはアスティとロゼに初めて出会った頃、鼻の呪いを持った者に止めを刺した。ラドワもアレトゥーザで耳の呪いを持ったダークエルフに止めを刺した。しかし、二人ともどちらの呪いも得ていない。

 

「……もしも。あの英雄が、私たちを意図的に呪い持ちを対峙させたとしたなら?もしも、わざとアルザス君だけを引き離したとしたなら?もしも、彼女も全部知っていたとしたなら?」

 

もしも、ではあるが。
もしも、を考えれば全てに辻褄が合う。

 

「もしも、英雄が全部知っていたら。アルザス君やアスティちゃん、ロゼが呪い持ちを殺したことを知っていて、『呪いが継承されない』ことを知っていたのなら。
 消去法で、呪いに対して何かしらのイレギュラーがあるとすれば、アルザス君とアスティちゃんになる。アルザス君があの場に同行させないことで、更にアスティちゃんへと絞られる。
 あの英雄、呪いを上手く処理させるだけではなく、こんなヒントまで用意していたなんて。」
「なぁ、英雄ってそんな何でも知ってるもんなのか?あたいら全員、あの場で初めましてだったんだぜ?そんなことあるか?」
「あります。……あってもおかしくない、と思います。」

 

肯定の言葉を返したのはアスティだった。
稽古づけてもらっている、とは流石に言えないため、話しても大丈夫なところだけを話す。

 

「ムィルさん、お仲間にシーリアという方が居て。その方は、『呼称を与える者との関係者』だそうです。なんでも、世界を管理するお偉い方だとかなんだとか。」
「……なんだか、いよいよもってお話がぶっとんで来たね?信憑性ある?」
「むしろアスティちゃんだからこそ、信憑性があると思うわよ。
 ほら、光と闇の可逆性の魔力があると言ったでしょう?そういった存在は、分かるのよ。特に相手が強大な力を持っていればいるほど、可逆性の魔力は同調し同じ属性を持つ。そんな感覚があったのであれば、真と思っていいわよ。」

 

どう?と尋ねると、もれなくえぇーって顔をした。そりゃそうだ、魔法に疎いのだから、自身の魔力の変化にそこまで敏感ではない。とはいえ、魔力を使い能力を駆使するため、全く魔力を使わない者と比べれば、はるかに敏感だ。

 

「違和感は確かに感じました。こう、心がこう、ぐわーってなるようなそんな感じ……?」
「説明へたくそか。いや分かるけれども。」

 

抽象的すぎる。もれなくラドワ以外全員首を捻っている。そらそう。

 

「さて。……最後に、呪いについておさらいしておきましょう。
 呪いとは、海竜の持つ力を一部授ける代わりに精神異常を齎すもの。呪い、と言っているから誤解しやすいのだけれども、呪術や死霊術の類ではないため聖北による解呪は不可能。むしろ肉体改造に近いものと考えるべき。」

 

深呼吸をし、ラドワはぐるり、辺りを見渡す。
この推論は殆ど間違っていないであろう。そう確信をして、ゆっくりと口を開いた。

 

 

「結論から言いましょう。
 ……アスティちゃんは海竜よ。

 

 

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