海の欠片

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リプレイ_19話『惨劇の記憶』(3/5)

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寝床に入ると、とたんに今日一日の疲れが出てくる。意識はすぐに沈み、冒険者たちは泥のように眠りに入った。
しかし、その夜のことである。突然村長が激しく扉をノックし、冒険者の意識を現実へと引き戻す。ただ事でないことはすぐに理解できた。

 

「早く起きてくだされ!外に……外に魔物の群れが!」
「なんだって!?おい皆行くぞ!!楽しい狩りの時間だ!!
獲物!!ラドワちゃん得物大好き!!殺し大好き!!やったぁ殺すーーー!!

 

元気だ。こいつらめちゃくちゃ元気だ。オーエン村からつけられていたのだろうか。だとしたら冒険者にとっては好都合である。だって吹っ飛ばしていいもん、十中八九黒幕からの差し金なんだから。

得物を手に取り、扉をすぐさま開け対峙する。ひどい腐臭に、言葉にならない呻き声。爛れた肌と、ボロ着を身に纏っている醜悪な魔物……否、アンデッド。
アンデッドと分かったので、ラドワのやる気が5割減した。寝ていい?と言い出したので無理にでも引きずり出した。

 

「ゾンビをこの数用意するなら、オーエン村の死体を使うのが手っ取り早いわよね。恐らくはそういうことでしょう。いい趣味しているわ。
 しかし、厄介なことになりそうだわ。相手は、相当な魔術の使い手。死霊術が扱えるほど、か。」
「いいじゃねぇか、回りくどいど外道野郎だけど……強いやつは大歓迎だぜ。っしゃあ!行くぜ行くぜ行くぜ!!」

 

やたら張り切りながら前につっこみ、斧で薙ぎ払う。本能レベルの意識しかないゾンビは、暴風の斧の前になすすべなく吹っ飛んで行く。
アルザスもスライプナーで、ロゼも銀を使った弓矢で応戦していくが、いかんせん数が多い。それでも生き生きとしている戦闘狂が大変楽しそうにしているが。

 

「これはこないだのゴブリンの群れに使ったときの戦法が有効そうね。皆、術式を組む間頼んだわよ。」
「お願いします、すぐに完成させますので!」

 

ゾンビの中にはグールも交じっており、少々厄介である。数も2、30はおり、個別対処はあまりに得策ではない。

 

「サポートは任せて!皆、『ガンガン行くよ』!」
「避けることなんて頭にないから狙いやすくていいわ。数が多いのだけ難点だけど、ね!」

 

離れたところからロゼが弓で遊撃しつつ、前線をアルザスとゲイルが維持する。相手は心のない相手故、カペラは防御よりも味方のサポートに徹する。攻撃を緩めろと命令を下すなど、相手の力を削ぎ攻撃を防御するという手法が使えないのである。
得物により腐肉が飛び散る。腐臭が立ち込める中に、微かに香る海の香。それは徐々に強さを増し、小規模な津波となる。退避の合図だ。

 

「皆さん、引いてください!」
「よし、頼んだ!」

 

津波と嵐がアスティを中心にうねる。巻き込まれないようにアルザス達はその場を離れると、それは辺りの蠢く死者共を巻き込む荒波へと変貌する。

 

「―― 顕現せよ、小さき海よ!悪しき者らに制裁を!」
「咲くは落花!轟き響きて、荒れ狂う海と共に嵐となれ!!」

 

そのすぐ後に、ラドワの狂想の雷。塩の溶けた水は電気を通しやすい。水で押し流され、辺り一面に雷が轟けば、つんと肉が焦げる匂いが漂った。
波が引く。ゾンビだったものはしゅうしゅうと音を立てて蒸発する。濡れた地面と雷による焦げた匂いだけが彼らの存在を確かに証明していた。

 

「……これで全部かしら。」

 

残党を確認するが、辺りには何の気配もない。終わったことを確認し、ほっと胸を撫でおろす。
休んで大丈夫だろう。村長の家に戻ってすぐ、きゃああと甲高い悲鳴が聞こえた。場所は……二階だ。
駆ける。できるだけ早く。扉を開けた先には村長と老婦人、それから……ゴブリンロードと、それに抱えられたユリン。

 

「ユリン!」
「助けて!怖い、怖いのっ……!」
「あ、あの子を助けてくれ!」

 

言われなくとも、と短剣を抜くロゼ。駆け出すより前に、ゴブリンロードはユリンの首に手をかける。それを見てすぐにロゼは止まった。
下手に近づけばこの女を殺す。そのメッセージを理解する。

 

「ククククク……明日正午、アダン洞窟に来い!さもなくば、この娘の命は……ククク、分かっているよな?さらばだ!」

 

刹那、窓から飛び降り闇夜へと溶ける。姿はあっという間に見えなくなってしまった。
すぐに助けに行こうとするアルザスに、ラドワは待ったをかける。

 

「おいラドワ、行かせろよ!ユリンが攫われて、黙ってなんか
「あなたのことだから行こうとすると思ったけれども。私たちだって、流石に休まなければ満足には動けない。それに、ユリンは恐らく私たちが向かうまで殺されることはない。
 ゴブリンは黒幕と手を組んでいる。それはオーエン村の証拠から分かる。だから黒幕の命令をこなしている。殺されない理由は、わざわざ回りくどいことをしてあの子だけ記憶を消して生かしていたのに、ここで殺せば忘却の毒を使う理由が何もない。
 ユリンだけが生かされ、かつ記憶を消された。そうする理由は分からないけれども……今ここで殺す理由が見えてこない。腹が立つけれども、一先ずは言う通りにした方が賢明よ。」

 

どこまでも合理的で、どんな状況でも冷静に物事を判断する。むしろ下手に突っ込む方が仲間を失うことに繋がるわよ、と耳元で囁く。
ユリンは確かに守るべき対象だ。しかし、カモメの翼全員を危険に晒すことはできない。

 

「……すまない、止めてくれてありがとう。そうだな、全員で生きて帰らなきゃ意味ないもんな。ちょっとだけ頭が冷えた。」
「どういたしまして。あなたはすぐに熱くなって周りが見えなくなるんだから。どっかの誰かさんの苦労がよーくわかるわー。」

 

何故煽る。それに対しては、そういうところが好きですからと一言。うわこの彼女強い。
対して耳を赤くしているシーチキンエルフ。1つ深呼吸をして、村長に尋ねた。

 

「村長、アダン洞窟とは?」
「あ、アダン……洞窟か。東じゃ、東にある。古くからある、村の祭場じゃ……
 冒険者どの!どうか……どうか!あの子を取り戻してくだされ!わしらにとって、あの子は……ユリンは、孫も同然なんじゃ!」
「わたしからもお願いします。たとえあの子がそう思っていなくとも……わたしたちは家族なのです。どうか……!」

 

深く、深く、頭を下げる。とんと胸を叩き、真っすぐ2人を見て答える。

 

「当たり前だ。ユリンは俺たちが責任を持って連れ戻す。
 だからどうか、今日は休んでくれ。夜も遅いし、ユリンが戻ってきたときに顔色が悪かったら心配するだろうからな。」

 

必ず守る。そう、守人は誓った。
太陽の眼は、暗闇の中でも凛々と輝いていた。

 

  ・
  ・

 

「すまなかった……俺が、あのゾンビが陽動だと気が付いていれば。」
「そういうのはなしです。誰も気づけなかったんですから。それよりも、正午までは時間があります。その間に敵の正体を探っておきましょう。」
「あ、それなら大丈夫。もう黒幕が何かは分かったわ。」

 

次の日の午前9時。敵の詳細を調べようと集まったカモメたちは、図書館に集まっていた。ラドワが司書から再び一冊の本を借りて、ぱらぱらと捲る。あったこれだ、と該当ページを開いて図書館のテーブルの上に広げた。

 

「頭は人間の老人。身体は獅子。蝙蝠の翼を持ち、サソリの尻尾を振り回す。鋭い鍵爪も持ってるし、忘却の毒も生成できる。
 ……マンティコア。それが、今回の黒幕。しかも、尻尾を犠牲にすることで毒針を四方八方にまき散らすことができる。トカゲのしっぽみたいなものね。」
マンティコア……!なんだそれすっげー強そうな名前だな!今から楽しみになってきたぜ……!」
「あんたはいっつもお気楽でいいわねぇ。……厄介そうな相手だけど、そんなやつあたしたちの手に負えるのかしら。」

 

ゴブリンやコボルトとはわけが違う相手だ。手に負えそうかどうか、判断が付かない。
魔物としては、上級の存在となる。確かに呪いがある分同レベルの冒険者より強いと自負できるが、それで相手を選ぶことを失敗すれば命はなくなる世界だ。
そこはご心配なく、とにやりと笑う。相変わらずどこか性格が悪いその笑みは、良くも悪くも強い味方だ。

 

「ユリンは忘却の毒を受けている。その毒からマンティコアの魔力量を調べさせてもらったわ。
 確かに強い魔力を持っているし、そんじゃそこらの魔物とはわけが違う。けれど、敵わない相手ではないはずよ。魔物の強さと魔力量はある程度比例している。
 ロゼと同じくらいの魔力量ね。」
「……それ、ロゼロゼと同じくらいの強さってことだよね?強くない?」
「油断したら死ぬでしょうね。ましてや慢心なんてすれば、あっけなく黄泉送り。
 けれど、私たちは6人で1チーム。やれない相手じゃなさそうでしょう?」

 

例えにされたロゼは微妙な顔をしていたが、勝てない相手ではない。そう分かると、それならやってやるしかないなと口端を吊り上げる。
それでも無策で挑むのはあまりにも命知らずだ。特に忘却の毒は厄介である。あれこれ相談していると、司書が興味深そうに声をかけてきた。

 

「……皆さん、本当は何か大きな事件に巻き込まれているんじゃないですか?」
「えっ、いや、そ、ソンナコトナイヨー!?」
「絶対ありますよねこれ。
 ええと、聞き出す気はないんです。謎は謎のままの方が面白いですから。ただ、もしかしたらお力になれることがあると思ったので。
 村の青年団に、大きな盾があります。それがあれば、きっと役に立つはずですから。この礼状を見せれば譲ってくれると思いますよ。」

 

カウンターに戻り、徴収礼状を持ってくる。確かにこれは一つの対抗手段になりえる。ありがとうとお礼を伝えると、代わりに帰ったら冒険の話を聞かせてくださいねところころと笑った。
必ず戻ってきたら話すよ、とこちらも明るい言葉を返す。盾を譲ってもらえば、これ以上は対策しようがないだろう。行くぞ、と短い号令をかけ、海鳥は嵐が待ち受ける海域へと飛び立つのだった。

 

 

正午近く。穏やかな天候で、視界も明るい。光の入りやすい森であるため、移動にも困ることはなかった。それこそ何もなければ散歩感覚になってしまいそうなくらいには平和な森だ。

 

「この森を抜ければ洞窟に着くはずだ。
 まずはアダン洞窟に行って、ゴブリンからユリンを取り戻す。それから
「それにはおよばねェぜ!」

 

もう少しで森を抜ける。そこに昨日のゴブリンロードが道を塞ぐように現れた。
他にもゴブリンが5体。恐らくは、青年団で話を聞いたゴブリンの盗賊団、同時にマンティコアと手を組んでいる魔物だ。
ユリンの姿もあった。ゴブリンロードが腕を強く握っており、逃げ出すことはできない。何かされた様子はなく、昨日の状態と何も変わらない。

 

「おれの名はマルゴー。以後、お見知りおき願うぜ。」
「助けて!」
「ユリン!待ってろ、すぐに助けてやるからな!」
「おおっと抵抗するなよ!?怪しい行動を取ればこの娘がどうなるか……分かるだろう?」

 

得物を構えるカモメ達の動きが止まる。時分たちが助けに駆けつけるまでの時間と、ゴブリンロードがユリンを殺すまでの時間。どちらの方が早いかなど明白だ。

 

「きさまらに許されているのは身を守ることだけだ!それ以外の行動は、すべて抵抗したとみなす!」
「くっ、こいつ……卑怯な真似をっ……!」

 

ぎり、と歯を食いしばるアルザスとアスティとゲイル。カペラも気に喰わないと睨む。そうだ、いい表情だ、とマルゴーはニタァと笑った。
対して、ロゼとラドワは互いに目配せをする。なんということでしょう。弓と杖を構えたままではありませんか。

 

「……何の真似だ?おれを侮ってんのか!?今度おかしなことをやってみろ!この娘の命は無いぞ!
 分かってんのか?主導権は俺が握ってんだ!這いつくばれ!抵抗するな!娘の命はおれの手中にあるんだ!」
「……」
「……」

 

無言で構えたままだ。やめて!?殺されちゃうからやめて!?とアルザスたちの表情もガンスルーである。
彼の仲間のゴブリンはアルザス達に殴りかかる。殺す、というよりは痛めつけるといった目的だろうか。それを剣で、斧でけん制する。
後ろに居る翼と雪は、ニヤァと嫌らしい表情を浮かべている。流石のマルゴーも焦りの表情だ。

 

「えーやだなーうっかり手を滑って魔法の矢をぶちこんじゃいそうだなー困ったなー私殺すの大好きだからーうっかりやっちゃいそうだなー我慢できないなーあなたみたいなのを殺すのが何よりも楽しくて楽しくて仕方ないのだけれどもそろそろ我慢の限界かなーねぇねぇ撃っちゃだめー?」
「駄目だから!?今は従って!?というか何考えてんの!?バカなの死ぬの!?いやこの場合死ぬのはユリンになっちゃうだろ!?」
「チッ……安心しな、娘はすぐに返してやるよ。それまでいい子にしやがれってんだッ……!」

 

なるほどねぇ、と口笛を吹く。こんな状況だと言うのにこの屑女は余裕の表情だ。むしろ煽っている節すらある。

 

「ねぇ。マンティコアが黒幕だってことは気が付いているの。
 あなたはその娘を殺さない。いえ、殺せないわ。そう命令されているのでしょう?ユリンは私たちを洞窟へと向かわせるためのに利用した。……まだ、『先』があるのでしょう?」

 

お見通しよ、と勝ち誇った表情を見せ……たが、すぐに真剣な表情に戻る。
そこまでは、分かるのだ。その先が、分からないのだ。

 

「あなたたちは結局何がしたいのよ。目的が見えてこない。ただ殺したかったから、だというのなら私たちがこうして娘を取り返す、あるいはマンティコアの元へ向かわせる必要はない。あなたたちの目的は何?」

 

同類判定下しちゃうけどいいの?と、杖を向けたまま尋ねる。ロゼの弓も、ギリギリと弦が音を立てる。
その質問に、マルゴーは目を伏せ……自嘲気味に、笑いながら答えた。

 

「あいつの考えてることなんざ知らねぇよ。
 だが、おれは……復讐のため……そう、復讐のために人間を殺すんだよぉッ!」

 

叫び声が号令となる。キキィッッッと甲高い声を上げながら、ゴブリン達は冒険者に一斉に襲い掛かった。
殺すことはない。同時に試す目的でこうして武器を向けられている。攻撃を防ぐが、反撃には出ない。戦いたくてうずうずしている人がいるが、それはそれ。

 

「よーし、もういいだろう。さすが冒険者、良いディフェンスだ。」

 

猛攻をやめるよう指示する。前に出てくると、人質は解放するとトンッとユリンの背を押した。
前にこけそうになる少女を、アルザスが受け止める。くくくと笑い声を上げながら、ゴブリン達は身を翻した。

 

「さあ、アダン洞窟に来るんだ。こんなもんじゃねぇ。もっと、もっと苦しみもがく事になるんだからよ
 ククク……クハハハハハッハー!」
「……今私たち苦しんだ?」
「全然。」

 

善意ある冒険者が多かったならば。あるいは屑が冒険者にいなかったならば。彼はもっと憎まれ役になれたであろうのに。
全体的な彼への印象は、『むしろうちに居る問題児の方がやべーのでは?』だ。存外いい人判定という烙印を押されてしまった。可哀想。

 

「ユリン、大丈夫ですか?」
「…………」
「よしよし、怖かったな。もう大丈夫だからよ。
 なあアルザス、ルネス村にこいつだけでも先に帰そうぜ。」
「ねぇ怖かった要素あったかしら?」
「全然。」

 

そこの2人は黙ってような?子供泣きそうだかんな?と、珍しくまともなゲイルのツッコミ。一般ピーポーはゴブリンですら脅威だということを忘れてはならない。
が、ユリンはユリンで大変逞しかった。一度村に返す、と会話が聞こえてくると、蒼白だった顔はみるみる赤くなり、冒険者に食い下がった。

 

「……イヤです!今はだめ……村に帰るわけにはいかないの!わたしも洞窟につれて行ってください!」
「少し落ち着いてください。ここから先は、もっと恐ろしいものと対峙することになるのです。あなたの無事は保障できません。」
「でも……でも……お願い、つれてって!そこにわたしの記憶があるから!」
「ふざけないで。あの自分は強いぜ偉いぜざまぁみやがれ冒険者は這いつくばってろと言う割には意外と小物で可哀想なゴブリンに何吹き込まれたってのよ?」
「ロゼ、あのゴブリンが可哀想になるからやめてあげて。」

 

アルザスのような人ばっかりだったら、きっと素直に嫌なゴブリンだったと表現できたであろうに。カモメの翼は頭おかしい奴らの集いだった。

 

「……わたしの記憶を奪った犯人が、洞窟に居るの!わたしの記憶……取り返さなきゃ!
 だから……拒否しても、わたしはついて行きます!」
「どうするアルアル?帰ってもらえそうにないよ?ちょっとあんまりにも分からずやでイラッと来たから眠らせるか無理やり帰ってもらうか『言い聞かせて』もいーい?」
「待って、過激派思想待って。力では何も解決しないから頼むから待って。
 ……ユリン。できる限りお前のことは守る。けれど、ここから先はどんな危険が待ち受けるかも分からない。最悪、あのゴブリンにさらわれたときのように、すぐには助けられないかもしれない。それを覚悟の上で、俺たちと共に行くんだな?」
「…………」

 

暫しの無言の時間は、さほど長くはなかった。それでも行きます、と真っすぐ、太陽の眼を見ながら菫色の髪の少女は強く言い切った。

 

「分かった。それじゃあユリンの記憶を取り戻しに行くぞ!」
「……僕的に、面倒なタイプのヒロインの王道だよねって思うんだけどどう?」
「分かるー。場をかき乱すだけかき乱すヒロインって名前の問題児。アルザスもよく付き合おうってなるわよねー、あたしはもう匙を投げた。」
「危険が迫れば助けてー!って泣き出して、それでも記憶を取り戻すんだーって無理にでもついてくるパターンよ。あー嫌だ嫌だ、うっかり面倒になって掻っ捌いちゃいそう。」
「そこ、闇談義しない。そこ、ゴブリン以上の敵が味方にいますよアピールしない。俺の剣がうっかりお前に飛んでいっても知らないぞ。」

 

きゃーこわーい、とくすくす笑う屑。こいつほんまに反省しとんのやろか、してないな。
やれやれ、と肩を竦めながら、カモメの翼はアダン洞窟へと向かうのだった。

 

 

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